奇跡の扉 TVのチカラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/25 20:28 UTC 版)
概要
日本全国各地で発生した、殺人・失踪などの未解決事件を生放送でテレビの力で視聴者に呼びかける番組。未解決事件の被害者の家族が事件の早期解決のために情報を呼びかけたこともあり、また事件・事故・失踪などで行方不明となっている人物の家族が探してほしい人物を捜索を呼びかけることもあるが、記憶喪失になった人が自分の身元の情報収集を呼びかけたり、心臓移植手術費用の募金を呼びかけたりすることもあった。
番組スタッフや私立探偵なども奔走するが、基本的には「事件解決や行方不明者発見の情報の鍵を握っているのは、視聴者の目撃情報である」というスタンスをとっており、この手の内容の番組は他局でも特番シーズンに放送されているが、レギュラー番組として放送されるのは非常に珍しいことであった。
視聴率は安定しており、改編期には時間を拡大して放送し、視聴率20%近くを取ったことがある。心臓移植手術費用募金呼びかけの件では視聴者のみならず全国から目標額を大幅に上回る多額の援助金が集まり、その軌跡を描いた本が出版されるなどの反響を呼んだ。
番組の終焉
2006年4月から『月バラ!』(19:00 - 20:54)とTVのチカラ2時間SPを毎週交互(まれにこちらが2週連続放送)に放送されていた。
しかし、2006年7月、担当プロデューサーの使途不明金疑惑があったため、2006年9月をもっての打ち切りが発表された。2006年10月からは木曜『ネオバラエティ』枠で高視聴率を稼ぎ、月バラ!枠でも好調だった『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』がこの時間帯に昇格となり[注釈 1]、代わりに木曜『ネオバラエティ』枠には月曜『ネオネオバラエティ』枠で放送されていた『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!』が入った。その後は『タイムショック21』同様、改編期や年末年始に特番として放送されることが決定。2006年12月25日と2007年6月30日に2時間スペシャルとして放送された。
2006年12月25日の回は20時枠のネットセールス枠を実施せず、『Qさま!!』のスポンサーである花王などのスポンサーが別の特番のスポンサーに移行した。その同日20時枠のネットセールス分は12月31日に放送された『TVタックル』大晦日スペシャルの23時枠に割り当てられた。
当番組終了後、月曜20時枠の生放送番組は2017年4月に火曜ネオバラエティ枠からゴールデンタイムに昇格した『中居正広のミになる図書館』まで存在しなかった。
放送時間の変遷
当初の放送時間は毎週土曜日20:00 - 20:54(JST)。2003年4月14日からは毎週月曜日20:00 - 20:54。(テレビ朝日・北海道テレビ放送 (HTB) のみ19:54 - )2006年4月17日からは、月曜夜7時から2時間放送していて、『月バラ!』と毎週交互(まれに2週連続となり、その場合は『月バラ』も2週連続となる)に放送していた。
なお、2006年8月7日(月曜日)のみ2006年3月13日放送以来の20:00 - 20:54(テレビ朝日は19:54 - )の1時間放送となる。ただし、月曜20時台がローカル枠であったことから、一部地域では別番組に差し替えとなった。それ以降は再び2時間放送となった。
2006年7月ごろにプロデューサーの裏金疑惑が発覚したため、同年9月18日でレギュラー放送を終了(事実上打ち切り)。2006年12月25日にタイトルを『特命発信 TVのチカラ』に変更して特番として放送。そして、2007年6月30日に『特捜!』の2時間拡大版として『特捜! 特命発信 TVのチカラ・世界2大捜査官が緊急来日・今夜決死の最終回スペシャル』をもって終了した。
番組内容の指摘
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2018年3月) |
