三バン 三バンの概要

三バン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 01:22 UTC 版)

候補者ポスター掲示場。日本の選挙戦は公式な場の外側で激しい戦いが行われている。

日本の公職選挙では、政治家は優れた政策や資質で選ばれるべきで、知名度や組織、資金の大小で選挙運動が不公平にならないよう、公職選挙法政治資金規正法などにより、選挙活動の制限と公平化が図られている。だが現実には、後援組織の充実度、知名度の有無、選挙資金の多寡や集金力の多少に当落が左右される場合が多く、これを揶揄する文脈で用いられることが多い。

地盤

【地盤】UAゼンセン愛知県支部の玄関に掲げられた、複数の政治家の看板。
労働組合などの後援組織の存在は、組織のメンバーによる投票や彼らの選挙活動によって一定の組織票が期待でき、得票数増加の一因となる。

政治家・予定候補者が定着して活動していて一定の支持者を持つ地区、より具体的には選挙区内の支持者の組織後援会)を指す。地盤は固い方が良いため、支持が強固な様子を「地盤が固い」、その地域を「固い地盤」と喩える。既成の組織(宗教業界職能市民団体労働組合政党支部・企業)や個人の関係(地縁血縁同級生・同僚や趣味・スポーツ・ボランティアの仲間など)を軸として選挙区内の支持者が組織化(地盤強化、後援会拡充や勝手連的な支援組織の結成)される場合が多い。

支持者の組織は、選挙運動において、第三者に投票を依頼するなど実際に選挙運動を担う人員ともなる。これを「足腰」と言ったりする(例:「○○陣営の足腰が弱っている」(実働する人が少なくなっている)など)[1]

地盤培養行為

「地盤を養う」(=政治家・予定候補者の地域定着化)行為を「地盤培養行為」と呼ぶ。これは建前上「地盤とする選挙区で普段から有権者と接触し政見その他を周知する行為」とされるが、選挙での支持を期待して行われることがある。具体的には公示(告示)前の戸別訪問である。公職選挙法で「別訪問」は禁止されているが、地盤培養行為は公職選挙法上の「選挙運動」(事前運動)とみなされないため[2]行えるもので、なおかつ「別訪問」と位置付けて法的リスクを回避し、選挙期間中には行わない。

さらに地盤が乏しい候補の場合は、選挙期間前にわざわざ複数の団体に入会してまで人脈を増やすことすら行われており、個人の関係においても選挙期間前に映画館祭事など選挙区内の人が集まる場所に出かけ先程まで見知らぬ人であった人に名刺(選挙とは無関係の肩書)を差し出してゼロから人間関係を作ることすら珍しくない。「電柱にも頭を下げる」と言われる所以である。

こうした形で選挙を有利に進めようとするやり方を「ドブ板選挙」と呼ぶ[3]。その他、後援会活動も事前運動とみなされないため、同様の行為が行われることがある。後援会の場合は「入会の手続き(入会申込書)」「会員間の内部連絡(部内資料)」の体裁をとり、無差別には行わない。

看板

【看板】政治家名(ただし故人・区外)が紛れている町中の広告看板。町中の看板のようによく目立ち、よく知られている候補ほど有利である。

知名度の有無を、看板のように市中に知られている(目立つ)喩えである。日本では公職選挙法により、選挙公報政見放送などで選挙用広告を均等にする一方で、その内容に制限がある。したがってどの候補者も「公平」であるとされてはいるが、芸能人文化人スポーツ選手、地元有名企業の社長(社名と同じ苗字など、資金である「鞄」も同時に備えている)、多選者、世襲候補旧藩主家出身者等は、立候補の時点で知名度が高く、始めから有利である[4][5]。知名度や功績の無い、いわゆる「泡沫候補」は、自分の存在と名前をゼロから有権者に知らせる必要が生じ、不利となる。




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