宇宙刑事シャイダー
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不思議界フーマ
宇宙犯罪組織マドー壊滅後に現れた、暗黒銀河の支配者を名乗る宇宙最大にして最悪の宇宙犯罪組織[21]。不思議時空という異次元空間に漂う不思議宮殿を本拠とし、前作の宇宙犯罪組織マクーやマドーを遥かに凌ぐ大軍団で全銀河の征服を企む。全銀河規模で侵攻を図るほどの戦力を有しており、その規模は銀河連邦警察をも凌ぐ。マウント惑星のように直接的な武力行使によって壊滅させた星も数多いが、その星の住人を怠け者にして堕落・退化させたり、不思議ソング病を蔓延させて住人同士を闘争させたりして自滅に追いやるなど、間接アプローチによる侵略も得意。
特に地球に対しては、戦闘によって星を傷付けることなく、美しいまま乗っ取るため、人間の心を闇で覆い、内面から支配する方法を基本戦略として採用[22]。衣食住や娯楽、教育などを利用して大衆洗脳を図った他、次世代を担う子供を堕落させることで社会の崩壊を狙う長期的作戦も何度か実行している。地球を特別扱いするのは、1万2千年前、彼らが地球に植民地ムー帝国を築いていたからでもある。
フーマの構成員たちの忠誠は厚く、使命のためなら命を投げ打つことも厭わない。首領である大帝王クビライを全知全能の神として崇める宗教的な雰囲気を持つ組織であり、その求心力は非常に高い。そのため番組の終盤では銀河各地へ大規模な侵攻を繰り広げ、圧倒的な優位に立っていたにもかかわらず、最終話でクビライがシャイダーに倒され、その情報が銀河全域に伝わると、全軍の士気が低下して戦況は瞬く間に逆転し、程なく壊滅した。
- 大帝王クビライ
- フーマの帝王。1万2千年前に戦士シャイダーの活躍で滅亡したムー帝国の元支配者でもあり[3]、100万年も生きていると言われる超生命体。構成員たちからは全知全能の神のごとく崇められている存在で、不思議宮殿の大広間中心部の壁面から円形の巨大な顔だけを覗かせている[21]。その体内には不思議獣の卵を多数宿しており、作戦に応じて必要な卵を口から生み出し、左右の目から放つ怪光線を卵に浴びせて不思議獣を誕生させる特殊能力を持つ[22]。
- 1万2千年前の戦士シャイダーとの戦いで首と胴は切り離されてしまっており、胴体部分のミイラは戦士シャイダーによってイースター島の遺跡に保管されていたが、第47話においてシャイダーに攻撃を仕掛け、真空状態の中で終始圧倒するも最後には倒されている[23]。最終話にて両手が触手となった機械の胴体を首に取り付けたサイボーグとなり[注釈 10]、シャイダーを圧倒したが、唯一の弱点である額の目をレーザーブレードで貫かれ、直後にシャイダーブルーフラッシュを受けて敗れた。
- 戦士シャイダーとの戦いではわが子の危機に自ら駆け付け、胴体を失う重傷を負いつつも孫のポーを守り抜く家族愛を見せたり、自分の趣味で作戦を立てて成功予想図を想像して悦に浸ったり(第7話、第22話)、宇宙インフルエンザに罹患して周囲を困惑させたり(第31話)と、どこか人間臭く憎めない一面もある。ポーを舌で愛撫するようなシーンは、故意に背徳的なイメージをこめられたもの[26]。クビライの本来の全身像は、戦士シャイダーの遺跡の壁面を飾るレリーフによって確認することができる。
- デザインは野口竜が担当[27]。
- ゲーム『SDヒーロー総決戦 倒せ!悪の軍団』
- ステージ8「不思議洞窟」のボスとして登場。ステージ8には、ギリギリ、イトイト、ムチムチといった不思議獣に加え、アクムノイドやキラーノイドといった『機動刑事ジバン』の敵、クールギンやバルスキーやジャースといった『超人機メタルダー』の敵も配下として登場する。
- 神官ポー
- クビライの側近を務める中性的なイメージの神官。作戦立案、不思議獣の誕生の儀式および不思議時空の発生を司る。
- 地球を「美しい宇宙のオパール」と呼び、地球を傷付けることなく美しい状態のままで手に入れることを望んでいる[21]。そのため、地球では武力による制圧よりも人の心の弱味に付け込む形の作戦指揮を執ることが多く、前線に出ることはほとんどないが、単体でシャイダーを圧倒するだけの戦闘力を持っている[注釈 11]。
