宇宙刑事シャイダー
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用語
- 不思議時空
- クビライの指示によりポーが発生させる、不可思議な亜空間。ナレーションによると、天界や地上界とともに宇宙を構成しており、内部では全ての原子核が圧縮され、6千度の熱と光を発して煮えたぎっている異次元空間[1]。
- 不思議獣は不思議時空ではパワーを4倍にまで高めることができ、不思議獣の退却にも用いられる。シャイダーはあえて不思議時空で戦い、それによって実世界の破壊と被害を最小限にとどめている。
- 戦士シャイダー
- 宇宙刑事の祖とされる伝説の英雄。1万2千年前に地球を訪れたバード星人。当時地球にはフーマの植民地であるムー帝国が築かれ悪の花を咲かせていたが、その支配者・大帝王クビライを打ち負かしてムー帝国を滅ぼし、人類を解放した。墳墓が地球で発見されたことから、その後は地球に定住したと推定されている。
- 48話のクビライの言葉によればシャイダーは「戦士シャイダーに遠く及ばぬ未熟者」である。
- 銀河警察は彼の偉業と、その正義を愛する心を受けて結成された。「宇宙刑事シャイダー」もこの戦士シャイダーにあやかったコードネームである。
キャスト
前2作では主演にJACのアクション俳優を起用していたが、本作品では前二作と変化をつけるべくパートナーの女宇宙刑事をJACから抜擢することになった。主演のシャイダーこと沢村大には、円谷プロダクション芸能部からの売り込みで主演オーディションに参加していた円谷浩が、メインライターの上原正三が強く推薦したこともあって選ばれた。円谷プロで脚本家デビューを果たした上原にとって、円谷プロの社長を務めていた円谷一は恩人でもあり、息子の浩を主演へと推薦することで円谷一の恩に報いたかったのが、最大の推薦理由でもあったという[38][8]。特撮監督を務めていた矢島信男は、松竹の社員時代における円谷英二や、『ミラーマン』などにおける円谷一、そして本作品における円谷浩との出会いを指して、「親子三代に渡る不思議な縁ですね」と当時を振り返っている。円谷と並んで前述の主演オーディションに最後まで残ったのが、神官ポーを演じた吉田淳である。これは放送当時ファンロードのインタビュー(マンガレポートという形で掲載された)で円谷自身が明らかにしており、もし大役に吉田が選ばれていたらポーは円谷が演じていた可能性もあったという[要文献特定詳細情報]。
一方でパートナーのアニー役として起用された森永奈緒美による、ミニスカート姿でのアクションも人気となった[39][40]。アニーのアクションが中心となった理由として、上原正三は円谷浩のアクションが、森永やJACのメンバーと比較するとテンポが全然違うため、『ギャバン』の大葉健二や『シャリバン』の渡洋史と同様に動かすことができなかったためと述べている[38]。
ナレーションは前2作までの政宗一成に代わり、前年度の『科学戦隊ダイナマン』までスーパー戦隊シリーズのナレーションを連続して務めた大平透が起用されている。
レギュラー、準レギュラー
- 沢村大 / シャイダー:円谷浩
- アニー:森永奈緒美
- コム長官:西沢利明
- マリーン:名代杏子
- 大山小次郎:鈴木正幸
- 小村陽子:原美穂
- 小村良一:庄司顕仁
- 松川信:藤原進
- 森下ワタル:荻堂盛幸
- 秋本恵子:渡辺恭子
- 秋本ルミ:清藤めぐみ
- 大帝王クビライの声:飯塚昭三
- 神官ポー:吉田淳
- ヘスラー指揮官:久保和彦
- ギャル軍団
- 珍獣ヤーダの声:太地琴恵
- ナレーター:大平透
主なゲスト
- ミミー:叶和貴子(第1話)
- なっちゃん:吉沢理江(第1話)
- 勇一:新井昌和(第1話)
