京都議定書
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日本の目標達成状況
日本の削減量6%については、1990年度(代替フロンについては1995年)を基準としている。また、京都議定書目標達成計画で、それぞれの温暖化対策要素ごとに削減目標を定めている。同計画では、温室効果ガス排出量を基準年比 -1.8%から -0.8%に抑制し、森林吸収量を基準年比3.8%程度確保し、残りを京都メカニズムの活用と見込んでいた。しかし2008年度から2012年度の国内の排出量の平均は逆に基準年に対して1.4%上回った[17]。これに森林等吸収量(基準年比3.9%相当)と京都メカニズムクレジット(基準年比5.9%相当)を考慮すると、基準年比-8.4%となり、目標を達成した[18]。
各国の取組状況
削減義務を負う国・地域(附属書I国)の、1990年から第一約束期間にかけての温室効果ガス排出量の増減割合を下表に示す [19]。緑色は目標達成、赤色は目標不達成を表している。
国・地域 | 2008年から2011年の温室効果ガス排出量平均値の
京都議定書基準年からの変化率 (吸収源活動を除く) |
2012年までの EU域内の目標値 |
議定書の削減義務 2008-2012年 |
---|---|---|---|
EU | -11.4% | - | -8% |
ドイツ | -24.0% | -21% | ↑ |
フランス | -9.6% | ±0% | ↑ |
イギリス | -24.1% | -12.5% | ↑ |
アイルランド | +11.7% | +13% | ↑ |
スペイン | +26.0% | +15% | ↑ |
ポルトガル | +22.6% | +27% | ↑ |
ギリシャ | +13.6% | +25% | ↑ |
スウェーデン | -13.5% | +4% | ↑ |
デンマーク | -12.5% | -21% | ↑ |
ノルウェー | +7.7% | - | +1% |
ロシア | -33.1% | - | ±0% |
ウクライナ | -57.3% | - | ±0% |
日本 | +0.2% | - | -6% |
オーストラリア | +0.4% | - | +8% |
ニュージーランド | +17.2% | - | ±0% |
京都議定書に関する議論
地球温暖化対策や京都議定書の在り方については、多種多様な議論がある。中でも、温室効果ガスの削減の具体的手法、数値目標については、各国の意見が対立する例が多く、個人レベルでも議論がある。また、京都議定書の必要性や効果については、懐疑論(疑問視する意見)が展開されることも少なくないが、その中には信頼性に乏しいものも多く含まれている。
メカニズムに関する議論
日本国内での議論
京都議定書の削減義務に対しては、日本国内で下記のような議論も見られる。
- 京都会議の議長国であった日本には、会議を成功させるという、国内外の世論によるプレッシャーがかかっていた。会議をまとめやすくするという外務省の思惑と、国内の温暖化対策を加速させるという環境省の思惑とがあった[20]
- 日本の数値目標が-6%になった経緯は日米欧の非公式会合での政治的合意によるものであり、アメリカと日本が足並みをそろえたのは、途上国の参加を促すためであったが、米上院はバード・ヘーゲル決議を採択していたので、途上国が参加しない場合など、3項に当てはまる場合は、上院が議定書を批准しないことが決まっていた。また、欧州やロシア、米国は、それぞれの国のエネルギー事情から、数値目標が達成可能かどうかや、経済に与える影響をあらかじめシミュレーションしていたが、日本は6%に対して、裏づけがないまま合意に至っている。[21]
- ポスト京都議定書の協議が始まるようになると、温室効果ガス排出量削減の必要性は認めながらも、「GDP比のCO₂排出量は、日本を1とすると、EU(25カ国)は1.7、アメリカは2.1、中国は10.8である」「日本のエネルギー効率は高いことから削減余地が少ない」「エネルギー効率が反映されかつ技術的に合理性のある衡平な枠組を求めるべき」といった主張が、日本経済団体連合会より出された[22]。
効果に関する議論
京都議定書の効果に対しては、下記のような議論も見られる。
現段階から米国が参加しても、温度上昇を 2100年までに0.15℃改善したり、2.5cm の海面上昇を抑えたりする程度の効果であり「地球温暖化を 6年程度遅らせるほどの効果である」[23]「京都議定書が保守的に守られた仮定でも効果は限定的」との指摘もあるものの、一定の成果であるといった評価がされている。