- いかなる場においても常に沈着冷静な態度で、言葉遣いも礼儀正しく、大帝王クビライに対してはもちろん、自分の部下たちや敵対するシャイダーに対しても丁寧な敬語を使っている。
- 年齢1万2,000歳にして眉目秀麗な顔立ちであるが、美しい姿を維持するには500年に一度美少女のエキスを摂取する禊を行う必要があり、素顔は醜悪な鬼女である(第24話)。
- 本人も知らなかったがクビライの孫娘であり、祖父のクビライからエネルギーを供給されていたことが後に明らかにされている。クビライがシャイダーに敗れた後、彼女自身はクビライからエネルギーをもらうことができなくなり美しさを維持できなくなったとして、シャイダーとアニーに別れを告げ、珍獣たちと共にいずこへともなく姿を消した。
- 『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』
- 神官ポーと同名のキャラクターが登場。
- ヘスラー指揮官
- 戦闘員ミラクラーや不思議獣らを引き連れ、戦闘の指揮を執るフーマの戦闘行動隊長。戦闘開始の掛け声は「征伐(せいばつ)!」。
- 気性が荒い好戦的かつ直情的な性格の男で、当初はポーと対照的に武力による征服にこだわっていたが、番組後期には自ら変装して不思議獣の作戦を推進するなど、策士としての一面も見せるようになった。
- フーマの戦闘指揮官としての地位に誇りと満足を抱いており、それ以上の野心を見せることは一度もなく、組織に忠誠を尽くしている。なお、「大幹部」の道への野心はあるようでもある。ただし、自分の地位を脅かす恐れのあった弟のヒムリーについては、シャイダーとの1対2の戦闘の際、「時間差攻撃」と称して斬り殺し、シャイダーを驚かせたりしている。また、身分的には神官ポーよりも下であるが、ポーに対しては対等な口の利き方をしている(ポー自身は常に丁寧な言葉使いである)。
- 第45話において、イースター島(およびそこから派生した不思議界)で敗れる。
- ギャル軍団
- ヘスラー指揮官配下の女戦士軍団。全員が変装の名人で、様々な姿で諜報活動や戦闘を行なったり[3]、フーマの作戦遂行のために、社会の陰で暗躍したりしている。第4話まではくノ一五人衆と呼称。各メンバーの数字は日本語読みする。共通の装備として相手を捕縛するのに使うロープとナイフを持つ。
ギャル1 ()- ギャル軍団のリーダー格。服の色は黒とシルバー。軍団の中では誰よりもシャイダーやアニーに対し敵意を持っていた。
- 第44話より始まる最終章では、先陣を切る形で自ら強化改造を志願し、神官ポーによる改造手術により、右腕に刃物を仕込み、左腕にはマシンガンを装備した戦闘サイボーグ:戦士ギャル1[注釈 12]となった。シャイダーとの激闘の末、ビデオビームガンを受けて敗北するが、怨霊(夜叉ギャル1)となってバビロス号に潜入し、アニーを操ってバビロス号のフォーメーションシステムの熱量を暴走させてバビロス号を内部から破壊しようとするが、大が間一髪で駆け付け、正気に戻ったアニーもシステムの冷却装置を元に戻したために事なきを得た。常に「フーマダライ フーマビャクライ!」といった不可思議な呪文を唱え、サイボーグの武器や力で圧倒するが、不思議時空でのシャイダーとの再度の激戦の末にシャイダーブルーフラッシュを受けた際に霊体化して弱点を晒してしまい、その弱点の改造中枢生命体パーツを看破したシャイダーにビデオビームガンで破壊され、完全に滅びた。
- 夜叉ギャル1のデザインは野口竜が担当[33]。
ギャル2 ()- ギャル軍団の一員で怪力の持ち主。服の色は紫。口から炎を吹いたこともある。
- 撮影期間中2度演者が変更されており、第16話から登場した2代目の大石麻衣は『電撃戦隊チェンジマン』の翼麻衣 / チェンジフェニックス役に抜擢されたため、第35話で降板した[34]。
ギャル3 ()- ギャル軍団の一員。服の色は赤。第45話では、ヘスラー指揮官とともにシャイダーに対し一騎討ちを挑み、右手を蛇に変化させた時限爆弾で相打ちに持ち込もうとした。あと一歩のところで脱出され自分だけが爆死するが、ヘスラー指揮官に「見事な最期だった」と讃えられた。
