リーヒ級ミサイル巡洋艦 リーヒ級ミサイル巡洋艦の概要

リーヒ級ミサイル巡洋艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/16 06:06 UTC 版)

リーヒ級ミサイル巡洋艦
基本情報
種別 ミサイルフリゲート (DLG)
ミサイル巡洋艦 (CG)
命名基準 海軍功労者。一番艦はウィリアム・リーヒ元帥に因む。
運用者  アメリカ海軍
建造期間 1959年 - 1964年
就役期間 1962年 - 1995年
建造数 9隻
前級 ファラガット級
準同型艦 ベインブリッジ (DLGN→CGN)
次級 ベルナップ級 (DLG→CG)
要目
軽荷排水量 5,146→6,070トン
満載排水量 7,590→8,200トン
全長 162.46 m
最大幅 16.15 m
吃水 7.6 m
ボイラー 水管ボイラー×4缶
(84.5kgf/cm2, 510℃)
主機 蒸気タービン
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 85,000shp
速力 33ノット
航続距離 8,000海里 (20kt巡航時)
乗員 377名
兵装 #兵装・電装要目を参照
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19589年度計画のミサイルフリゲートDLG)として9隻が建造され、1962年より就役を開始した[2]。その後、1975年の類別変更に伴ってミサイル巡洋艦 (CG) に再分類され、これにより、本級はアメリカ海軍史上最小のミサイル巡洋艦となった[3]

来歴

第二次世界大戦後の駆逐艦としては、1946年10月の駆逐艦研究会での検討結果を踏まえて、まず1948年度計画でミッチャー級が建造された。ただし同級では基準3,600トン、全長149メートルまで大型化していたことから、1951年、こちらは対潜巡洋艦(sub-killer cruiser, CLK)として建造された「ノーフォーク」とともに嚮導駆逐艦Destroyer leader, DL; 後のフリゲート)に格上げされて通常の駆逐艦とは区別され、艦隊駆逐艦としては、1953年度計画より、比較的小型・安価なフォレスト・シャーマン級の建造が開始された[4]

その後、1954年5月、海軍の長期計画の策定にあたるシンドラー委員会は、フォレスト・シャーマン級のような量産向きの汎用艦よりは、強力な単能艦を整備するよう勧告した[4]。また議会の意向もあって、1956年度計画より、次世代の高速艦隊護衛艦(Fast task force escort)としてミッチャー級の系譜となるファラガット級の建造が開始された。同級は当初、ミッチャー級と同じく54口径127mm速射砲を主兵装とする砲装型防空艦とされていたが、建造途上でテリアミサイルを搭載するミサイル艦に変更された。これにより、同級はアメリカ海軍初の新造ミサイル艦となった[5][6]

1956年5月31日、長期的建艦計画委員会のサンダース委員長は、1958年度以降の計画で建造されるミサイル艦は、艦首尾にミサイル発射機を搭載する、いわゆるダブル・エンダー配置を採用するように勧告した。これに応じて、1958年1959年度計画で建造されたのが本級である[5]

設計

艦船局(BuShips)では、ファラガット級をもとに発展させた長船首楼型の船体に同級の主機を組み合わせたA案と、「ノーフォーク」(DL-1)をもとに発展させた船体にファラガット級の主機を組み合わせたB案とが作成された。B案のほうがミサイル搭載数は多かったが、速力の面ではA案のほうが優れていた。またコスト面でもA案のほうが優れていたことから、最終的にこちらが選択された[5]

本級では、航続距離の延伸と指揮統制区画の拡大が要請されたことから、ファラガット級と比して船型は大きく拡大された。また艦首側のMk.10 GMLSを波浪から守るため、艦首にはハリケーン・バウ構造が採用され、顕著なナックルが設けられている[7]。また本級より、マストと煙突を一体化したマック構造が採用され、以後のDLGでも踏襲された[5]

上記の経緯より、主機は第1世代DLGであるファラガット級のものが踏襲された。同級においては、ミッチャー級以来の蒸気圧力1,200 lbf/in2 (84 kgf/cm2)、温度510℃の高圧高温ボイラー(いわゆるTwelve Hundred Pounder)が踏襲されていた。また蒸気タービンとしても、高・中圧タービンと低圧・後進タービンの2車室を備えた2胴式・2段減速のギヤード・タービンが引き続き採用された。ボイラー2缶とタービン1基をセットにして、両舷2軸を駆動するため2組を搭載しており、機関配置としては、艦首側から前部缶室・前部機械室・後部缶室・後部機械室が並ぶシフト配置とされていた[8]

また本級では、ミサイル装備の強化に伴って、電源も強化された。出力1,000キロワットのタービン発電機4基とともに、出力300キロワットのガスタービン発電機とディーゼル発電機が1基ずつ搭載された[5]。またその後の改修の際に、電源容量は6,800キロワットに強化されている[2]


  1. ^ a b Moore 1975, p. 427
  2. ^ a b c Prezelin 1990, pp. 791–792
  3. ^ Polmar 2005
  4. ^ a b Friedman 2004, pp. 235–253
  5. ^ a b c d e f g h i Friedman 2004, pp. 294–325
  6. ^ 大塚 2012
  7. ^ a b c globalsecurity.org
  8. ^ 阿部 1995
  9. ^ a b Moore 1991
  10. ^ a b 堤 2009
  11. ^ Gardiner 1996


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