バスケットボール男子アメリカ合衆国代表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 07:10 UTC 版)
2004年アテネ五輪代表チーム
2004年のアテネオリンピックにも、アメリカはNBA選手を代表として送り込んだ。2年前の大会で見られたような他国代表の成長は依然として顕著であり、アテネ五輪のアメリカ代表も前回同様トップクラスの選手に辞退者が多かった。この時の代表はプロ選手が国際大会出場を認められて以来6度目のチームなので「ドリームチームVI」となるが、この呼び方を使うメディアはますます少なくなっていた。
2003-2004シーズンのMVPに選ばれたケビン・ガーネットは代表に参加しなかった。オールNBAファーストチーム入りした選手のうちティム・ダンカンは出場したが、シャキール・オニール、コービー・ブライアント、ジェイソン・キッドの3人は辞退した。五輪参加を見合わせた選手たちは、主に私的な事情や健康問題、テロの恐怖といった安全上の懸念などを理由としていた。
そして、選ばれたアメリカ代表は非常に若いチームになった。NBAでの優勝経験とMVP受賞歴を持つダンカンは28歳で、同じく数年前のMVPアレン・アイバーソンは29歳だった。代表のキャプテンを務めたこの二人がチームの最年長で、20代前半の選手も多く含まれていた。2003年にNBAで新人王になったアマーレ・スタウダマイアーは21歳、2005年に新人王になるエメカ・オカフォーも同じく21歳、そして2004年の新人王レブロン・ジェームズは19歳だった。代表選手の平均年齢は23.6歳だった。
五輪開幕に先立って、ドイツで行われたバスケットボール代表チームによるオープン戦で、アメリカはイタリアとドイツに敗れた。NBA選手を含むアメリカの五輪代表チームが敗戦する初めての例となった。この試合はオリンピック本戦ではなかったが、「ドリームチーム」がオリンピックで試合を落とす事態が間もなく現実のものとなった。
アメリカがオリンピックで最初に対戦したのはプエルトリコだった。この試合で、アメリカは73対92と緒戦から大敗を喫してしまった。プエルトリコ代表には、NBAのユタ・ジャズで活躍するカルロス・アローヨがいた。
アメリカは予選リーグで開催国のギリシャとオーストラリア、アンゴラに勝利したものの、前回のオリンピックでアメリカを苦しめたリトアニアに終盤で逆転を許し、94対90で敗れた。予選を3勝2敗で終え、アメリカは4位シードで決勝トーナメント進出を決めた。
決勝トーナメント第一試合で、アメリカは前評判の高かったアルゼンチンと対戦。試合では、アメリカのエース、ティム・ダンカンがファウルに苦しみ、アルゼンチンが89対91でアメリカを下した。ここでアメリカの金メダル獲得の可能性はなくなった。アルゼンチンのエースエマヌエル・ジノビリは、NBAではサンアントニオ・スパーズでダンカンともにリーグ制覇の立役者となった選手だった。
3位決定戦でアメリカは再びリトアニアと対戦、外郭のシュートを高確率で決めるリトアニアに対しアメリカはリバウンドを支配し、104対96でリトアニアに勝利。メダル獲得は果たす結果となった。大会の結果は、優勝がアルゼンチン、準優勝がイタリア、3位がアメリカだった。アルゼンチンのジノビリは、アテネ五輪男子バスケットボールのMVPに選ばれた。
バスケットボールがオリンピックの公式種目になってから約70年の間、男子アメリカ代表がオリンピックで試合を落としたのは1972年ミュンヘンオリンピックと1988年ソウルオリンピックでの2試合のみだった。今回のアテネオリンピックでアメリカは3試合に敗れており、過去の負け試合数を一つの大会で上回ることになった。
2000年シドニーオリンピックと2002年の世界選手権に続き、2004年のアテネ五輪でも低調なアメリカと台頭する諸外国の対比が顕著となった。アメリカ代表が有力選手を欠く傾向は続いており、一方ヨーロッパ・南米ではチーム作りを積極的に行う国が増えつつある。6勝1敗でアテネ五輪を終えたスペインなどは、国家が少年時から選手育成を行っている。優勝したアルゼンチンは、固定された代表メンバーで長期間練習を積んでいた。
アテネ五輪代表チーム参加者
監督陣
括弧内は当時所属していたチームや大学。
- 監督: ラリー・ブラウン(デトロイト・ピストンズ)
- アシスタントコーチ: グレッグ・ポポビッチ(サンアントニオ・スパーズ)、オリバー・パーネル(クレムゾン大学)、ロイ・ウィリアムズ(ノースカロライナ大学)
選手
年齢と所属は当時のもの。
No. | 名前 | ポジション | 年齢 | 所属 | 出場試合/先発 | 平均得点 |
---|---|---|---|---|---|---|
4 | アレン・アイバーソン | ガード | 29 | フィラデルフィア・セブンティシクサーズ | 8/8 | 13.8 |
