パティシエ 概要

パティシエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 02:53 UTC 版)

概要

パティシエと呼ばれる菓子職人が作る菓子・デザートなどは、味のおいしさだけでなく、見た目にも配慮されており、芸術作品を思わせるものもある。

欧州(特にドイツ)では女性に人気のある職業であり、パティシエの半数は女性で占められている。しかし、フランスでは女性がこの職業に携わることは少ない。なお、フランスでは国家資格(免許ではなく、バリスタやソムリエ同様に知識・技能がそう名乗るに相応しいと認められる)であり、パティシエは日本医者に値するほどの社会的地位を持つ。  

パティシエの仕事は、長時間の立ち仕事で細かい作業から力仕事までこなさなければならない。2004年度の統計によると、日本のパティシエの人数は年々減少傾向にあり、特に男性が減少しているという。それに代わるように女性の進出が目立つようになり、最近ではオーナーからスタッフまで全員が女性という菓子店も珍しくなくなってきている。

歴史

アブラハム・ボス「菓子職人」

中世のフランスで、聖体拝領用のパンや焼き菓子を作る職人であるオブロワイエが、器やパイ生地などにを詰めて焼く料理パテ料理を作る仕事にも従事するようになり、パスティ挽肉などの詰め物料理)を作る者(パスティシエ)に分化し、やがてパティシエになったと言われている。

1440年のパリ奉行による身分規定の中にパティッシエという職業が記録されている。当時は各々の職業区分と業務内容に対する制約が強く、パン屋には砂糖を使った菓子を焼くことは禁止されており、菓子作りはパティシエの特権とされていた。パティッシエになるには徒弟として5年修行を経た後、試験に合格すれば職人の位になり、更に3年働いた後に組合に「親方昇級作品」を提出し合格する必要があった。店主の息子は希望すれば徒弟の期間は免除された。こうした組合制度はルイ16世の時代まで続いた。フランス革命の後、社会制度が大きく変動するとともに多くのパティシエは菓子作り専業となったが、今日のパティシエの認可制度にも親方による実地教育といった徒弟制度の名残りがある[1]

日本でこの語が使用され始めたのは2000年前後と思われる。主に「スイーツ」と呼ばれる洋菓子やデザートを作る職人の名称となっていて、和菓子職人をパティシエと呼ぶことはない。

資格制度

フランス

フランス語圏では以下の国家資格となっている[2]

スイス

日本

日本では職業訓練指導員 (パン・菓子科)菓子製造技能士製菓衛生師資格が存在する。


注釈

  1. ^ 形容詞として用いた場合「菓子に関する」という意味となり、カスタードクリームの仏名crème pâtissière(クレーム・パティシエール)は、修飾されるcrèmeが女性名詞であるため性数一致により女性形を用いてpâtissièreと綴られる。

出典

  1. ^ トゥーサン=サマ 2008, pp. 44–61.
  2. ^ National directory of professional certifications - フランス国家職業資格認定委員会データベース





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