リーマン予想 一般化と類似物

リーマン予想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 03:40 UTC 版)

一般化と類似物

ディリクレの L 級数と他の代数体

リーマンのゼータ関数を、形式的には似ているがはるかに一般的な大域的 L-関数に置き換えることによって、リーマン予想を一般化することができる。このより広い設定において、大域的 L-関数の非自明な零点の実部が 1/2 であると期待される。リーマンのゼータ関数のみに対する古典的なリーマン予想よりもむしろ、これらの一般化されたリーマン予想が、数学におけるリーマン予想の真の重要性の理由である。

一般化されたリーマン予想 (generalized Riemann hypothesis) は、リーマン予想を全てのディリクレの L-関数へ拡張したものである。とくにこの予想は、ジーゲルの零点英語版1/21 の間にある L 関数の零点)が存在しないという予想を含んでいる。

拡張されたリーマン予想 (extended Riemann hypothesis) は、リーマン予想を代数体の全てのデデキントゼータ関数へと拡張したものである。有理数体のアーベル拡大に対する拡張されたリーマン予想は、一般化されたリーマン予想と同値である。リーマン予想は代数体のヘッケ指標L-関数へ拡張することもできる。

大リーマン予想英語版 (grand Riemann hypothesis) は、全ての保型形式のゼータ関数(例えばヘッケ固有形式英語版メリン変換)へ拡張したものである。


注釈

  1. ^ 例えば ブルーバックス (2015)[2]Derbyshire (2003), Rockmore (2005), (Sabbagh 2003a, 2003b), du Sautoy (2003).本 Edwards (1974), Patterson (1988), Borwein et al. (2008), Mazur & Stein (2015) は数学的な入門を与え、Titchmarsh (1986), Ivić (1985), Karatsuba & Voronin (1992) は進んだモノグラフである。さらに、John Forbes Nash Jr. と Michael Th. Rassias によって編集された本 Open Problems in Mathematics英語版 は、Alain Connes によるリーマン予想に関する広範なエッセイを取り上げている[3][4]
  2. ^ Re は複素数の実部を示す記号。
  3. ^ 素数計数関数 π(x)対数積分による近似公式を指す。同値命題の節の第一の命題を参照。リーマンの素数公式より、π(x) の対数積分による近似の誤差項はゼータ関数の零点が臨界帯の両端から遠ければ遠いほど小さくなることが分かる。この距離が最大限に遠いということ、即ち全てのゼータ零点が臨界帯の中心線上に整列しており、近似の誤差がその方針で考え得る限り最も小さくなるだろうということがリーマン予想のそもそもの意味である。
  4. ^ 当然のことだが、はっきりした根拠を持たずに。
  5. ^ 証明の手法は次の点で面白い:不等式は初めリーマン予想が正しいという仮定のもとで示され、次に反対の仮定のもとで示される。

出典

  1. ^ Bombieri 2000.
  2. ^ 中村, 亨. (2015). リーマン予想とは何か. 講談社, 東京 
  3. ^ Nash, J. F.; Rassias, M. Th. (2016). Open Problems in Mathematics. Springer, New York 
  4. ^ Connes, Alain (2016). “An Essay on the Riemann Hypothesis”. In: Open Problems in Mathematics (J. F. Nash Jr. and M. Th. Rassias, eds.), Springer: 225–257. doi:10.1007/978-3-319-32162-2_5. 
  5. ^ ダービーシャー 2004, pp. 309, 411.
  6. ^ Helge von Koch, "Sur la distribution des nombres premiers", Acta Mathematica 24 (1901), 159–182. doi:10.1007/BF02403071
  7. ^ Lagarias, Jeffrey C., "An elementary problem equivalent to the Riemann hypothesis." American Mathematical Monthly 109 (2002), no. 6, 534-543.
  8. ^ Ingham 1932, Theorem 30.
  9. ^ Ingham 1932, p. 82.
  10. ^ J.E. Littlewood, 1912; see for instance: paragraph 14.25 in Titchmarsh (1986)
  11. ^ Franel & Landau 1924.
  12. ^ Titchmarsh 1986.
  13. ^ Nicely 1999.
  14. ^ the Riemann hypothesis”. arxiv.org (2018年10月3日). 2018年10月3日閲覧。
  15. ^ リーマン予想 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典”. yougo.ascii.jp. 2018年10月11日閲覧。
  16. ^ リーマン予想の150年. Kurokawa, Nobushige, 1952-, 黒川, 信重, 1952-. 東京: 岩波書店. (2009). ISBN 9784000067928. OCLC 676013439. https://www.worldcat.org/oclc/676013439 
  17. ^ “Famed mathematician claims proof of 160-year-old Riemann hypothesis” (英語). New Scientist. https://www.newscientist.com/article/2180406-famed-mathematician-claims-proof-of-160-year-old-riemann-hypothesis/#.W6l4nF6LAG9.twitter 2018年9月25日閲覧。 
  18. ^ “2018-The_Riemann_Hypothesis.pdf”. Google Docs. https://drive.google.com/file/d/17NBICP6OcUSucrXKNWvzLmrQpfUrEKuY/view 2018年9月25日閲覧。 
  19. ^ “超難問「リーマン予想」証明? 英数学者に懐疑的な声も:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASL9T42NNL9TULBJ004.html?_requesturl=articles/ASL9T42NNL9TULBJ004.html&rm=606 2018年10月11日閲覧。 





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