13 | ティム・ダンカン | センター | 28 | サンアントニオ・スパーズ | 8/8 | 12.9 |
5 | ステフォン・マーブリー | ガード | 27 | ニューヨーク・ニックス | 8/8 | 10.5 |
11 | ショーン・マリオン | フォワード | 26 | フェニックス・サンズ | 8/0 | 9.9 |
14 | ラマー・オドム | フォワード | 26 | マイアミ・ヒート | 8/8 | 9.3 |
7 | カルロス・ブーザー | フォワード | 22 | ユタ・ジャズ | 8/0 | 7.6 |
6 | ドウェイン・ウェイド | ガード | 22 | マイアミ・ヒート | 8/0 | 7.3 |
15 | リチャード・ジェファーソン | フォワード | 24 | ニュージャージー・ネッツ | 8/8 | 6.8 |
9 | レブロン・ジェームズ | ガード | 19 | クリーブランド・キャバリアーズ | 8/0 | 5.4 |
12 | アマレ・スタウダマイアー | フォワード | 21 | フェニックス・サンズ | 8/0 | 2.8 |
8 | カーメロ・アンソニー | フォワード | 20 | デンバー・ナゲッツ | 7/0 | 2.4 |
10 | エメカ・オカフォー | フォワード | 21 | シャーロット・ボブキャッツ | 2/0 | 0.0 |
- ^ [1]
- ^ “最新版FIBAランキングが公開…スペインが1.1ポイント差でアメリカを上回ってトップに”. バスケットボールキング. 2022年11月18日閲覧。
- ^ “NBA Stars Locked Out Of Team USA”. CBSスポーツ (1998年7月29日). 2010年11月3日閲覧。
- ^ “THIRTEENTH WORLD CHAMPIONSHIP -- 1998”. バスケットボールアメリカ合衆国代表. 2010年11月3日閲覧。
- ^ [https://olympics.com/ja/topics/2008-us-olympic-basketball-the-redeem-team THE REDEEM TEAM アメリカ、そしてNBAスター選手たちは、どのようにして北京2008 バスケットボール男子で再び頂点に立ったのか。] olympics.com 2024年4月19日閲覧
- ^ 1992年のドリームチームと2008年のリディームチーム、勝つのはどっちだ? olympics.com 2022年10月7日 2024年4月19日閲覧
- ^ “Coach Krzyzewski putting legacy at risk”. ESPN (2009年7月22日). 2010年11月4日閲覧。
- ^ “'08 Olympians to skip basketball worlds”. ESPN (2010年7月11日). 2010年11月4日閲覧。
- ^ SPORTS COMMUNICATIONS - 第179 回 バスケ米国代表“Bチーム”は頂点に立てるか 2010年9月3日付 2011年6月25日閲覧。
- ^ “Durant Lifts Americans Back to Top at Worlds”. ニューヨーク・タイムズ (2010年9月12日). 2010年11月4日閲覧。
- ^ “Team Roster United States”. olympics.com. 2021年7月24日閲覧。
- ^ “U.S. Olympic Men's Team Combined Team Statistics (as of Aug 07, 2021)”. USAB.com (2021年8月21日). 2021年8月7日閲覧。
- 1 バスケットボール男子アメリカ合衆国代表とは
- 2 バスケットボール男子アメリカ合衆国代表の概要
- 3 ドリームチームII(1994年世界選手権)
- 4 ドリームチームIII(1996年アトランタ五輪)
- 5 1998年世界選手権代表チーム
- 6 ドリームチームIV(2000年シドニー五輪)
- 7 2002年世界選手権代表チーム
- 8 2004年アテネ五輪代表チーム
- 9 2006年世界選手権代表チーム
- 10 2008年北京オリンピック代表チーム
- 11 2010年世界選手権代表チーム
- 12 2012年ロンドンオリンピック代表チーム
- 13 2014年世界選手権代表チーム
- 14 2016年リオデジャネイロオリンピック代表チーム
- 15 2020年 東京オリンピック代表チーム
- 16 出典
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