有性生殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/27 07:54 UTC 版)
概要
通常は配偶子を形成し、それが接合する過程のことを指す。ちなみに自家受精は個体間でゲノムDNAをやりとりしないが、同一個体の別細胞間ではやりとりしているので通常は有性生殖とみなす。ただし、繊毛虫など単細胞生物における自家受精は同一細胞内で再融合が起こるため、細胞間でゲノムDNAのやりとりは行われていない。このため本質的には多細胞生物における自家受精と同じであるが、有性生殖には含めないことが多い。有性生殖は真核細胞生物では普遍的に認められ、細菌でも発見されているが、古細菌では今のところ認められていない。ウイルスでは同一細胞に近縁ウイルスが同時感染した場合、全ゲノムに及ぶDNAの交換が起こった子ウイルスが生産されることがあることが知られている。しかし、これもウイルスには細胞はなく通常は生物ではないともされるため通常は有性生殖とはみなさない。
種によっては有性生殖専門の細胞を生産する。有性生殖に関与する生殖細胞のうち、次世代につながるゲノムDNAのやりとりに直接関わる細胞を配偶子という。ヒトのような動物の場合、配偶子は卵と精子であり、その融合は受精と呼ばれる。菌類や植物(植物の性)では、受精と同義で接合(配偶子接合)が用いられる事もある。 受精や接合の結果生じた細胞は接合子と呼ばれる。
一般的には、ある生物集団に属する性成熟した個体が相対的に小さな配偶子を生産する場合を「雄」、大きな配偶子を生産する場合を「雌」、双方の配偶子を同一個体が生産する場合を雌雄同体という。雌雄別のある生物種でも環境・個体の大きさ・齢などにより雌・雄・雌雄同体を変更するものがある(性転換)。
動植物には雌雄の別があり、動物は一般的に雌雄異体で雌雄同体(カタツムリ・ミミズなど)は少数派である。植物(陸上緑色植物)は一般的に雌雄同体であるが雌雄異体(イチョウ・ゼニゴケなど)も多い。菌類では大小の配偶子を生産する種も、配偶子の大きさに差がない種も、通常の細胞が接合(体細胞接合)する種も認められる。多くの原生動物・細菌では配偶子を造らず、通常の細胞が遺伝子交換を行う(接合と言われることが多い)。大小の配偶子を生産しない種では、有性生殖を行うつまり性はあるが、雌雄の別(性別)はないことになる。
なお、動物・植物以外では有性生殖は個体数の増加(増殖)とは直接は関係しないことが多い。シダ類やアブラムシの一部など、動植物に属する生物種にも有性生殖と増殖が直接は関係しないものがある。シダ類の前葉体の多くは1個体しか受精後の2n世代を造らない。アブラムシの一部種の雌は有性生殖時に生涯に1つしか卵を生産せず、雄の存在を考えると個体数は減少する。これらの生物では個体数の増加は無性的に行われる。
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