ギャル4 ()- ギャル軍団の中で最も切れのあるアクションを展開する。ギャル軍団の切り込み役ともいえる存在。
ギャル4 ()とは、第3話劇中で自ら名乗っている。服の色は緑。 ギャル5 ()- ギャル軍団の一員であり、どちらかといえば妹分的な存在であった。服の色は黒とピンク。最終話の決戦でギャル2、4とともに蝶に姿を変えて、クビライのエネルギー源となって自ら吸収された。
- 珍獣
- 不思議宮殿にいる正体不明の生物。神官ポーの子飼いと思われ、主に彼女のそばで歌ったり踊ったりしている。幹部たちと共に不思議獣の作戦に参加することもあり、突如として現れては消えたり、変身したりといった捉えどころのない動きで人間たちやシャイダーを翻弄する。
- 最後は神官ポーとともにいずことも知れない世界へ消えていった。
- デザインは野口竜が担当[35]。
- 珍獣ヤーダ
- 黒マントに身を包んだ珍獣。「ヤーダ、ヤーダ」と声を発するが、人語を喋ることもある。子供に変身してシャイダーを欺き焼結を封じるなどの活躍をし、登場回数も多い。
- 珍獣ノッソリ
- 直立するゾウアザラシのような姿をしている。幻影を操る。
- 歌うたいのシンギン
- 大きな花のような姿をしている。ノッソリ同様に幻影を操り、体を縮小できる。
- 腹ペコのガーキ
- 餓鬼のように大きな腹が特徴。人間の子供に変身できる。
- 上半身のモンク
- 不思議宮殿の柱から上半身のみが突き出ている珍獣。移動出来ないため、他の珍獣のように外出することはない。このため他の珍獣が作戦のために出撃していなくなったところで、一体だけ残るシーンが見られた。
- 一つ目のアイーダ
- 「メヒヒンメヒヒン」と声を発する文字通り一つ目の珍獣。第34話を最後に、バンクシーン以外登場しなくなった。
- 不思議獣
- 侵略の尖兵として送られる怪物。大帝王クビライの口から吐き出される卵から、不思議の海での儀式を経て孵化・誕生する[22]。ほとんどが言葉を話さないが、何体かは人間に変身可能で、ムジムジやツタツタのように人語を話せる者もいる。
- 不思議時空では通常世界の4倍のパワーを発揮することができる。不思議時空の戦いでは、『宇宙刑事ギャバン』のベム怪獣やダブルモンスターのように巨大化したり、『宇宙刑事シャリバン』に登場する魔怪獣のようにヒューマノイド体形の分身体に分かれたりする他、ポールウェポンを用いてシャイダーと渡り合う。
- ベム怪獣や魔怪獣と違って明確なモチーフを持たないものが多いが、南方系の仮面や神像などがしばしばデザインに取り入れられている。名称は例外なくカタカナ2文字の繰り返し。
- 戦闘員ミラクラー
- フーマの戦闘兵士で、斧と槍を合わせたような武器とマシンガン、バズーカ砲で攻撃する。大型装置・兵器の組み立てや操作にも従事する(第30話など)。言葉は一切話せず、「ショワショワ」という奇声を発する。作戦によっては人間に変身する場合もあり、人間に変身した際には人語を話す。
- アニーが潜入捜査に失敗して発見されたのち逃走する際に誤って通信機などを落下させ、それを奪おうと全員で四つん這いになって探す際には、探すふりをしながらどさくさに紛れてギャル軍団のメンバー(ギャル2)のスカートを捲り上げ、頭をシバかれた者もいた(第30話)。
- デザインは野口竜が担当[30]。
- 『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』
- 戦闘員ミラクラーと同名の戦闘員が登場。ボディーアーマーなど装備が異なる。
- その他
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- ヒムリー
- 第28話に登場。ヘスラー指揮官の弟。二本の剣と矛が武器で、兜から光線も放つ。
- 幼少期は弱虫だったが、特訓し続けた結果、武勇に優れた人物となり、兄を蹴落とす野望を持ってフーマに参入した。馬頭星雲の毒蜘蛛タランチを自在に操り、その猛毒によってシャイダーをあと一歩のところまで追い詰めた功績を大帝王クビライに讃えられて、大幹部の証とも言える黄金の剣を与えられる。そのため、ギャル軍団の中においてもヘスラー派(ギャル1、2)とヒムリー派(ギャル3、4、5)に派閥が分かれた。
