天神祭 天神祭に参加するには?

天神祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 14:14 UTC 版)

天神祭に参加するには?

一般参拝(観覧)客としてではなく天神祭の神事や祭事に参加するには基本的に講に所属しなければならない。天神祭はあくまで大阪天満宮の氏子による祭事であるためである。しかしながら、講の条件は厳しくなく、大阪天満ライオンズクラブ奉仕講など新しい講も認められている。また、講の人員不足のためアルバイトボランティアといった形で参加することもできる。他には市民奉拝船の公募に応募したり、帝国ホテルの奉拝船のチケットを購入して船渡御に参加する手段もある。清掃ボランティアも募集しており、天神祭清掃ボランティア天神祭美化委員会(ダストバスターズ)に参加する方法もある。

用語

天神祭には講または講社と呼ばれる団体があり、この講が天神祭を支える大きな役割となっている。講の起源は詳しく明らかになっていないが、古い講は江戸時代よりあったと言われている。元々、講とは同じ志を持った集団であり、天神祭に奉仕するために、商人の町であった特徴上、米問屋や八百屋など各同業団体などで集まってできた。一般参拝(観覧)客としてではなく天神祭の神事や祭事に参加するには、基本的に講に所属する必要がある。大阪天満宮の講をまとめる大阪天満宮講社連合会があり、天神祭の基本的なことはこの会で決められる。現在の講社連合会会長は天神講獅子の講元、森本幸一である。主な講社は、催太鼓の太鼓中(たいこなか)、天神祭で渡御列でご神体をお乗せする御鳳輦講(ごほうれんこう)、鳳神輿の菅南連合鳳講、玉神輿の中央市場玉神輿講、だんじり囃子の地車講(じぐるまこう)、獅子舞の天神講獅子、牛曳童児の福梅講、米穀商の御錦蓋講(おきんがいこう)、御神酒講、花商組合の榊講、船渡御の船を世話する御船講(おふねこう)、どんどこ船のどんどこ船講、出版業界の御文庫講、丑日講、天神橋商店街の御羽車講(おはぐるまこう)[この講の23日の御羽車巡行にあわせてギャルみこしが行われている]、など現存する講社は25団体である。講によって太鼓中は催太鼓、地車講は境内でのだんじり囃子の演奏、踊りを奉納するなどと役割が決まっている。しかしながら上記でも述べたが、講を構成する人員も年々減少しているため、アルバイトやボランティアなどの参加が増加している。とりわけボランティアはダストバスターズと呼ばれる清掃ボランティアが活躍している。

催太鼓

天神祭の陸渡御の先頭を切る枕太鼓台で6人一組で3人ずつで大太鼓を挟んで叩く。叩き手は「願人(がんじ)」と呼ばれ、特徴としては長い赤い布が垂れ下がった投げ頭巾と呼ばれる烏帽子に似た帽子をかぶり背中に背ブチと呼ばれる木の棒を背負おっている。願人が打つ太鼓を担ぐ人を「舁ぎ方(かつぎかた)」と言い、舁ぎ方を3年以上経験しなければ花形である願人にはなれない。後、舁ぎ方と願人を統率する「采頭(ざいがしら)」と「采方(ざいかた)」がいる。太鼓の演奏法は独特で大阪府の無形民俗文化財(記録選択)となっている。

催太鼓の特徴は「からうす」である。からうすは催太鼓の太鼓台の下に丸太を挟み、その丸太を軸にしてシーソーのように揺らしながら太鼓を叩く豪快な技である。縦に揺れる縦からうすと横に揺れる横からうすがある。願人は落とされないように縄にしがみつきながら太鼓を叩くが、この時でも投げ頭巾が落ちないようにしなければならない。

御迎人形

御迎人形

御迎人形は元禄期に祭の前に町内に飾られ、祭になると船に高く人形を掲げて神霊を迎えたことが始まりとされている。当時の人形は2メートルほどであったが、享保年間の人形芝居の隆盛により4メートル以上ある大型の御迎人形も製作されるようになった。弘化三年の『天満宮御神事御迎舩人形図会』によると44体あったが、維新や戦禍で多くが焼けてしまい15体になった(うち14体は大阪府有形民俗文化財)。御迎人形の多くは歌舞伎物を題材としており、他には羽柴秀吉坂田公時関羽など和漢の歴史や物語の人物が多い。天神橋筋商店街の天神橋筋2丁目アーケードに御迎人形をモティーフにした人形を見ることができる。

