キャベツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 19:33 UTC 版)
品種
キャベツはさまざまな品種改良が行われており、世界中で寒さや暑さ、病害虫などに耐性を持つ多様な品種が作出され、利用されている[29]。例えば『ラルース料理百科事典』には、60種を超える品種の記載があるという。日本でも用途、栽培時期、栽培地、病害抵抗性などの異なる数多くの品種が栽培されている[30]。
- グリーンボール
- デンマーク産のコペンハーゲンマーケットの交配種で、丸玉とも呼ばれる[31]。グリーンボールという名称は銘柄名だが、この種の総括名として用いられる。1 kg程度の小ぶりのボール型で、葉につやがあり、葉の内部まで緑色を帯びている。葉は肉厚のわりに軟らかく[31]、組織はしっかりしている。茨城県西部地区産は主に春と秋に、北海道など関東地方以外の市場に出荷されている。
- 札幌大球(サッポロタイキュウ)
- 北海道札幌市発祥の巨大なキャベツ。一般的に市販されるキャベツの重さが1 kg前後なのに対し、札幌大球はその10倍以上となる10 kgを超えるものも存在する[32]。葉は軟らかく甘味も強いため、様々な料理に向くが、近年は主にニシン漬けなどの漬物用に使われる[33]。明治時代(1895年頃)に米国から持ち込まれたうち、大きく育ち日持ちするキャベツから育成された。収穫作業に労力が必要なため札幌市内での栽培は一時途絶えかけたが、JAさっぽろが2014年に復活運動を開始。JA職員が収穫を手伝ったり、漬け物や外食店などでの消費拡大を後押しする「札幌大球応援隊」を組織したりしている[34]。
- サボイキャベツ (Brassica oleracea convar. capitata var. sabauda L.)
- 別名グラッド(縮緬甘藍)、ちりめんキャベツともいう[35]。ヨーロッパではポピュラーなフランスの品種で[36]、フランス南東部のサボイ地方が起源だといわれている[2]。ちりめん状に縮れた葉を持ち、肉厚で緑色が濃く中心部は黄色[2]。葉は甘味があり、普通のキャベツに比べると繊維が多くかたいので、スープや長時間の煮込みなどに使われる[37][31]。プティ・シュー・ベールは、ちりめんキャベツを早採りしたもので、温野菜や炒め物などに使われる[2]。
- ムラサキキャベツ(Brassica oleracea convar. capitata var. rubra L.)
- 赤キャベツとも。冬キャベツよりも肉厚でかたい。葉の表面は紫色であるが葉肉は白色で、切り口の見た目、特に色合いの美しさからピクルスやサラダに用いられる[2]。また、ムラサキキャベツの色素アントシアニンは、酸性やアルカリ性の水溶液に反応し変色するのでpH指示薬とすることができるほか、キャンディーやゼリーなどに赤紫色を発色させる着色料としてよく使用されている。
- エンスイキャベツ (Brassica oleracea var. capitata f, acuta)
- 別名イアステリングといい、オランダ語で「初物」という意味を持つ[36]。とんがりキャベツ[38]、たけのこ型キャベツとも呼ばれ、普通のキャベツよりも小ぶりで円錐状に尖った形で葉が巻き[36]、角卵形に結球する。みさきやトンガリボウシがある。葉は柔らかく甘味がある[36]。
- メキャベツ(芽キャベツ、Brassica oleracea var. gemmifera)
- 葉の付け根につく脇芽が、径2 - 3 cmに球結するキャベツの1変種。子持ちカンラン、ヒメカンランともよばれる[38]。ふつうのキャベツより水分が少なく、ビタミンCは豊富に含まれる。独特なほろ苦みがあり、主に煮込み料理や炒め物に使われる[2]。
- カーボロネロ
- 別名は黒キャベツ。分類上はケールの品種でトスカーナケールともよばれる。地中海沿岸原産の結球しないイタリアの品種で、トスカーナ地方の名産[37]。葉は深緑色でまっすぐ伸びて、葉身の表面がちりめん状に縮れる[17]。甘味を増す冬に出荷され[36]、生では少しかたく、煮込み料理に使うと甘味が出る[2]。
- アフリカキャベツ
- 別名スクマイキとも呼ばれ、スワヒリ語で「命の泉」の意[36]。アフリカ原産のキャベツの原種で栄養価が高く、ミネラルを豊富に含む[36]。
- ハボタン(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor )
- 花キャベツとも呼ばれ、食用ではなく葉を観賞する。株の中心部の葉が白や赤に染まり牡丹の花の様に見えることから名付けられた。分類上はキャベツではなく、ケールの品種。
注釈
出典
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