番組開始時点から、「被害者や遺族の配慮も考えない制作者サイドの暴走行為」・「子供が見ている時間で流す番組ではない」などといった批判が存在していた。時間帯にそぐわないことが理由とされ、毎回放送終了後に苦情の電話も多く寄せられ、番組終了の直接の原因ともなった。「視聴率稼ぎの偽善」などの意見もあった。番組末期には、超能力捜査官と称される人々が捜査活動や番組構成上のメインとなっていったことも批判の対象とされた。「事件被害者が性風俗の職業に就いていた」といった被害者のプライバシーや遺族の立場を無視した取材やコメンテーターのコメントなども存在した。
最終回特番ではリンゼイ・アン・ホーカー殺害事件を取り扱ったが、「被害者の遺族に対して配慮のない対応が多い」・「超能力捜査があまりにもふざけていて、しかも別事件の捜査を重要視しているのでは捜査自体に意味があるとは思えない」といった苦情が相次いだ。『週刊新潮』2007年7月12日号において『殺害「英語教師」の両親が見させられたテレ朝「霊視バカ番組」』の見出しで取り上げられ、「遺族を単に視聴率稼ぎに利用しただけ」と痛烈に批判している。
超能力捜査
科学的根拠のない、"自称"超能力者の透視や霊視をもとに事件を捜査することについては批判的意見がある。と学会会長の山本弘は自著『超能力番組を10倍楽しむ本』の中で一章を使い、本番組を以下のように批判している。
- アメリカの警察やFBIにおいては超能力捜査官のような役職は存在せず、事件の解決に直接関わるような決定的な証拠をあげた事例はほぼ皆無にもかかわらず、あたかも実在するかのような演出がなされている。
- FBI及びアメリカの警察関係組織に所属する者は法律で国外活動が禁止されているため、日本の警察に協力し事件を解決することは不可能である。また、TV番組など日本のメディアへの露出も禁止されている。
- 超能力の科学的な根拠を証明できない以上、警察に捜査の協力を申し出ても取り合ってもらえない。
- 複数人の超能力者が透視した事件もあるが、各人によって「犯人の特徴」「犯行の動機」「犯人と被害者の関係」「犯人と失踪者の所在地」「失踪者の生死」などの情報にばらつきがあり、余計な誤解や混乱を与える恐れがある。
- 彼らの提供する情報は極めて抽象的で、何通りにも解釈できる曖昧な表現が多く、具体的な地名や建物を語ったことはほとんどない(「犯人は赤い建物にいた」「犯人の名前は『R』である」「キーワードは『水』『石』『白』」など)。それらの曖昧な情報を無理にこじつけ、的中したと主張している(このような手法は心理学ではバーナム効果と呼ばれる)。また、事前に下調べをしていれば特徴的な建造物などを知っていてもおかしくはない。
- 仮にこれらの情報で犯人を逮捕できたとしても、「偶然の一致」という形でしか処理されず、裁判時の証拠として採用されることはない。
- 視聴者に先入観を与えることで、透視とは別の場所に犯人や行方不明者がいたとしても見過ごされる危険性がある。(犯人の名前を放送した場合)同姓同名の(無関係な)人物が犯人に仕立て上げられ、中傷などの危害を加えられる恐れもある。
- 超能力者本人だけでなく、番組制作側も過去の透視で間違っていた部分をカットして、それ以外を無理やりこじつけるなどの作為的な編集により、実際には的外れだった透視や霊視が的中したと視聴者へ過剰に印象づけようとしている[1]。
- 正確性、信憑性の乏しい情報を公共の場で発信することは社会に混乱を招く。
- 実際に、2005年12月5日に放送された札幌信金OL殺人事件では、透視を根拠にロケ隊が神戸市へ向かい、具体的な校名がわかる形で「殺人犯はこの小学校のそばに潜伏している」と放送したため、その小学校に通う児童やその保護者より不安の声がテレビ局に殺到。学校側は集団下校の措置をとる混乱が起きた。この事件の犯人の所在は結局判明しないまま、公訴時効を迎えた[注釈 2]。
注釈
出典
- 1 奇跡の扉 TVのチカラとは
- 2 奇跡の扉 TVのチカラの概要
- 3 取り上げた事件
- 4 テーマミュージック
- 5 脚注
固有名詞の分類
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