日本紅斑熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 10:09 UTC 版)
治療
化学療法による治療が行われる。β-ラクタム系抗生物質は無効であるが、ツツガムシ病をはじめとした他のリケッチアと同様、テトラサイクリン系抗生物質が著効であり[11]、第一選択薬として用いられる。またツツガムシ病とは異なり、ニューキノロン系抗菌薬も有効だとされている。ロッキー山紅斑熱と同様、迅速に治療を開始することが重要視されており、高熱例ではテトラサイクリンとニューキノロンの併用療法を行うべきだと提唱されている[12]。
予防
ワクチンは作られていないため、予防にはマダニによる刺咬を避けることが最も重要である。マダニの生息する森林や山地に入ることを極力避けること、もし入るときは刺咬を避けるため、肌をできるだけ露出しない衣服を着用し、高濃度ディートを露出した肌に塗布することが推奨される。
もしマダニに吸着された場合、ダニを潰して殺そうとすると、虫体内のリケッチアを注入することになるため、絶対避けること。また、ダニを無理に引きはがそうとすると、頭だけがちぎれて皮膚に残ることもあるため、取り除く際には注意が必要である。
マダニとの接触機会を低減する為、人が居住する住宅地と耕作地にダニを運搬する野生動物が入らない様に柵によって仕切ることで、感染者数の減少に成功した事例報告がある[11]。
法的措置
1999年、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の制定に伴って、日本紅斑熱は四類感染症に指定された。
出典
- つつが虫病/日本紅斑熱 2005年12月現在 国立感染症研究所 The Topic of This Month Vol.27 No.2(No.312)
- 馬原文彦「日本紅斑熱の発見と臨床的疫学的研究」(PDF)『モダンメディア』第54巻、2007年、4-13頁。
- ^ a b c d 馬原文彦 2007.
- ^ a b つつが虫病/日本紅斑熱 2005年12月現在 国立感染症研究所 The Topic of This Month Vol.27 No.2(No.312)
- ^ 高田伸弘, 藤田博巳, 矢野泰弘, 及川陽三郎, 馬原文彦「日本紅斑熱の媒介動物」『感染症学雑誌』第66巻第9号、1992年、1218-1225頁、doi:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1218。
- ^ [1] バイエル製薬 (PDF) [リンク切れ]
- ^ Japanese spotted fever, South Korea. NBCI
- ^ 日本紅斑熱 国立感染症研究所 感染症の話 2002年第25週号(2002年6月17日~6月23日)掲載
- ^ 日本紅斑熱による死亡例の発生について(情報提供) 厚生労働省健康局結核感染症課 平成20年8月1日
- ^ 年別報告数一覧(その1:全数把握) 国立感染症研究所 感染症情報センター
- ^ “日本紅斑熱、過去最多 20年、マダニ媒介の感染症―野外活動に注意を・厚労省”. 時事ドットコム. 2021年7月17日閲覧。
- ^ a b 岩崎博道, 伊藤和広, 酒巻一平「我が国におけるダニ媒介感染症の現状と課題」『日本内科学会雑誌』第110巻第10号、2021年、2270-2277頁、doi:10.2169/naika.110.2270。
- ^ a b c 田原研司, 藤澤直輝, 金森弘樹「島根半島弥山山地における日本紅斑熱患者数の減少に繋がったThe One Health Approach」『日本獣医師会雑誌』第74巻第7号、2021年、444-448頁、doi:10.12935/jvma.74.444。
- ^ 日本紅斑熱の治療 国立感染症研究所
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