- 自分の地位を脅かされることを恐れた兄である指揮官ヘスラーに、シャイダーとの1対2の戦闘で「蜘蛛は…嫌いだ!」との捨て台詞と共に斬られ絶命した。成長株ともいえた彼を潰したことに対して、ヘスラー自身は特に処分を受けることはなかった。
- デザインは野口竜が担当[36]。
フーマのメカニック
- フーマ戦闘機
- フーマの戦闘機。単座式で、3機編隊で1戦隊が構成される。先端にビーム砲を装備。航空力学を無視したようなファンタジックなデザインが特徴。特に側面に装備された大きな車輪(ランディングギアではないらしい)が一際目を引く。
- デザインは野口竜が担当[30]。
- フーマ戦闘母艦
- 銀色をしたフーマの戦闘用母艦。武装は額の次元衝撃波砲と両眼の破壊ビーム。フーマ戦闘機を搭載可能。通常は不思議宮殿の左右に一隻ずつ接続されている[22]。アニーの故郷マウント惑星は、この戦艦から発射された超強力爆弾によって消滅した。毎回登場するが、大抵はシューティグフォーメーションで撃沈されてしまう。
注釈
- ^ 書籍によっては、本作品で宇宙刑事シリーズが終了し、『巨獣特捜ジャスピオン』からメタルヒーローシリーズが始まったと記述している[3]。
- ^ ロイ・シャイダーと本作品のシャイダーでは「Scheider」(ロイ・シャイダー)と「Shaider」(本作品のシャイダー)で英字スペルが異なる。
- ^ ただし第20話では、人間の闘争本能を刺激する不思議ソング病を蔓延させる作戦によって、国際社会の緊張は核戦争一歩手前まで高まった。
- ^ 第19話より。ギャバンおよびシャリバンは、自分の未熟さによってレーザーブレードを発動できなかったことはない。
- ^ 前方に向かい踏み切り、後方宙返りをする技。普通の後方宙返りが身体が後ろに移動するのに対し、逆宙はその名の通り身体は前方に移動する。ブレイクダンスでは「ゲイナー」と呼ばれる。
- ^ 作中で実際に発声したことはない。
- ^ 書籍『'89年版ヒーロー必殺技大百科』では、レーザーブレードから光線(破壊フラッシュ)を発射すると説明している[16]。
- ^ 本作品でも蛍光灯を使った剣殺陣が見られるが、シャイダーのレーザーブレード(蛍光灯)には青いフィルムが巻かれている。
- ^ タンク部分クローズアップのシークエンスで協賛会社のSUZUKIのエンブレムがフレームインしている[20]。
- ^ 名称は、書籍『全怪獣怪人 下巻』ではクビライ(戦闘体)[24]、書籍『宇宙刑事大全』ではクビライのメカ胴体[25]とそれぞれ記載している。
- ^ ただし、シャイダーが別の戦いで体力を消耗した直後を襲う場合が多い。
- ^ 書籍『全怪獣怪人 下巻』では、名称を改造ギャル1と記載している[24]。
- ^ 当時の流行男性アイドルグループシブがき隊のパロディー。2006年に発売された「宇宙刑事シャイダー オリジナル・サウンドトラック」には彼らが劇中で歌っているという設定の「なんだなんだブギ」が収録されている。
- ^ 前作『宇宙刑事シャリバン』でガイラー将軍を演じた栗原がカメオ出演。伊賀電が「ガイラー将軍!?」と叫び、一条寺烈がヒゲを引っ張るも本物で、「人を何だと思っているんだ!」と男に怒られて話は幕となった。
- ^ クビライが首だけになってシャイダーに襲ってくるシーンを演出したとのこと[50]。
- ^ 4月6日は『春だ!一番ドラえもん祭り』放送のため休止。
- ^ 8月10日は『夏だ!一番ドラえもん祭り!!』放送のため、8月17日は『プロレススペシャル』放送のためそれぞれ休止。
- ^ 1月4日は『新春プロレススペシャル』放送のため休止。
- ^ 同局における本シリーズの作品の放送は本作品が最後となり、次作からは山口放送での放送に移行している。
- ^ マスクの着脱も可能であった「プラデラシャリバン」とは異なり、同商品はマスクが固定式となっている。
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