持株会社 持株会社の種別

持株会社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 16:24 UTC 版)

持株会社の種別

一般に、持株会社のうち、何かしらの事業を行う一方で他の会社を支配するものを事業持株会社、他の会社の支配のみを行い、自社での事業活動を行わないものを純粋持株会社と呼ぶ[2]

一般に「持株会社」といったときは後者を指す[3]とする説がある。

そのほか、持株会社であるかを問わず[要出典]親会社の元で特定の業種に属する子会社をまとめる会社を中間持株会社と称することがある[4][信頼性要検証]

名称

日本において、持株会社の社名では以下の語が用いられることがある。

ホールディングス (holdings)
英語において「持株会社」を直接示す語の一つである[5]。(例:パナソニックホールディングス伊藤ハム米久ホールディングスセガサミーホールディングスANAホールディングスヤンマーホールディングス) 「ホールディングス」部分は、少なくとも日本では「HLDGS」[6]、「HD」[注 2]と略されることがある。
グループ (group)
英語において「集団」「同系列に属する組織」を示す語である[8]。(例:ソニーグループソフトバンクグループLIXILグループ
グループ本社
「グループ」の意味は上述の通り。なお、ここでの「本社」に文脈上適合する用法は、少なくともデジタル大辞泉には収録されていない[9]。(例:ハウス食品グループ本社大和証券グループ本社日清製粉グループ本社読売新聞グループ本社
グループホールディングス (group holdings)
「グループ」ならびに「ホールディングス」の意味は上述の通り。(例:アサヒグループホールディングス近鉄グループホールディングス

上記の各語のいずれも含まれない社名を持つ持株会社も存在する(例:イオンキッコーマンサントリーの事実上の持株会社とされる寿不動産)。

持株会社のメリット・デメリット

出典:M&A総合研究所ポータル『持株会社のメリットとデメリット[信頼性要検証]

メリット

  • 各部門毎の子会社化からもたらされるメリット。
    • ある特定の部門の利益にとらわれない、戦略的な本社(親会社としての持株会社)の構築。
    • 新規事業の立ち上げがしやすい。
  • 経営統合で合意済みの他企業に対する買収、グループ化 (M&A)がし易い(友好的買収)。
  • 傘下の各社への権限の委譲がしやすい。
  • 柔軟な人事制度の導入がしやすい。
  • 持株会社Aの下に事業会社 x, y, z がぶらさがっており、z社で巨額損失が発生したような場合z社とA社は打撃を受けるが、x社とy社はダメージを受けない。仮に事業部制の場合は財務が繋がっているため、無関係のx事業部y事業部にも累が及んでしまう。この事態を打破する最後の選択として、A社はx社とy社を売却することによりその売却代金でA社自身を救うことができる。わかりやすいのはカネボウカネボウ化粧品を、東芝が東芝メモリ(現・キオクシア)を売却した例である。

デメリット

  • 子会社から見た場合、親会社(持株会社)への「お伺い」が増えてしまう。
  • 各子会社(事業会社)間の横の連携がしにくい。
  • 労働条件の交渉について、使用者側の窓口(実際の雇用関係のある子会社なのか、子会社に対して実質的な経営権を有する持株会社(親会社)なのか)が不明となる。
  • 特に純粋持株会社(親会社の主たる収入が子会社からの配当である形態)の場合、持株親会社単体では子会社(あるいは連結ベースでのグループ総体)より信用リスクが大となるため、格付上の「ねじれ」が生じるケースがある。
  • 持株会社およびその子会社に赤字企業がある場合、グループ全体に信用不安が連鎖し、個別企業と見た実力よりも資本市場において株価を通じて過小評価されることがある。
  • 財閥解体を経て構築された経済システムの有名無実化に繋がる(持株会社による傘下企業全体の財閥化は事実上、法の抜け道となる)。

注釈

  1. ^ 「ホールディング」とは保持、保有を意味する。
  2. ^ JFEホールディングスを"JFE HD"と略す例: [7]
  3. ^ 明治ホールディングスENEOSホールディングスなど。
  4. ^ エディオンKADOKAWAマルハニチロなど。
  5. ^ データ通信事業をエヌ・ティ・ティ・データ通信株式会社(現:NTTデータグループ)、自動車電話・携帯電話・ポケットベル等の事業をエヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社(現:株式会社NTTドコモ)、県内通信事業を完全子会社の東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社、県間通信事業等を完全子会社のエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に、それぞれ譲渡。
  6. ^ ウオッチ事業をセイコーウオッチ株式会社[12]に譲渡。
  7. ^ グループ経営管理事業を除く一切の事業を日本テレビ放送網株式会社に譲渡。
  8. ^ テレビ事業はTBSテレビへ、ラジオ事業はTBSラジオ&コミュニケーションズへ移管。
  9. ^ テレビ放送事業を株式会社フジテレビジョンへ譲渡。
  10. ^ イオンリテール光洋マックスバリュ長野等の地域法人・イオントップバリュなどの専門企業・コックス等の専門店担当会社へ移管。

出典

  1. ^ a b 發知敏雄、大谷隼夫、箱田順哉『持株会社の実務第7版』東洋経済新報社、2015年、2頁。 
  2. ^ 証券用語解説集 持株会社(もちかぶがいしゃ) 野村證券、2022年11月4日閲覧。
  3. ^ 伊藤靖史他『会社法』有斐閣、2009年、368頁
  4. ^ 持株会社化の論点(1) 企業価値評価・算定のプルータス・コンサルティング公式サイト
  5. ^ ホールディングス【holdings】の意味 goo国語辞書、2019年10月1日閲覧。
  6. ^ セブン&アイ・ホールディングスHP左上に「HLDGS」の表記”. セブン&アイ・ホールディングス. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ [JFE HD]システム基盤のセキュリティも高め、技術情報を守る”. 株式会社日経BP. 2019年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月29日閲覧。
  8. ^ グループ の意味 goo辞書、2019年10月1日閲覧。
  9. ^ ほん‐しゃ【本社】の意味 goo辞書、2019年9月29日閲覧。
  10. ^ a b 持株会社化 大和総研
  11. ^ a b c d e f 發知敏雄、大谷隼夫、箱田順哉『持株会社の実務第7版』東洋経済新報社、2015年、151-152頁。 
  12. ^ セイコーウオッチ株式会社






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