GRHの結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 02:15 UTC 版)
「一般化されたリーマン予想」の記事における「GRHの結果」の解説
ディリクレの算術級数定理によると、a と d が互いに素な自然数であれば、等差数列 a, a+d, a+2d, a+3d, … には無限個の素数が含まれる。π(x,a,d) でこの数列に含まれる x 以下の素数の数を表すことにする。もし一般化されたリーマン予想が正しければ、全ての互いに素な a と d と任意の ε > 0 に対し、 π ( x , a , d ) = 1 φ ( d ) ∫ 2 x 1 ln t d t + O ( x 1 / 2 + ϵ ) as x → ∞ {\displaystyle \pi (x,a,d)={\frac {1}{\varphi (d)}}\int _{2}^{x}{\frac {1}{\ln t}}\,dt+O(x^{1/2+\epsilon })\quad {\mbox{ as }}\ x\to \infty } である。ここで φ(d) はオイラーのトーシェント函数、 O {\displaystyle O} はランダウの記号である。これは素数定理の重要な拡張である。 GRHが正しいとすると、3(ln n)2 未満の n と互いに素な数と同じく、任意の乗法的群 ( Z / n Z ) × {\displaystyle (\mathbb {Z} /n\mathbb {Z} )^{\times }} の真部分群は 2(ln n)2 未満の数を削除することができる。言い換えると、 ( Z / n Z ) × {\displaystyle (\mathbb {Z} /n\mathbb {Z} )^{\times }} は、2(ln n)2 未満の数の集合により生成される。このことは(他の)証明によく使われ、多くの結果が得られる。例えば(GRHの成立を仮定すると) ミラー-ラビン素数判定法が多項式時間で素数を判定することが保証される。(なお、GRHを前提としない多項式時間での素数判定であるAKS素数判定法は2002年に論文が出版されている。) シャンクス・トネリのアルゴリズム(英語版)(Shanks–Tonelli algorithm)が、多項式時間で素数を法とする平方根問題を解くことが保証される。 GRHが正しいとすると、全ての素数 p に対し O ( ( ln p ) 6 ) {\displaystyle O((\ln p)^{6})} 未満のp を法とする原始根(p を法とする正数の乗法群の生成子)が存在する。 弱いゴールドバッハ予想も一般化されたリーマン予想から導出できる。弱いゴールドバッハ予想のハラルド・ヘルフゴットによる現在検証中の証明は、1029 より大きな全ての整数に対して予想が正しいことを示すために十分な境界値となる、特定の虚部の違いを除いた数千の小さな指標に対するGRHを検証している。(これ以下の整数は「力尽く」で既に評価されている。) GRHが正しいとすると、ポリヤ・ヴィノグラードフの不等式(英語版)(Pólya–Vinogradov inequality)の中の指標の和の見積もりは、q を指標のmodulusとすると O ( q log log q ) {\displaystyle O\left({\sqrt {q}}\log \log q\right)} まで改善できる。
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