ジェームス・カーティス・ヘボン ヘボンと日本語

ジェームス・カーティス・ヘボン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 04:36 UTC 版)

ヘボンと日本語

ヘボンの日本語学習

1841年、シンガポール滞在中にカール・ギュツラフ訳の日本語訳聖書『約翰福音之伝(ヨハネふくいんのでん)』を手に入れた。日本への宣教に向かう1859年の航海中に、『日本語文法書』とともに『約翰福音之伝』を利用し日本語を学習した[13]マカオではサミュエル・ウィリアムズ宅に滞在して簡単な日本語を習った。来日後、「コレハナンデスカ?」と聞いてまわり、メモを取ったという[14]。長崎では数度上陸し、かなり多く英語と日本語を対照してことばをあつめ、ちょっとした会話は出来るがまだ貧弱だ、としている[15]

1881年(明治14年)の時点では、頼山陽日本外史』の大部分を原文読解していた[16]

聖書翻訳・和英辞典・ヘボン式ローマ字

1867年(慶応3年)、日本最初の和英辞典である『和英語林集成』を編纂・出版。初版の出版名義は「美国 平文」(3版から国名表記は「米國(米国)」に変わった[17])。1886年(明治19年)に『和英語林集成』第3版を出版。当時、版権の所有は外国人に認められていなかったために丸善に譲渡。利益は後に明治学院へ寄付された。

『和英語林集成』では、日本語を転写する方法として英語式の転写法を採用した。第3版まで改正に努め、辞典の普及に伴い、ヘボン式ローマ字の名で知られるようになった。

ヘボンと医学

横浜市立大学医学部ヘボンホール

宣教師デュアン・シモンズと共に、横浜の近代医学の基礎を築いたといわれる。

日本に来て、医療を武器に信用を獲得していった。専門は脳外科であったが、当時眼病が多かった日本で名声を博したという。横浜の近代医学の歴史はヘボン診療所によって始まったといわれる。日本人の弟子を取って教育していたが、奉行所の嫌がらせもあり、診療所は閉鎖になった。博士のラウリー博士宛ての手紙によると、計3500人の患者に処方箋を書き、瘢痕性内反の手術30回、翼状片の手術3回、眼球摘出1回、脳水腫の手術5回、背中のおでき切開1回、白内障の手術13回、痔ろうの手術6回、直腸炎1回、チフスの治療3回を行った。白内障の手術も1回を除いて皆うまくいったという(1861年9月8日の手紙)。また、名優澤村田之助脱疽を起こした足を切断する手術もしている。その時は麻酔剤を使っている。一度目の手術は慶応3年(1867年)であるが、その後も脱疽の進展にともない切断を行っている(横浜毎日新聞1874,6,11日付)。専門が脳外科であることを考慮すると足の切断術は見事であると荒井保男は述べている[18]。ヘボンの弟子からは、後年に初の近代的な眼科病院を創設した丸尾興堂など[19][20]、日本の医学進展に貢献した多くの人材が巣立っていった。

その功績を称え、横浜市立大学医学部には講堂「ヘボンホール」[21]を設けている。

ヘボンと教育

1863年(文久3年)、横浜に男女共学のヘボン塾を開設。後年に他のプロテスタントミッション各派学校と連携した。ヘボン塾の出身者には、高橋是清林董益田孝など明治期日本で活躍した多くの人材がいる。ヘボン塾の女子部は、1871年明治4年)に同僚の宣教師メアリー・キダーによって洋学塾として独立、後にフェリス女学院の母体となる。

1887年(明治20年)、ヘボン塾をはじめとする学校を統合し、私財を投じて東京都港区白金の地に明治学院(現・明治学院高等学校・同大学)を設立。明治学院初代総理[5]に就任した。








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