レーティッシュ鉄道Ge2/4形電気機関車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 10:17 UTC 版)
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レーティッシュ鉄道の本線系統は、1913年に最初から電化で開通したエンガディン線を手始めに1922年までに全線が交流11 kV 16 2/3 Hzで電化されたが、使用される電気機関車としては、軸配置1'D1'のGe4/6形8機とともに、軸配置1'B1'のGe2/4形7機が用意された。この機体は4軸駆動、主電動機2台搭載のGe4/6形に対して、主電動機を1台搭載としたロッド式の2軸駆動機であり、1912年に2機、1913年に5機が、SLM[1]製の車体、機械部分、走行装置に、BBC[2]が製の電機部分、主電動機を搭載して製造されたもので、価格は1機72,000スイス・フランである。また、性能的にもGe4/6形の約半分であり、1時間定格出力220kW、牽引力26kNを発揮し、25パーミルで90tを28km/hで牽引可能であった。
Ge2/4形はその後入換用に使用されていた蒸気機関車の代替用に一部が凸型車体の入換機に改造され、1943年に1機が電気/蓄電池兼用機のGea2/4[3]形211号機となり、その後1967年には電気/ディーゼル兼用機のGem2/4形211号機に再改造されたほか、1946年と1943年に各1機が電気専用のGe2/4形212、213号機となっている。また、残った機体のうち2機は1946年に形態はほぼそのままで本線・入換兼用機として出力増強、近代化改造され、Ge2/4形221、222号機となっている。
それぞれの機番と製造所、SLM製番、BBC製番、製造年、改造後機番、改造年は下記のとおりである。
- 201 - SLM/BBC - 2256 - 723 - 1912年12月27日 - 213 - 1944年4月12日
- 202 - SLM/BBC - 2257 - 724 - 1913年1月25日 - 211(蓄電池兼用) - 1943年2月1日 - 211(ディーゼル兼用) - 1967年1月26日
- 203 - SLM/BBC - 2306 - 725 - 1913年4月16日 - 221 - 1945年6月6日
- 204 - SLM/BBC - 2307 - 726 - 1913年4月26日 - 222 - 1946年6月1日
- 205 - SLM/BBC - 2308 - 727 - 1913年5月17日
- 206 - SLM/BBC - 2309 - 728 - 1913年6月6日- 212 - 1943年7月7日
- 207 - SLM/BBC - 2310 - 729 - 1913年6月23日
仕様
車体
- 車体は車体端を絞り、機械室部分と運転室部分に段差があるこの時代のスイス製電気機関車の標準スタイルで、Ge4/6形とも同デザインである。
- 屋根上には大形のパンタグラフが2基設置され、車体の機械室の2箇所の明取窓とルーバー付きの側面壁が全面取外式となっている。
- 運転室は長さ約1200 mmで、ハンドル式のマスターコントローラーによりが運転操作を行う。乗務員室扉の窓は下落としで、正面窓上に換気窓を持つ。また、機械室は両側通路式で変圧器室と主電動機室に分けられている。
- 正面は非貫通で縦長の2枚窓、正面窓間と下部左右の3箇所に丸型の引掛式の前照灯が設置されている。連結器はねじ式連結器で緩衝器が中央、フック・リングがその左右にあるタイプである。また、当初は前位側に車体の前面下部を大きく覆う形で連結器も取付けられた大型のスノープラウを冬季に設置していたが、その後は前位・後位側共に前面の連結器下部にスノープラウを設置する方式となった。
- 塗装
走行機器
- 制御方式は、デリー反発電動機の2対のブラシの相対位置を変化させることにより制御を行う方式である。
- 主変圧器は車体内機械室の後位側に設置され、出力は駆動用が995 V、補機用が315 Vで、変圧器容量の415 kVAのうち列車暖房用に60 kVAを使用する。
- 主電動機は機械室内の車体前後中央から前位よりに600 mmの位置に出力221 kW、直径2150 mmの大形、低速回転のデリー反発電動機が台枠に半埋込に設置されており、主電動機からクランクとサイドロッドのみでギヤを使用せずに動力を伝達して1時間定格牽引力26 kNの性能を発揮する。
- 台枠は板台枠構造で、2軸の動輪の前後に先台車が付き、先輪と動輪2軸がイコライザにより接続されており、先輪の横動量は110 mm、動輪径は1070 mm、先輪径は710 mmである。
- 補機として電動空気圧縮機と出力18 V、500 Wの電動発電機を搭載しており、いずれも315 Vのデリー反発電動機駆動である。
改造
- 205号機は事故復旧時に1921年5月31日付で車体を新製しており、この際正面に貫通扉が設けられたため、他の機体と外観が異なっている。
- 1927年3月22日には206号機が同様に事故復旧時に車体を新製しているが、本機は原形に復されている。
- このほか各機体に対して片側のパンタグラフを新型のものに変更するなどの改造が行われている。
主要諸元
- 軌間:1000mm
- 電気方式:AC 11 kV 16 2/3 Hz架空線式
- 最大寸法:全長8700 mm(スノープラウ付9448 mm)、全幅2650 mm、全高4050 mm(パンタグラフ折畳時)、全軸距6000 mm、固定軸距2600 mm
- 自重:36.71 t(機械部分18.9 t、電機部分重量17.81 t、動輪周上重量21.8 t)
- 動輪径:1070 mm
- 先輪径:710 mm
- 走行装置
- 主制御装置:主電動機ブラシ相対位置制御
- 主電動機:BBC製Typ EZ-12-300-167デリー反発電動機×1台(12極、動輪周上1時間定格出力221 kW、29 km/h)
- 牽引力:
- 牽引力:26 kN(1時間定格)、71 kN(最大)
- 牽引トン数:90 t(25パーミル、28 km/h)
- 最高速度:50 km/h
- ブレーキ装置:手ブレーキ、真空ブレーキ
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- 1 レーティッシュ鉄道Ge2/4形電気機関車とは
- 2 レーティッシュ鉄道Ge2/4形電気機関車の概要
- 3 Gea2/4→Gem2/4 211形
- 4 Ge2/4 212-213形
- 5 Ge2/4 221-222形
- 6 運行
- 7 参考文献
固有名詞の分類
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