御迎人形の逸話として文政7年に御迎人形の阿部保名に恋をした天満青物市場の娘さわの話が残っている。

残っている15体は天神祭の期間中数体が境内で展示される。

どんどこ船

どんどこ船

どんどこ船の起源は前述の御迎人形をかざった船から来ている。元々は伝馬船を使っていたため伝馬ともてんまとも呼ばれる。名前の由来はどんどこと音をかき鳴らしながら進む姿から来ているとされている。鉦太鼓に合わせて28人の漕ぎ手が一斉に櫂を漕いで進む姿は勇壮である。

どんどこ船は陸渡御には参加せずに大川を下り祭の開催を知らせる役目を担っている。船渡御になると列外船の一つとして祭を盛り上げる役目を担う。高校生から大人が乗船しているどんどこ船(木場若中)と、小中学生が乗船している子供どんどこ船(木場小若)の現在2つの船が活躍中。木津川・土佐堀川・大川・東横堀川・道頓堀川を縦横無尽に行き来する様は大阪夏の風物詩の一つとして有名。

24日の鉾流神事の際に神鉾を拾い上げる御鳥船(おとりぶね)もどんどこ船(木場若中)のメンバーが太鼓を打ち鳴らし、櫓と櫂の人力で航行。※宮入り(どんどこ船を陸に上げ、船ごと境内に入る)の際に神鉾を返す役目もどんどこ船講(木場若中・木場小若)が行っている。

大阪府内における唯一の手漕ぎ船の伝統行事として、また全国的に見ても希少な漕ぎ方を伝承しており、貴重なものとして、平成31年3月22日に大阪府の無形民俗文化財(記録選択)に指定された。

龍踊り

天神祭の龍踊りは長崎(“ジャおどり”と発音)・中華街神戸南京町春節祭での複数人で龍の人形を操って踊るそれとは異なり、龍が天に昇るさまを模して踊る。踊り手が指を曲げ、手や体をくねらせて昇竜を表現しているのが特徴である。宵宮では地車講によって地車囃子の太鼓と鉦にあわせて踊る姿を境内で終日見ることが出来る。また、船渡御では市民奉拝船や協賛団体の奉拝船の船上で踊っている姿を見ることも出来る。なお、長柄流と呼ばれる地車囃子では、「運をつく」という地車踊りがなされており、龍踊りとは異質なものと考えてもよかろう。

天神祭以外でも、大阪市内の杭全神社長柄八幡宮彌榮神社桑津天神社、旭区清水の八幡大神宮などや、豊中市の服部天神宮などの神社のだんじり祭などでさかんに踊られている。また、ほかには梅田近辺での路上パフォーマンスなどで見かけることが出来る。なお、長柄八幡宮や服部天神宮での踊りは、龍踊りではない。

大阪締め(手打ち)

大阪でよく使われる手締めの一種で元々生國魂神社に伝わる五節からなる大阪締め(手打ち)が省略されて三節になって使われている。三節目が「よぉやさの」、「よーいとさ」や、「商売繁盛」になる場合もあるが天神祭で使われる大阪締め(手打ち)は下記のスタイルが一般的である。

打ちましょ(パン、パン)もひとつ(もうひとつ)せぇ(パン、パン)いおうて(祝うて)三度(パ、パン、パン)

天神祭開催中は大阪締め(手打ち)はいろいろな場面、場所で使われるため、聞く機会の多い節回しであり、奉拝船同士や列外船と行き違う際に大阪締め(手打ち)を交わすため、奉拝船に乗船の際は練習を行う。

ギャルみこし

ギャルみこしで使われるだんじり(天満駅前にて撮影)
  • 毎年7月23日(宵宮の前日)に行われている。本来の名称は「天神祭女性御神輿」だが、参加者や観覧者の間でいつの頃からか「ギャルみこし」と呼ばれるようになり、そのままイベントの名称として定着している。第1回は1981年で、地域文化の発展・振興と地域の活性化の一環として天神橋筋商店街の四町会、四番街、天四北商店街、天五商店街、天六商店街の各商店街団体が中心となって企画された。
  • 1981年は認められなかった天満宮の参拝が第2回の1982年から御羽車講巡行の一環として行われるようになった。
  • 毎年担ぎ手はオーディションで募集する。オーディションでは参加者が仮装をしてそれを選考で人選した後、その中から優秀者は「ミス天神橋」(1名)「準ミス天神橋」(2名)「御羽車娘」(1名)として表彰し記念品(高級ブランド品)が贈呈される。2005年までの参加資格は満16歳~28歳の女性に限られていたが、2006年以降は年齢制限が撤廃された。なお、2015年は後述の理由によりオーディションは実施しなかった。
  • また、ギャルみこしの担ぎ手に選ばれたメンバーはこの他に大阪市の各種公共イベント等に出席したり、海外姉妹都市等への招待を受けて演技することもある。
  • 2005年は第25回記念大会として、将来を担う子供たちと過去にギャルみこしを経験した母親との親子が参加する企画も行われた。
  • 2015年は第35回記念巡行として、歴代のミス天神橋、準ミス天神橋、御羽車娘の受賞者を中心に、過去のギャルみこし参加者から105名が選抜されて担ぎ手をつとめた。