- 勇一の両親:木村修、小甲登枝恵(第1話)
- サチオ:松井良樹(第2話)
- 怪しい芸人たち:団巌、清水照夫、原田充成、吉田信一、甲斐道夫(第2話)
- マウント星人の男性:山本亨(第3話)
- アニーの父 ロブ:レオ・メンゲティー(第3話)
- アニーの母 キャサリン:泉晶子(第3話)
- アニーの妹 コニー:ジェニファー・クラウセン(第3話)
- 森下ワタルの父 源次郎:西尾徳(第4話)
- 森下ワタルの母 美代:幸田直子(第4話)
- 秋本恵子・ルミの父:幸正純治(第4話)
- 秋本恵子・ルミの母 和子:加藤京子(第4話、第9話、第31話)
- 小村陽子・良一の父 良介:依田英助(第5話)
- 城西予備校生:神谷政浩(第5話)
- シゲルの両親:山崎猛、大井小町(第6話)
- 東都大学 香取教授:北村総一朗(第7話)
- 香取亜矢子:なかはら五月(第7話)
- 早瀬ユカリ:浜村砂里(第8話)
- ユカリの養父母:岩城力也、小沢弘子(第8話)
- プレイン星 国王ウイーン:児玉謙次(第8話)
- 青ガキ隊(第9話)[注釈 13]
- ヤッくん:杉和彦
- タっくん:黒須浩二
- ナッくん:佐藤弘
- 教育評論家 滝沢:冨田浩太郎(第9話)
- 「奥さまのワイドショー」司会者:太地琴恵(第9話)
- 高山一夫:横山あきお(第10話)
- 高山一夫の妻:十勝花子(第10話)
- 小学校の教師:みずきあい(第10話)
- 中村源太:圓山淳也(第12話)
- 中村源太の父 源造:大地康雄(第12話)
- 川中はるか:高沢舞(第13話)
- メグ:赤松由佳子(第13話)
- イサム:笈川豊英(第13話)
- 富子:大島ゆかり(第13話)
- 夏川まり子 / 真理子の叔母 霧子:浅沼友紀子(第14話)
- ジミー北原:湯沢紀保(第14話)
- 夏川まり子の母:大方斐紗子(第14話)
- マリン星人(第15話)
- ナナ:片岡みえ
- ヨヨ:菊池貴子
- キキ:山崎あかね
- 賢一・マミの母:中村万里(第16話)
- 賢一:大島和徳(第16話)
- マミ:早川美也子(第16話)
- 浅井家(第17話)
- 浅井画伯:田辺一鶴
- 浅井画伯の娘 チカ:金子成美
- 浅井画伯の妻:太地琴恵
- 城東大学薬学研究所 高村教授:大矢兼臣(第20話)
- 島井家(第21話)
- 島井千春:滝奈々
- 千春・雄一の父 一郎:辻三太郎
- 千春・雄一の母 治子:船場牡丹
- 恵美:原田ゆり子(第22話)
- 恵美の兄 安男:岡本美登(第22話)
- 鹿島あかね:高橋みどり(劇団古今集)(第25話)
- 石田家(第26話)
- 殺人鬼ギルダー:ウイリー・ドーシー(第27話)
- ヒムリー:崎津隆介(第28話)
- 教頭:松尾文人(第29話)
- 石黒先生:津山栄一(第29話)
- 順子先生:みずきあい(第29話)
- 松田:田付貴彦(第29話)
- 天川礼子:永井英里(第29話)
- オズマ:斉藤優一(第32話)
- 石原民子:秦暎花(第32話)
- 女性アンドロイド:大川かつ子、星ゆかり(第32話)
- 勇:大原和彦(第33話)
- 本島教授:長沢大(第34話)
- 沢村大の父 大二郎:信実一徳(第35話)
- 沢村大の母:五十嵐五十鈴(第35話)
- ホテルの支配人:水橋和夫(第35話)
- 青木家(第36話)
- 青木一郎:藤井洋八
- 青木一郎の妻:佐々木梨里
- 青木一郎の娘:岩立絵美
- 早見聖(シンデレラ):高橋かおり(第38話)
- 女優(シンデレラの義理の姉):呉恵美子(第38話)
- 高田サチ(マリア):林佳子(第38話)
- 早見聖のファン:柴田時江(第38話)
- ヒライ家(第39話)
- キヨシ・ミヨの父:有馬光貴
- ユキ:林美穂(第40話)