地球温暖化問題に対する懐疑論
地球温暖化に対してはその信頼性や影響について様々な懐疑論が見られる。
京都議定書後の世界
京都議定書の定める2012年以降の枠組みについては、「ポスト京都議定書」という通称で国際的な話し合いがもたれ、「カンクン合意」として結実した。
注釈
- ^ スウェーデンの数値はEU域内で割り当てた目標値である。なお、同国ではそうしたEU諸国の理解に甘んじることなく、たとえば南部のベクショーでは 2010年までに 1993年比50%削減といった目標を、コミューンが独自に掲げて取り組むといった努力が続けられている。[要出典]
- ^ アル・ゴア副大統領は批准を推進するも、自動車・電力(米国での発電には未だに石炭も多く使われている)など産業界からの反対を受けクリントン大統領が批准を断念、次いで大統領選挙に臨んだブッシュは削減義務受け容れを訴えて当選するが、後にこれを覆し、京都議定書を拒絶した(後述の米WGBH報道番組で詳説)。特に世界最大の排出国である米国のブッシュ政権は強硬に反対していたため、国内世論およびEUなど削減に努める向きから批判されていたが、最近ようやくその政策が変化はじめたと指摘する向き(次の参考記事など)もある。[要出典]
出典
- ^ 飯田 (2000) [要ページ番号]
- ^ ノルゴーら (2002) [要ページ番号]
- ^ [グリーンタイムズ 6巻5号]、NEDO。
- ^ 飯田 (2000), p. 84.
- ^ 気候変動枠組条約第7回締約国会議(環境省)
- ^ CGER ココが知りたい温暖化 排出削減目標を達成できない場合(国立環境研究所 地球環境研究センター 久保田泉)
- ^ 馬場未希 (2007年4月17日). “政府が初めて温暖化ガス排出権を122億円で購入 京都議定書を守る費用は今後数兆円に上る可能性も”. 日経ビジネスオンライン. 日経BP社. 2009年1月18日閲覧。
- ^ 気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)について 京都議定書発効の要件(環境省)
- ^ ホッキョクグマ、米が絶滅危惧種に提案 温暖化政策変化(朝日新聞、2006年12月28日)
- ^ BS世界のドキュメンタリー『アメリカ 石油依存の構図 〜遅れる温暖化対策〜』(原題 "Hot Politics"、米WGBH制作)
- ^ ラッド豪首相、初仕事は京都議定書批准 新内閣が発足(朝日新聞、2007年12月 3日)
- ^ “京都議定書の署名国と締約国”. 気候変動枠組条約・京都議定書. 環境省. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “Status of Ratification of the Kyoto Protocol” (英語). 気候変動枠組条約事務局. 2013年11月23日閲覧。
- ^ 気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)について 京都メカニズムの概要(環境省)
- ^ (PDF)京都メカニズムの仕組み(環境省)
- ^ 吸収源対策としての森林整備について(林野庁)
- ^ “2012年度(平成24年度)の温室効果ガス排出量(確定値)について”. 報道発表資料. 環境省 (2014年4月15日). 2016年8月3日閲覧。
- ^ “京都議定書第一約束期間(2008~2012年)の目標はどうなっていたの?”. 林野庁. 2018年5月7日閲覧。
- ^ “附属書 I 国の温室効果ガス排出量と京都議定書達成状況(2013年提出版(2011年値)”. 国立環境研究所. 2013年11月23日閲覧。
- ^ 石井 (2004), p. 19.
- ^ 石井 (2004), pp. 34-36, 40.
- ^ 京都議定書後の地球温暖化問題に関する国際枠組構築に向けて2007(日本経済団体連合会)
- ^ 石井 (2004), p. 58.
- ^ “改正京都議定書条文” (PDF) (英語). 気候変動枠組条約事務局. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “Doha Amendment” (英語). 気候変動枠組条約事務局. 2021年9月1日閲覧。
固有名詞の分類
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