天神祭 各種行事

天神祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 14:14 UTC 版)

各種行事

時間、祭事、催事は平成18年の行程を参考。

装束賜式 (6月下旬吉日)

天神祭の神事始めの行事で、この装束賜式より天神祭の諸行事が始められる。 平成18年度諸役(神童、随身、牛曳童児、猿田彦)の装束賜式{しょうぞくたばりしき}(任命式)が、6月25日11時45分より行われた。 まず、宮司より辞令が渡され、諸役を務める心構えなどが話される。 この日より、諸役は斎戒と言って祭りまで慎むことやしてはならないことがお宮から言い渡される。 例えば、一、葬儀に参列すること。一、喧嘩、もめ事などの争いごと。一、その他不浄に関与すること、等がある。

その後、諸役の衣装をつけ、本殿で報告祭を執り行う。

宵宮(7月24日)

2005年の鉾流神事の様子
4:00 - 打ち出し

催太鼓の一番太鼓と、続いてだんじり囃子の一番鉦が祭の開始を告げる。大門開門。

7:45 - 宵宮祭

本殿において人々の無病息災と鉾流神事の無事が祈願される。

8:50 - 鉾流神事

神鉾講より推挙された大阪市立西天満小学校の6年生の男子の神童によって鉾流橋の水上より鉾を流す。元々は上記のように鉾が流れ着いた場所を御旅所と定めて祭礼を行ったが、御旅所が固定されてからはその役目は担っていない。

その流された神鉾を拾い上げる御鳥船(おとりぶね)が太鼓を打ち鳴らし、櫓と櫂で航行する。

鉾流神事が終わると氏地巡行まで正式な祭事はないが、各場所でいろいろな催事が執り行われている。下記に記述。

16:00 - 氏地巡行

まず、催太鼓による「からうす」がおこなわれ、その後催し太鼓と獅子舞が氏地を巡行する。

本宮(7月25日)

催太鼓
鳳神輿
13:30 - 夏大祭

氏地、氏子の平安を祈り、神霊移御祭で御霊を御鳳輦(ごほうれん)に移す。2019年までは一般に公開されていなかったが、2020年から、大阪天満宮のYouTube公式チャンネルを通じて生中継(動画のライブ配信)を実施。配信中は、動画の視聴者がインターネットから拝礼や大阪締め(後述)へ同時に臨めるような配慮が施されている。

15:30 - 陸渡御(りくとぎょ)

祭のメインイベントの一つ。船渡御の乗船場までの神輿渡御に随伴して約4キロを約3000人が行列する。行列は先頭が催し太鼓で、続いて猿田彦や采女(うねめ)、花傘、猩々の人形を乗せた山車、牛曳童児などの第一陣、御羽車や神霊を移した御鳳輦のある第二陣、玉神輿と鳳神輿の第三陣によって構成される。 陸渡御の順番は、太鼓中、神鉾講、地車講、天満ライオンズ奉仕講、天神講、釆女、稚児、敬神婦人会、大阪書林御文庫講、福梅講(牛曳童児)、御旗講、花傘講、総奉行、大阪府知事、大阪市長、榊講(大真榊)、御羽車講、丑日講、御錦蓋講、御菅蓋講、御鳳輦講、氏子総代、協賛会委員、玉神輿、鳳神輿、菅公会(祭り囃子)の順である。

18:00 - 船渡御

陸渡御につづいてメインイベントの一つ。船は4種類に分けられ、御神霊をのせた御鳳輦奉安船、催太鼓船や地車囃子船など神に仕える講社の供奉船、神をお迎えする風流人形を飾った御迎船、協賛団体や市民船などの奉拝船、その他どんどこ船や子供どんどこ船、落語船など祭を盛り上げるため自由に航行できる列外船がある。奉安船や供奉船が天神橋のたもとから出航して大川を遡り、反転して下る。

協賛団体による奉拝船は飛翔橋より下り、天神橋で反転し遡る。船同士が行き交う時には大阪締めが交換されるが、御鳳輦奉安船が通過するときは沈黙するのがならわしである。また、奉拝船より供奉船へは、大阪締めを求めることは法度とされ、その逆に大阪締めを行うのは順当とされる。他に舞台船や篝船などもあるが、渡御せずに定着して神楽等を奉納する。御神霊を乗せた御鳳輦奉安船を見下ろすことがないように、御鳳輦奉安船の通過する橋の中央には正中の覆いがされる。

渡御の渡中、御鳳輦船では水上祭が斎行される。定着している舞台船や供奉船から神楽や囃子が奉納される。この頃から花火講によって奉納花火が打ち上げられて祭は最大に盛り上がる。(1999年より花火講は消滅し、天神祭花火実行委員会によって、川崎公園・桜ノ宮公園の2箇所で奉納花火の打ち上げが実施されている。川崎公園では2002年より、大阪日日新聞主催の「水都祭」の一環で花火が打ち上げられている。

奉納花火については、2015年・2016年に5,000発を打ち上げ。「天皇陛下御即位奉祝祭」を兼ねて開催された2019年には、御即位への奉祝花火も特別に打ち上げられた。

22:00 - 宮入り・還御祭

渡御が終わった一団が天満宮に戻り、催太鼓と共に大阪締めを行う。獅子舞が四方清めと本殿へ走りこみ、その後還御祭が本殿で斎行されて祭りは終わる。


神事として祭のスケジュールには含まれていないが境内では地車囃子や龍踊りが奉納されたり、お迎え人形が展示されたりしている。境外でも下記のような催事が執り行われている。

ギャルみこし(天神祭女性御神輿)

7月23日にオーディションで選ばれた女性が担ぐ神輿巡行。主催は天神橋筋商店会(天神橋4・5・6丁目商店街)。選考がユニークで米俵を持ち上げる選考とかくし芸などのPR選考によって選出される。 ギャルみこしは、祭の渡御列(本隊)には参加しない。

自動車渡御

宵宮の10:00頃から市内をトラックによってパレードを行う。トラックには子供神輿や地車囃子などが乗り込む。

町内神輿宮入り

氏地の各町内の神輿が境内に宮入を行う。

ドラゴンボート国際選手権

昭和63年から奉納イベントの一環として行われているドラゴンボートレース。 サンケイスポーツ主催。

テレビ中継と関連番組
天神祭生中継
ジャンル 特別番組
出演者 西川きよしハイヒール
ほか
製作
制作 テレビ大阪
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域 日本
放送期間1982年7月25日 - (年1回)
放送時間本宮開催日(基本として19:00 - 20:54)
放送分114分
回数39

特記事項:
放送時間・回数は2023年までの時点
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例年は、地元局のテレビ大阪[7] が、本宮の日の夜(18:55 - 20:54)に関西ローカル向けの生中継を。本宮が月・水・木・金・日曜日と重なる場合[8] に当該時間帯で放送されるテレビ東京制作のレギュラー番組については、水 - 金曜日であれば本来の『土曜エンタテインメント』枠[9]、月曜日であれば翌日(火曜日)の同じ時間帯(ローカルセールス枠)で振替放送を実施する[10]

テレビ大阪本社(大阪市中央区大手前)の屋上から奉納花火を一望できることを踏まえて、生中継に際しては、屋上に進行用の舞台(放送上の呼称は「スタジオ」)や屋台を設置。西川きよしハイヒールリンゴモモコ)が総合司会、テレビ大阪のアナウンサーから1名が進行役を務めるほか、同局制作のレギュラー番組の出演者(主に『おとな旅あるき旅』の三田村邦彦)や演歌歌手(主に大阪府出身者)をゲストに迎える。出演者は全員浴衣姿で、スポンサーから屋台などを通じて提供される飲食物を摂取しながら生中継を進行。基本として奉納花火が出演者の背後に映るような配置で放送しているが、中継の随所で出演者が花火を鑑賞できるように、舞台は複数のスタッフが両手で押しながら回転できるように設計されている。また、大阪天満宮の境内(または門前)から宮入り、列外船の上から花火打ち上げ、天満宮に近い天神橋筋商店街から賑わいの模様を随時中継。平成時代最後の開催であった2018年の生中継からは、ヘリコプターによる大阪市および周辺地域の空撮中継も取り入れている。

その一方で、地上デジタル放送移行後の2015年以降は、生中継にマルチチャンネル編成を採用。サブチャンネル(073チャンネル)では、船渡御と奉納花火の映像を、千年屋俊幸アナウンサーのナレーションや進行で紹介する。千年屋がテレビ大阪を定年で退職(フリーアナウンサーへ転身)した2019年には、FM大阪(当時の愛称は「FM OH!」)とのコラボレーション企画を実施する関係で、同局の番組パーソナリティから1名がサブチャンネルの進行に加わっていた。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で神事のみ執り行われた2020年にも、本宮の夜に特別番組を編成。大阪天満宮境内からの生中継をベースに、前年までの放送の同録映像から厳選した名場面集を織り込んだ。前年に続いてFM大阪とのコラボレーション企画も実施されたが、テレビ大阪では放送時間を例年の2時間から40分(19:20 - 20:00)に短縮。出演者も、テレビ大阪のアナウンサー(福谷清志川北円佳坂本七菜)と大阪市長(民選第21代)松井一郎(特別ゲスト)に限定した[11]

本宮が日曜日であった2021年には、1982年の開局以来初めて生中継を見送った代わりに、当日の11:52 - 12:40に『今日は天神祭!皆さん、ご苦労さまです~伝統の祭りを支える人たちに密着~』という事前収録のドキュメンタリー(リポーター:石田靖笑い飯哲夫)を編成した。前年と同じ事情で神事のみ執り行われたことに加えて、前年に見送られた2020東京オリンピックの開催が決まったことに伴って、テレビ東京系列担当分の男子競泳競技予選中継を当日の夜に同時ネットで放送したことによる。