- ビビアン:塚田聖見(第41話)
- 池田家(第43話)
- 池田一郎:田中洋介
- 星野月子:立花愛子(第44話・第45話・第47話・第48話)
- 一条寺烈 / 宇宙刑事ギャバン:大葉健二(第49話)
- 伊賀電 / 宇宙刑事シャリバン:渡洋史(第49話)
- アクセサリー売りの男:栗原敏[注釈 14]
- 保母:里見和香(劇場版第1作)
- 勇一:野口隆哉(劇場版第2作)
- 勇一の母:十勝花子(劇場版第2作)
スーツアクター
シャイダーのアクション用スーツは、前年までメインで担当していた村上潤が『星雲仮面マシンマン』へ移ったため、柴原孝典が引き継いだ[41][42]。
スタッフ
円谷浩を主役に推薦したことも手伝い、本作品でもメインライターを務めた上原正三は東映のスタッフに対し、本作品における劇場版を含む全話の脚本を一人で執筆してみせることすら約束した[5]。そして上原は、同時期に開始された『星雲仮面マシンマン』や『ビデオ戦士レザリオン』『北斗の拳』の脚本も兼ねながら、実際に全49話を一人で執筆し続けることで、東映と円谷への恩返しをも同時に果たしている。アクション俳優ではないことを逆手に取って「訓練学校を卒業したばかりの、未熟な戦士の成長物語」を課せられた円谷浩も、一年間に渡る過酷な撮影生活を全うすることで、俳優としてさらなる成長を遂げた。
パイロット監督は前作までの小林義明に代わり、吉川進プロデューサーの意向により澤井信一郎が登板している。小林と同じく東映の社員監督であった澤井だが、これまで特撮番組に携わったことがなかったこともあり最初は依頼を固辞したものの、前作『宇宙刑事シャリバン』の完成度の高さに感心し参加を決意したという。「不気味」ではなく「不思議」な世界観作りに拘った澤井監督の意向は、不思議ソングや神官ポーといったイメージやキャラクターにも強く反映され、宇宙刑事シリーズにまた違った新風を吹き込んだ。同時期の『星雲仮面マシンマン』終了後は日笠淳がプロデューサー補として参加したほか[47]、中盤からは『マシンマン』と掛け持ちで小笠原猛も参加し、『マシンマン』終了後はそのまま本作品にスライドした。
『超電子バイオマン』までスーツアクターを務めていた竹田道弘は、同作品終了後に金田治に志願してアクション監督補佐を務めた[48][49]。竹田は、最終話の撮影の1日分で金田の代理を務めた後[注釈 15]、次作『巨獣特捜ジャスピオン』の特撮班でアクション演出を務める[48]。
不思議獣のデザインは前作より引き続き参加の野口竜がその大半を手がけているが、第30話の不思議獣ブヨブヨのみ渡部昌彦が担当した[51]。また第8話登場の不思議獣ケロケロについては神田正宏のラフデザイン、第11話の不思議獣ゲトゲトは渡部昌彦のラフデザインをそれぞれ元にしている[52][53]。
- 原作:八手三郎
- 連載:『テレビマガジン』『おともだち』『たのしい幼稚園』『テレビランド』
- プロデューサー:碓氷夕焼(テレビ朝日)、吉川進、折田至( - 第23話)(東映)
- 脚本:上原正三
- アクション監督:金田治(ジャパン・アクション・クラブ)
- アクション監督代行・補佐:竹田道弘(ジャパン・アクション・クラブ)(44 - 49話[54])[55] [56]
- 監督:澤井信一郎、田中秀夫、小西通雄、辻理、小林義明、小笠原猛、山田稔
- 撮影:瀬尾脩、加藤弘章、松村文雄、小泉貴一
- 照明:吉岡伝吉
- 美術:井上明、宮国登
- キャラクターデザイン:野口竜、神田正宏[52]、渡部昌彦
- 音楽:渡辺宙明
- 録音:太田克己
- 選曲:村田好次
- 編集:菅野順吉
- 効果:大泉音映
- 計測:小泉貴一、三木修二、石山信雄、山賀俊夫、高田勉
- 操演:羽鳥博幸
