不作為犯 制定史

不作為犯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/05 08:42 UTC 版)

制定史

江戸時代

江戸時代には現在の刑法よりも多くの不作為犯の規定が存在した。特に封建的道徳観に基づく規定が多い。公事方御定書71条寛保4年(1744年)追加によれば、目上の親族・主人・師匠生命の危険にさらされた場合に、目下の親族・召使・弟子には救助義務があり、これに違反すれば重刑が科せられ、特にそれが親子関係であった場合には原則的に死刑が適用された。

当時の江戸町奉行の記録によれば、火災に巻き込まれた親を救出出来なかった子供が「子であれば、自分が焼け死んでも親を救うべきであるのにそれをしなかったのは人倫に反する大罪である」として打ち首とされた例が記されている。

江戸幕府の国家的不作為については、国際連盟発足より70年以上前の1844年、幕府がオランダ国皇帝から福祉の増進について勧告を受けた例がある[1]

明治刑法

明治41年の明治刑法(1908年)は、殺人傷害致死遺棄逮捕監禁により自己または配偶者直系尊属に害を与える作為・不作為については刑罰下限を高く重くし、執行猶予も禁止するという尊属加重規定を設けていた。

最高裁判所は1973年、尊属殺重罰規定違憲判決をなしてこの規定を削除し、尊属(親族)の不作為に対する刑罰を緩和した。

1974年

1974年(昭和49年)、法制審議会総会は改正刑法草案を決定した。第12条に不真正不作為犯を規定したものであったが、草案は国会に上程されることなく、今日に至る。

第12条(不作為による作為犯) 罪となるべき事実の発生を防止する責任を負う者が、その発生を防止することができたにもかかわらず、ことさらにこれを防止しないことによつてその事実を発生させたときは、作為によつて罪となるべき事実を生ぜしめた者と同じである。

2010年

裁判所は2010年、公務員告発義務刑事訴訟法第239条)について、「公務員の告発義務は,公務員が国ないし公共団体に対して負担するもの」、「各公務員において告発を行うことが個別の国民との関係で法的に義務付けられるものではない」という論を判例化し、公務員の不作為に関する規制を緩和した[2]








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