地役権 地役権の取得

地役権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 03:25 UTC 版)

地役権の取得

地役権設定行為

地役権は土地所有者と地役権者との設定行為により取得できる(280条本文)。設定行為は通常は契約(地上権設定契約)であるが遺言でもよい[10][4][18]。地役権は第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないものでなければならない(280条但書)。

要役地の一部のための地役権設定については肯定説(有力説)と否定説があるが、いずれにしても登記実務上は筆単位でしか設定できない[4]。他方、承役地の一部への地役権設定は可能である[4]。同一承役地の上に数個の地役権を設定をすることもできる(285条2項参照)[4]

後述のように要役地上の地上権者、永小作権者、賃借人は地役権を行使しうるが、地役権の設定については所有者限定説と所有者非限定説が対立する[19]。地上権者や永小作人による設定については肯定的な見解が多いとされるが[10]、所有者非限定説に立つ場合にも現行法上登記方法がなく要役地の従たる権利にとどまるという問題がある[19]。なお、判例は賃借人による地役権設定につきこれを否定している(大判昭2・4・22民集6巻199頁)。

なお、地役権は併存しうるものである限り多重的に設定することも可能で、例えば同一の承役地上に通行地役権と眺望地役権を設定しうる[20][4]

取得時効

継続的に行使されるもので(継続地役権)、かつ、外形上認識することができるもの(表現地役権)に限り、時効取得することもできる(283条[10]。承役地の所有者が好意で暗黙に了承していた場合に地役権者が取得時効を援用しうるとすることは徳義上問題があるため、163条の取得時効の要件をさらに加重している[19]

相続

地役権は相続によっても取得される[18]


  1. ^ a b c 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、176頁
  2. ^ a b c d 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、282頁
  3. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、209頁
  4. ^ a b c d e f g h i j 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、211頁
  5. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、256頁
  6. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、261頁
  7. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、258-259頁
  8. ^ a b c d 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、210頁
  9. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、256-257・259-260頁
  10. ^ a b c d e f 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、284頁
  11. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、210-211頁
  12. ^ a b c 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、258頁
  13. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、283頁
  14. ^ a b 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、215頁
  15. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、215-216頁
  16. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、259-260頁
  17. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、216頁
  18. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、263頁
  19. ^ a b c 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、212頁
  20. ^ a b c 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、287頁
  21. ^ a b 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、214頁
  22. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、260頁
  23. ^ a b 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、289-290頁
  24. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権法 第3版』 成文堂、2006年5月、286頁
  25. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、265頁
  26. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、214-215頁
  27. ^ 川井健著 『民法概論2 物権 第2版』 有斐閣、2005年10月、219頁






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