テレビ大阪が開局40周年を迎えた2022年には、船渡御と奉納花火の再開が見送られたことから、前年に続いて生中継を断念。天神祭や大阪の歴史を物語るスポットをモーリー・ロバートソン豊崎由里絵(テレビ大阪の開局に協力していた毎日放送出身のフリーアナウンサー)と高島幸次(大阪天満宮文化研究所の研究員を務める歴史学者)が巡るロケを天神祭の開催前(7月上旬)に実施したうえで、収録映像に桂吉弥のナレーションを添えた特別番組『天神祭さんぽ~歩けばわかる浪花の今昔~』を本宮当日(月曜日)の15:32 - 16:29に放送した。

2023年には、船渡御と奉納花火が復活することを受けて、テレビ大阪が本宮の生中継を7月25日(火曜日)の18:25 - 20:54に再開。司会は休止前と同じく西川きよしとハイヒールで、ヘリコプターからの空撮中継も前田拓哉(テレビ大阪アナウンサー)の実況リポートで復活させたほか、放送枠を休止前から30分ほど拡大させた。また、「天神祭2023予習復習スペシャル」と銘打って、『今日は天神祭!皆さん、ご苦労さまです』を7月23日(日曜日)の11:36 - 12:24、『天神祭さんぽ』を宵宮(24日)の17:30 - 18:29に再放送[12]。生中継では休止前と同じく、開局以来41年間本社に使用してきた日経大阪電波会館の屋上に、人力でのみ回転できる進行用の舞台(前述)を設置した。もっとも、テレビ大阪では日経大阪電波会館の近隣で建設中の複合施設(ダブルツリーbyヒルトン大阪城)に2024年4月から本社機能と演奏所を移転させることが決まっているため、この会館から天神祭の中継を進行する体制を2023年で終了させている。


  1. ^ “天神祭中止 渡御行事と奉納花火 神事は実施”. 大阪日日新聞. (2020年4月14日). https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200414/20200414026.html 2020年4月16日閲覧。 
  2. ^ “規模縮小の天神祭 神事ライブ配信 コロナ後の祭り模索”. 産経新聞. (2020年7月20日). https://www.sankei.com/article/20200702-BX7RGPFIWNK2XEGMECLT22SPKM/ 2020年7月23日閲覧。 
  3. ^ “新型コロナウイルス感染者の発生について”. 大阪天満宮. (2021年2月25日). https://osakatemmangu.or.jp/news/898/ 2021年5月20日閲覧。 
  4. ^ “天神祭、今年も行事中止 神事は録画し公開”. 産経新聞. (2021年5月20日). https://www.sankei.com/life/news/210519/lif2105190040-n1.html 2021年5月20日閲覧。 
  5. ^ “陸渡御3年ぶり復活 天神祭 船渡御は断念”. 大阪日日新聞. (2022年5月26日). https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/220526/20220526028.html 2022年7月6日閲覧。 
  6. ^ “天神祭3年ぶりの陸渡御、大阪 みこし担がず人数制限”. 共同通信. (2022年7月25日). https://web.archive.org/web/20220725165357/https://nordot.app/924233775986065408?c=39546741839462401 2022年7月26日閲覧。 
  7. ^ 開局した1982年のみ、テレビ東京との相互ネット方式で放送された(司会は藤本義一秋野暢子)。
  8. ^ 火・土曜日はローカルセールス枠
  9. ^ 毎年、テレビ東京ではこの枠で隅田川花火大会を関東ローカルで放送している。2019年(木曜開催)は土曜ではなく翌週火曜に振り替えた。
  10. ^ 2010年の場合には、『モヤモヤさまぁ〜ず2』を21:00 - 21:54(120分遅れ)に時差ネット、『日曜ビッグバラエティ 長距離路線バス沿線の人々』を7月31日(土曜日)に振替放送。
  11. ^ テレビ大阪 今年も「天神祭」生中継「映像だけでも大阪の夏を感じてもらいたい(『スポーツニッポン2020年6月10日付記事)
  12. ^ "天神祭の歴史を歩いて知る!「天神祭さんぽ ~歩けばわかる浪花の今昔~」7月25日(月)放送!" (Press release). テレビ大阪. 22 July 2023. 2023年7月25日閲覧
  13. ^ 天神祭から暴力団排除 大阪天満宮など規程制定”. 産経新聞社 (2022年5月22日). 2023年8月3日閲覧。
  14. ^ (社)農山漁村文化協会編『別巻 祭りと行事のごちそう 聞き書 ふるさとの家庭料理』(社)農山漁村文化協会 2004 ISBN 4-540-03340-9






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