- 記録:宮本衣子、内藤美子、滝沢恵美子ほか
- イラスト:赤坂徹朗
- プロデューサー補:日笠淳(第24話 - )
- 助監督:南晃行、小中肇、石田秀範
- 進行主任:小迫進
- 制作デスク:佐藤晴美
- 制作担当:桐山勝、沼尾和典
- 企画協力:企画者104
- 装置:東映美術センター
- 美粧:サン・メイク
- 衣裳:鷹志衣裳
- 装飾:大晃商会
- キャラクター制作:レインボー造型企画
- 合成:チャンネル16
- 現像:東映化学
- 車輌協力:MAZDA
- オートバイ協力:スズキ自動車
- ビデオ合成:東通ecgシステム(山本博司、近藤弘志、前岡良徹、峰沢和夫)
- (株)特撮研究所
- 特撮監督:矢島信男
- 制作:テレビ朝日、東映、旭通信社
注釈
- ^ 書籍によっては、本作品で宇宙刑事シリーズが終了し、『巨獣特捜ジャスピオン』からメタルヒーローシリーズが始まったと記述している[3]。
- ^ ロイ・シャイダーと本作品のシャイダーでは「Scheider」(ロイ・シャイダー)と「Shaider」(本作品のシャイダー)で英字スペルが異なる。
- ^ ただし第20話では、人間の闘争本能を刺激する不思議ソング病を蔓延させる作戦によって、国際社会の緊張は核戦争一歩手前まで高まった。
- ^ 第19話より。ギャバンおよびシャリバンは、自分の未熟さによってレーザーブレードを発動できなかったことはない。
- ^ 前方に向かい踏み切り、後方宙返りをする技。普通の後方宙返りが身体が後ろに移動するのに対し、逆宙はその名の通り身体は前方に移動する。ブレイクダンスでは「ゲイナー」と呼ばれる。
- ^ 作中で実際に発声したことはない。
- ^ 書籍『'89年版ヒーロー必殺技大百科』では、レーザーブレードから光線(破壊フラッシュ)を発射すると説明している[16]。
- ^ 本作品でも蛍光灯を使った剣殺陣が見られるが、シャイダーのレーザーブレード(蛍光灯)には青いフィルムが巻かれている。
- ^ タンク部分クローズアップのシークエンスで協賛会社のSUZUKIのエンブレムがフレームインしている[20]。
- ^ 名称は、書籍『全怪獣怪人 下巻』ではクビライ(戦闘体)[24]、書籍『宇宙刑事大全』ではクビライのメカ胴体[25]とそれぞれ記載している。
- ^ ただし、シャイダーが別の戦いで体力を消耗した直後を襲う場合が多い。
- ^ 書籍『全怪獣怪人 下巻』では、名称を改造ギャル1と記載している[24]。
- ^ 当時の流行男性アイドルグループシブがき隊のパロディー。2006年に発売された「宇宙刑事シャイダー オリジナル・サウンドトラック」には彼らが劇中で歌っているという設定の「なんだなんだブギ」が収録されている。
- ^ 前作『宇宙刑事シャリバン』でガイラー将軍を演じた栗原がカメオ出演。伊賀電が「ガイラー将軍!?」と叫び、一条寺烈がヒゲを引っ張るも本物で、「人を何だと思っているんだ!」と男に怒られて話は幕となった。
- ^ クビライが首だけになってシャイダーに襲ってくるシーンを演出したとのこと[50]。
- ^ 4月6日は『春だ!一番ドラえもん祭り』放送のため休止。
- ^ 8月10日は『夏だ!一番ドラえもん祭り!!』放送のため、8月17日は『プロレススペシャル』放送のためそれぞれ休止。
- ^ 1月4日は『新春プロレススペシャル』放送のため休止。
- ^ 同局における本シリーズの作品の放送は本作品が最後となり、次作からは山口放送での放送に移行している。
- ^ マスクの着脱も可能であった「プラデラシャリバン」とは異なり、同商品はマスクが固定式となっている。
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