ラジオシャック 歴史

ラジオシャック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/21 14:23 UTC 版)

歴史

最初の40年間

1921年、マサチューセッツ州ボストンで、セオドアとミルトンのドイッチェマン兄弟が Radio Shack として創業。彼らは最先端領域であるアマチュア無線の機器を提供しようとした[6]。ボストンの中心部(ボストン虐殺事件の現場付近)に店舗を構え、通信販売も行った。店の名称は船の「通信室」から取られている。船舶の通信士やアマチュア無線家を顧客にする店舗名にふさわしいと二人は考えた。この用語は当時既に普通に使われており、アマチュア無線では無線局の位置を指す用語となっていた。

1939年に最初のカタログを出し[7]、その後Hi-Fi音楽市場にも参入した。1954年、ラジオシャックは独自ブランド Realist の名で製品を販売するようになったが、間もなく訴えられ、ブランド名を Realistic に変更した。9つの店舗を構え通信販売も広く行ったが[8]、1960年代には苦境に陥った。ラジオシャックは基本的に倒産状態となったが、チャールズ・タンディ英語版はラジオシャックと家電の可能性を見抜き 30万ドルで買収した[9]

タンディ時代

1974年-1995年に使われていたロゴ

1962年、ラジオシャックは元々は皮革製品を扱っていたタンディ・コーポレーションに買収され、タンディ・ラジオシャックと改称した。タンディはその後エレクトロニクス関連以外の部門を処分した。

1970年代から、タンディは子会社の InterTAN を通してイギリスで Tandy の名でラジオシャック型のチェーン店を展開。1999年、Carphone Warehouse がそれら店舗を買い取り、一部店舗は売却し、残りは自社店舗に改装した。

1973年にはオーストラリアにも進出。2001年、ウールワースがタンディのオーストラリア事業を買い取り、Dick Smith Electronics に吸収合併した。

1960年代から1980年代にかけて、ラジオシャックは月に1個の電池を無料で入手できるという "battery club" カードを販売していた。1990年代初めに全社的な刷新があり、廃止された。

ラジオシャックは、コモドールAppleと共にパーソナルコンピュータ革命を起こした企業である。TRS-80(1977年)、TRS-80 Color Computer英語版(1980年)といったホームコンピュータを製造販売した。さらにタンディはPC/AT互換機市場にも参入した。タンディのPC互換機は安価だがサウンド機能とグラフィック機能が優れていた。しかし、それもVGA規格とサウンドブラスターが業界標準となるまでで、1990年代初めにはタンディの互換機は対抗できなくなって自社ブランドの販売をやめた。

1970年、タンディはラジオの製造と小売チェーン店を運営する Allied Radio を買収し、小売部門を Allied Radio Shack というブランドにした。しかし連邦政府はこれを問題視し、Allied の小売チェーンを売却することになった。製造部門 (Allied Electronics) はタンディに残存し、1990年代に売却された。

ラジオシャックのもうひとつの大ヒットとして、Family Radio Service 製品がある。通信範囲の狭い携帯無線システムである(日本の法で言う特定小電力無線に相当)。1990年代中ごろから、携帯電話関連のコンポーネントに注力するようになった。

1993年、食品業界出身のレン・ロバーツがラジオシャック社長に就任した。1994年、45種類以上のブランドの電化製品の保証外の修理を安価に行うサービスを開始[10]。そのためにアメリカ各地に部品を備蓄し、119箇所に修理センターを設けている。これは顧客との関係を構築し、店に人を呼び込むための戦略であり、ロバーツは1999年までに修理事業で年間5億ドルの売り上げになると予測した[11]。2009年5月時点でもこのサービスは継続している。また、カナダでも同様のサービスを展開している。