天神天満花娘

大阪天満宮で斎行される星愛七夕まつりや天神祭のガイドをする天神橋筋商店街のキャンペーンガール。大阪天満宮の巫女と同等の立場にある。 天神橋筋商店連合会(天神橋1・2・3丁目商店街)の主催で平成15年より公募が開始され、毎年10名が選ばれている。 水都大阪をイメージした浴衣の上に千早を着用し、大阪天満宮の花・紅白の梅をあしらった華やかな冠を付けて奉仕する。 星愛七夕まつり(7月7日)と天神祭(7月24日~25日)の期間中や大阪市の各種公共イベントで活躍する他、大阪天満宮の十日戎「天満天神えびす祭」で福娘として奉仕する。

暴力団排除規定

2017年、大阪天満宮や関係団体は、天神祭に暴力団を関わらせないことを目的に「暴力団排除規程」を制定。天神祭で神事や奉納花火、露店などに暴力団が参加や協賛といった形で関与するのを拒否することとした[13]

天神祭に関する料理

  • 7月24日(宵祭り)の夕食:冷やしそうめん、あじの塩焼き、はもの皮を入れたきゅうりの酢の物の、はもの皮のざきざくというものが食べられていた。
  • 7月25日(本祭り)のごちそう:冷やしそうめん、はものつけ焼き、はもちり、たこときゅうりの酢の物、お菓子わん(魚のすり身の揚げ物やきくらげが入った白天、干ししいたけとかいわれ菜の煮物)、はもの子と里芋の炊き合わせなどが食べられていた。[14]

  1. ^ “天神祭中止 渡御行事と奉納花火 神事は実施”. 大阪日日新聞. (2020年4月14日). https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200414/20200414026.html 2020年4月16日閲覧。 
  2. ^ “規模縮小の天神祭 神事ライブ配信 コロナ後の祭り模索”. 産経新聞. (2020年7月20日). https://www.sankei.com/article/20200702-BX7RGPFIWNK2XEGMECLT22SPKM/ 2020年7月23日閲覧。 
  3. ^ “新型コロナウイルス感染者の発生について”. 大阪天満宮. (2021年2月25日). https://osakatemmangu.or.jp/news/898/ 2021年5月20日閲覧。 
  4. ^ “天神祭、今年も行事中止 神事は録画し公開”. 産経新聞. (2021年5月20日). https://www.sankei.com/life/news/210519/lif2105190040-n1.html 2021年5月20日閲覧。 
  5. ^ “陸渡御3年ぶり復活 天神祭 船渡御は断念”. 大阪日日新聞. (2022年5月26日). https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/220526/20220526028.html 2022年7月6日閲覧。 
  6. ^ “天神祭3年ぶりの陸渡御、大阪 みこし担がず人数制限”. 共同通信. (2022年7月25日). https://web.archive.org/web/20220725165357/https://nordot.app/924233775986065408?c=39546741839462401 2022年7月26日閲覧。 
  7. ^ 開局した1982年のみ、テレビ東京との相互ネット方式で放送された(司会は藤本義一秋野暢子)。
  8. ^ 火・土曜日はローカルセールス枠
  9. ^ 毎年、テレビ東京ではこの枠で隅田川花火大会を関東ローカルで放送している。2019年(木曜開催)は土曜ではなく翌週火曜に振り替えた。
  10. ^ 2010年の場合には、『モヤモヤさまぁ〜ず2』を21:00 - 21:54(120分遅れ)に時差ネット、『日曜ビッグバラエティ 長距離路線バス沿線の人々』を7月31日(土曜日)に振替放送。
  11. ^ テレビ大阪 今年も「天神祭」生中継「映像だけでも大阪の夏を感じてもらいたい(『スポーツニッポン2020年6月10日付記事)
  12. ^ "天神祭の歴史を歩いて知る!「天神祭さんぽ ~歩けばわかる浪花の今昔~」7月25日(月)放送!" (Press release). テレビ大阪. 22 July 2023. 2023年7月25日閲覧
  13. ^ 天神祭から暴力団排除 大阪天満宮など規程制定”. 産経新聞社 (2022年5月22日). 2023年8月3日閲覧。
  14. ^ (社)農山漁村文化協会編『別巻 祭りと行事のごちそう 聞き書 ふるさとの家庭料理』(社)農山漁村文化協会 2004 ISBN 4-540-03340-9


「天神祭」の続きの解説一覧




天神祭と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「天神祭」の関連用語

天神祭のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



天神祭のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの天神祭 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS