レーティッシュ鉄道Ge2/4形電気機関車 Gea2/4→Gem2/4 211形

レーティッシュ鉄道Ge2/4形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 10:17 UTC 版)

Gea2/4→Gem2/4 211形

ディーゼル/電気兼用機に改造後のGem2/4 211号機、クール駅、1982年
車体塗色がオレンジ色に変更となったのGem2/4 211号機、クール駅、1988年

1943年に入換用機として202号機を機械部分はSLM、電機部分をBBC、MFO[4]で改造したもので、主にDC 2000 Vのクール・アローザ線との入換作業のほか、その他非電化区間やAC 11 kV以外の電化区間でも使用できるよう、蓄電池併用のGea2/4 211号機となっている。さらに1967年には機械部分をSLM、電機部分をBBC、SAAS[5]、機関をDeutz-Dieselで改造し、蓄電池をディーゼルエンジン発電機に換装してGem2/4 211形となっている。改造費用はGea2/4形が54,000スイスフラン、Gem2/4形が260,000スイス・フランである。

車体

  • 車体はセミセンターキャブの凸型で両端にデッキ付、運転室前後の機械室は運転室とほぼ同幅で、前位側が長く、主電動機、主変圧器、補機類などが設置されており、これと反対側の後位側が短く、蓄電池とバラストが設置されている。
  • 屋根上には大形のパンタグラフが1基設置され、運転室から前後に大きく張出して庇となっている。
  • 運転室は長さ約1700mmで、前位側に設置されたハンドル式のマスターコントローラーによりが運転操作を行う。乗務員室扉は片側のみの設置で窓は下落とし式である。
  • 運転室正面は非貫通で2枚窓、正面窓間とデッキの正面仕切左右の3箇所に丸型の引掛式の前照灯が設置されている。連結器はねじ式連結器で緩衝器(バッファ)が中央、フック・リングがその左右にあるタイプである。
  • 塗装
    • 当初は車体が茶色で、運転室側面に"RhB"と機番の切抜文字が、デッキの正面仕切中央に機番の切抜文字が設置されていた。床下機器は黒、屋根および屋根上機器がライトグレーであった。
  • また、ディーゼル兼用化改造後時に塗装が車体は濃赤色、床下機器がダークグレーに変更されている。
  • その後1994年4月26日には車体が明るいオレンジ色、屋根が銀色となり、切抜文字類を撤去して運転室側面とデッキの正面仕切右側に機番が、前位側の機器室にレーティッシュ鉄道のロゴが入るよう変更されている。

走行機器

  • 制御方式は主電動機を通常の交流整流子電動機に換装してタップ切換で制御する方式としており、蓄電池からの電力により走行する場合には蓄電池の接続を切り換えて制御する方式としている。主変圧器は容量255 kVAでタップ切換は12段、蓄電池容量は当初は300 Ahであったが1946年に450 Ahに強化されている。
  • 主電動機は機械室のもともとデリー反発電動機が設置されていた位置にBBC製のTyp ELM 424交流整流子電動機1台を設置しており、主電動機直接駆動から2段減速式に変更してジャック軸からサイドロッドで動輪に動力を伝達する方式としている。なお、1時間定格は架線電圧での走行時は228 kW、蓄電池走行時は155 kW、主電動機冷却は機械室内に設置されたファンによる強制通風式である。
  • 台枠は原形と同じ板台枠構造で、先台車のみ変更され、全軸距が200 mm短縮され、横動量は100 mmとなっている。

改造

  • 1965年から蓄電池とバラストをディーゼル発電機に換装する工事を実施し、1967年よりGem2/4形に形式変更している。
  • 改造内容は後位側の機械室に設置されていた蓄電池を撤去してDeutz製で出力230 PS / 2000 rpm、V型12気筒のTyp A12L-714ディーゼルエンジンと発電機を搭載するもので、機械室も交換されて機器点検蓋などの形態が平滑なものになっており、運転室前面中央に煙突が設置されている。
  • ディーゼルエンジン走行時の定格出力は162 kWと蓄電池走行時より強化されている。
  • ブレーキは当初真空ブレーキと手ブレーキのみであったが、ディーゼル兼用化工事時に入換用空気ブレーキ、列車用真空ブレーキ、手ブレーキの構成に変更している。
  • また、集電装置がシーメンス製のシングルアーム式のものに変更されている。

主要諸元

  • 軌間:1000mm
  • 電気方式:AC 11 kV 16 2/3 Hz架空線式および蓄電池式もしくはディーゼル発電式
  • 最大寸法:全長8700 mm、全幅2696 mm、全高4050 mm(パンタグラフ折畳時)、全軸距6000 mm、固定軸距2600 mm
  • 自重:
    • Gea2/4:33.5 t(機械部分19 t、電機部分重量12.5 t、バラスト2 t、動輪周上重量21.6 t)
    • Gem2/4:34 t(機械部分20 t、電機部分重量13 t、動輪周上重量21.6 t)
  • 動輪径:1070 mm
  • 先輪径:710 mm
  • 走行装置
    • 主制御装置:主電動機電圧制御
    • 主電動機:BBC製Typ ELM 424交流整流子電動機×1台(1時間定格出力230 kW、27 km/h)
    • 減速比:8.420
    • 主機:Deutz製Typ A12L-714ディーゼルエンジン(230 ps / 2000 rpm、V型12気筒、ボアおよびストローク110 × 140 mm)
  • 牽引力:
    • 牽引力(架線走行):29 kN(1時間定格、26.8 km/h)、70 kN(最大)
    • 牽引力(蓄電池走行):20 kN(1時間定格、22 km/h)
    • 牽引力(ディーゼル走行):20 kN(1時間定格、22 km/h)
  • 最高速度:55 km/h
  • ブレーキ装置:手ブレーキ、真空ブレーキ(後に入換用空気ブレーキ、列車用真空ブレーキに変更)



  1. ^ Schweizerische Lokomotiv-undMaschinenfablik, Winterthur
  2. ^ Asea Brown Boveri AG, Baden
  3. ^ 形式称号の"G"は狭軌用、"e"は電気機関車、"a"は蓄電池機関車、"m"はディーゼル機関車を表す
  4. ^ Maschinenfabrik Oerlikon, Zürich
  5. ^ SA des Ateliers de Sechéron, Genève
  6. ^ Technikm Winterthur






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