1995年初夏、新たなロゴを導入した。

ラジオシャック・コーポレーション

ラジオシャックブランドのテープレコーダー

2000年5月、同社は名称から「タンディ」の名を外し、ラジオシャックに改称し、キャメルケースで綴って1つの単語にした。

また 2000年、ラジオシャックはRCAの製品を販売する協定を結び、独自ブランド Realistic や Optimus を廃止する。もっとも 1990年代初期には既に Realistic の名で製品を自社開発することをやめていた。RCAとの契約が2004年に終わると、ラジオシャックは独自ブランド Presidian と Accurian を販売品目に加え、一時的に Optimus も復活させた。他にバッテリーについての独自ブランド Enercell がある。

2004年初め、ラジオシャックは Fix 1500 というプログラムで、全社で在庫問題と収益性を改善しはじめた。これは5,000店以上の店舗の中でレベルの低い1,500店の店長を選び、改善を促すものである。店長の格付けはデータだけではなく、1対1のインタビューに基づいて行う。また、30%の店長は是認される[12]

一般に店長には改善のために90日間が与えられた(改善が認められれば、別の店長が Fix 1500 に選ばれる)。全部で1,734名の店長が6カ月の猶予期間を経て配置転換または解雇となった。またこのころラジオシャックは従業員持株制度を止めた。2005年第1四半期までに Fix 1500 での評価資料は破棄され、このプログラムを考案した役員も辞任した。

2006年2月20日、CEOのデイビッド・エドモンドソン英語版は学歴詐称が発覚して辞任した。エドモンドソンは Heartland Baptist Bible College で神学と心理学を学んだとしていたが、Fort Worth Star-Telegram 紙は、そのような事実がないことを明らかにした[13]。ラジオシャックの取締役会はエドモンドソンを擁護したが、結局エドモンドソンは誤りを認め、辞任することになった[14]

臨時のCEOとしてクレア・バブロウスキが就任。彼女は31年間マクドナルドに勤め、数カ月前にラジオシャックに移ったばかりだった。2006年8月、バブロウスキはラジオシャックを去り、トイザらスのCEO兼執行副社長となった。

また、無線プロバイダの切り替えで棚卸し資産評価減を引き起こし、2005年第4四半期の利益が62%下落した。このため、ラジオシャックの株価は3年ぶりの低水準となった。

2006年7月7日、新CEO兼会長としてジュリアン・デイが就任。デイは小売業界で長年働いてきた経歴を持ち、セイフウェイシアーズKマートといった企業の建て直しに重要な役割を果たしてきた。

2006年春、ラジオシャックは店舗ごとの収益性を高め、オーバーヘッドコストを低減させる新戦略を打ち出した。2006年前半、500近い店舗を閉鎖した。これは、店舗同士が近すぎるために互いが顧客を奪い合っていた店舗などである。2006年に閉鎖された店舗の多くは年間売り上げが35万ドルに満たなかった。

このような努力にもかかわらず、比較的好景気だった状況で株価は下落した。2006年8月10日、本社に勤める従業員400人から450人を削減する計画を発表。同年8月28日、本社従業員の5人に1人が解雇された。解雇は約10日前に電子メールで通知されたという。この突然のリストラは世論の批判を招いた[15]

2008年12月、"PointMobl" と名付けた新コンセプトの店舗を3店オープンした。いずれもテキサス州内で、携帯電話、ネットブックiPod、GPSナビゲーションシステムなどを販売したが、2011年3月、PointMobl店の閉鎖が決定した。

2012年4月、2012年第1四半期の決算が非常に悪いことが伝えられ、ムーディーズはラジオシャックをさらに格下げした[16]。2012年4月14日、株価は上場以来の最安値を記録した[17][18]

