棚 歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/21 06:33 UTC 版)

歴史

世界での歴史


日本での歴史

大和言葉の「たな」は「た」+「な」という構成の語であり、「た」は手の古形であり、「な」は連体助詞であり水平の状態を表す[5]。「たなびく」とか「たな雲」などは同系統で、やはり水平という概念をあらわしている。

古くは『垂仁紀』(4世紀)に「板挙、これをば拕儺(タナ)と云ふ」と記述された(漢字で「板挙」と書いて(大和言葉で)「タナ」と読む、と解説されたということ)。

平安時代

平安貴族の什器=日用家具の一つとして、下段に両開きの扉が付いた棚である「二階厨子(ずし)」があり、上に「唾壺(だこ)」(を吐き入れる器)などを置いた[6]。また「二階棚」も貴族にとって必需品であり、上に「半挿(はんぞう)」(湯や水を注ぐ器)を置いた。

鎌倉時代以降
「違い棚」(画面左側)

鎌倉時代になり武家政権が支配する社会となり[7]書院造が登場し、南北朝から室町期に整えられていく過程で、床の間と共にその脇壁に設置された「違い棚」(「床脇棚」の一つ)が登場した(これも「造りつけの棚」の一種)。江戸期では、客に合わせ、この違い棚にその人が好みそうななどを置いてもてなした[8](古くは、上段と下段では置く物が決められていた)。

草庵の形式のひとつに、部屋の外に設置する「閼伽棚」がある

「見世棚(みせだな)」は、商店において道行く人に品物(売り物)を売るために、道側に造った、品物を載せる陳列台[9]。言葉自体は鎌倉時代末頃より登場し[10]、それは台を高くして「見せる」からで、(漢字では)「見世」を充て、室町期になり(漢字では)「店」を充てるようになった[11]。この見世棚を用いた商法は、当時の中国・朝鮮にはあまり見られず、永享年間(15世紀初めから中頃)に来日した朝鮮通信使の朴瑞生(ぼくずいせい)が京都の町の様子を見聞した際の報告として、「日本の市の人々は店の軒に板を使って壇を設け、物を売るから塵にまみれず、買う人も見やすい。我が朝鮮の市では魚肉などの食物も地面に置いて売っている。日本の風にならって改良したいものだ」と見世棚について感心したことが記述されている[12]。 こうして「たな」という言葉が日本では店舗と同義語のように使われるようになっていった。松尾芭蕉の『薦獅子(すすめじし)』(冬)には次の句がある。「塩鯛の 歯ぐきも寒し 魚(うお)の店(たな)」。

近世江戸期に「神棚」が登場した。(これも「造りつけの棚」の一種)

なお「冠棚(かむりだな)」は冠を置く棚[13]だった。(「冠」は元服時にかぶせられるもの。儒教の四大礼式「冠婚葬祭」の「冠」に当たる。日本では烏帽子が用いられたため、実質上、烏帽子棚であった。)。この冠棚は近代に成人を法的に定義し「元服」の文化がなくなったことで消滅し、この言葉も用いられなくなった。


  1. ^ a b 広辞苑第六版【棚】
  2. ^ [1]
  3. ^ 精選版日本国語大辞典
  4. ^ 棚 ontech
  5. ^ 『日本大百科全書』【棚】
  6. ^ 『新訂 総合国語便覧』 第一学習社 ISBN 4-8040-3301-7 p.25.p.24に写真あり。
  7. ^ 特に承久の乱で、天皇勢力が(自分の実力を見誤り過大評価し)武家勢力に対して余計な文句をつけたことが裏目に出て、武力衝突する事態に陥り、天皇側が惨敗・完敗し、「首謀者」後鳥羽上皇は罪人として流罪の刑に処され、その結果、日本全土の人々にあまねく、本当はどちらの勢力が強いか、本当はどちらが実質的な日本の支配者なのかはっきり知られてしまう結果になり、以降、武家政権が日本の支配権を握ることになった。
  8. ^ NHK系列番組 『美の壺』を一部参考
  9. ^ 鈴木旭著 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.49.
  10. ^ 同鈴木旭著 p.73
  11. ^ 同鈴木旭著 p.73より。
  12. ^ 鈴木旭著 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.73
  13. ^ 『広辞苑 第六版』岩波書店、【冠棚】
  14. ^ 「内緒のへそくりどう作る?どこに隠す?気になる夫婦のお財布事情」
  15. ^ 参考・川口謙二著 『続 神々の系図』 東京美術 初版第8刷1996年(1刷1980年) ISBN 4-8087-0062-X p.143.
  16. ^ 倉林正次 『祭りの構造 饗宴と神事』 NHKブックス 1975年 p.29.
  17. ^ 同『祭りの構造』 p.30
  18. ^ 同『祭りの構造』 pp.28 - 29






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