2015年2月5日、連邦倒産法第11章の適用をデラウェア州連邦倒産裁判所に申請し、経営破綻した[19]。負債総額は13億8700万ドル(約1630億円)。


  1. ^ a b c d e 2010 Form 10-K, RadioShack Corporation”. United States Securities and Exchange Commission. 2012年5月30日閲覧。
  2. ^ RadioShack Corporation Reports First-Quarter 2011 Results
  3. ^ 英語では レイディオ・シャック と発音する。
  4. ^ "Corporate Information Contacts." RadioShack. Retrieved on October 20, 2009.
  5. ^ Bonnie D. Ford (2009年7月23日). “Source: Lance's team lands sponsor”. ESPN. 2012年5月30日閲覧。
  6. ^ RadioShack rigs Amateur radio equipment
  7. ^ An Archive of RadioShack Catalogs”. radioshackcatalogs.com. 2010年8月3日閲覧。
  8. ^ Popular Mechanics, November 1962 issue, p.235の広告 にラジオシャックの話が出ている。
  9. ^ RadioShack Corporation. “RadioShack History”. 2011年8月3日閲覧。
  10. ^ Tony Magoulas (1995年3月29日). “Radio shack launches major store expansion”. Business Wire. http://findarticles.com/p/articles/mi_m0EIN/is_1995_March_29/ai_16732014/ 2009年5月25日閲覧。 
  11. ^ Kathryn jones (1994年8月23日). “Fix-It Service Remodels Radio Shack”. The New York Times. http://www.nytimes.com/1994/08/23/business/fix-it-service-remodels-radio-shack.html 2009年5月29日閲覧。 
  12. ^ Microsoft Word - lindseycase.doc” (PDF). 2010年5月24日閲覧。
  13. ^ 7:25 p.m. ET (2006年2月14日). “RadioShack CEO's resume is questioned - U.S. business- msnbc.com”. MSNBC. 2010年5月24日閲覧。
  14. ^ RadioShack CEO David J. Edmondson Resigns
  15. ^ 101 Dumbest Moments in Business. CNN. 2007. Retrieved on January 23, 2007.
  16. ^ "Rating Action: Moody's downgrades RadioShack's CFR to B1; outlook remains negative", Moody's Investors Service, Global Credit Research, 24 April 2012
  17. ^ Peterson, Kim, "Why does RadioShack still exist? The chain says that sales are falling and that profit this year will be lower than in 2011", MSN Money, Tuesday, April 24, 2012
  18. ^ Talley, Karen; Tadena, Nathalie, (DOW JONES NEWSWIRES), "3rd UPDATE: RadioShack Posts 1Q Loss As Product Demand Wanes" Archived 2012年4月27日, at the Wayback Machine., The Wall Street Journal, April 24, 2012, 1:04 p.m. ET
  19. ^ 米ラジオシャック、破産法申請=創業90年超の家電販売大手時事通信 2015年2月6日
  20. ^ Tandy Belgium”. Tandy.be. 2010年5月24日閲覧。
  21. ^ Desjardins, Doug (2002年1月21日). “Blockbuster pursues CE, as RadioShack deal dies - Consumer electronics launch in 2002 - Brief Article”. DSN Retailing Today. http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m0FNP/is_2_41/ai_82105519 [リンク切れ]
  22. ^ RadioShack Expanding to Target Stores with Kiosks Archived 2012年9月12日, at Archive.is
  23. ^ Target Moves Forward with Bullseye Mobile, Adds Tech Suppport Archived 2012年9月12日, at Archive.is
  24. ^ “RadioShack to lose Sam’s kiosk revenue”. Dallas Business Journal. (2011年1月11日). http://www.bizjournals.com/dallas/news/2011/01/11/radioshack-to-lose-sams-kiosk-segment.html 
  25. ^ The Official Team Site of”. Team RadioShack. 2010年5月24日閲覧。
  26. ^ RadioShack Corporation - RadioShack Partners With Seven-Time Tour de France Winner Lance Armstrong to Form New Cycling Team in 2010”. Ir.radioshackcorporation.com (2009年7月23日). 2010年5月24日閲覧。
  27. ^ Should RadioShack dump Lance Armstrong as its spokesman?






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