キャベツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 19:33 UTC 版)
生産
キャベツ生産量で世界をリードしているのは中国で、世界全体の生産量の半分以上を占め、2007年にはさまざまな種のキャベツ類3600万トン以上を生産している[29]。
日本での統計は、1910年頃から。生産が急速に伸びたのは1960年 - 1965年頃。
年度 | 生産量(千t) | 補足 |
---|---|---|
1910年 | 43 | |
1945年 | 191 | |
1986年 | 1,667 | 最多 |
2003年 | 1,435 | |
2004年 | 1,375 | |
2005年 | 1,363 | |
2006年 | 1,372 | 東京市場 卸売価格 34円/kg(12月6日) |
2008年 | — | 東京市場 卸売価格 49円/kg(9月22日) |
2011年 | 1,360 |
本来の旬は原産地の気候(地中海性気候)から冬季と考えられる。しかし、日本では栽培地の標高や緯度で出荷時期が異なる。さらに現代に至る品種改良の結果、年間を通して出荷可能となっているので、特定の旬が存在しない。
日本では出荷時期によって、冬キャベツ(11 - 3月。作付・出荷ともに最多で、球が締まった平たい形が特徴)、夏秋キャベツ(7 - 10月。[注釈 3])、春キャベツ(4 - 6月。生産量は少なめだが人気が高く、近郊栽培中心。新キャベツとも)に分類されている。
キャベツは、収穫時期により特定の産地へ生産が集中してきている。おおよそであるが、冬キャベツは愛知県(渥美半島など)が中心で、夏秋キャベツは群馬県(嬬恋村など)、北海道、長野県など[77]。春キャベツは千葉県(銚子市など)、神奈川県(三浦市など)が主体となっている[77]。
冬キャベツの場合、8月頃に種をまき、12月 - 4月にかけて収穫される。他のアブラナ科の野菜にも当てはまることが多いが、栽培されるのは固定品種ではなく、一代雑種が大半である。また北海道の和寒町では秋のキャベツを雪の中で寝かせ糖度を増した越冬野菜の越冬キャベツが有名である。
生産過剰問題
農業は、天候など予測しにくい要素によって生産量が左右され、生産者の頭を悩ませる。不作はもちろん、大豊作によっても、キャベツを発送したり梱包材(ダンボール)を購入する代金も出ないほど、卸売価格が暴落してしまう。
豊作により、市場卸売価格に相当な下落が見込まれる場合、農業協同組合から農林水産省へ届出を行い、緊急需給調整(市場隔離 一般には生産調整と称される)として、各農家に出荷を抑えるよう依頼する。これに協力して廃棄する場合には、大規模な生産農家に限り、交付金(2008年は、32円/kg。半分が農家による積立金、半分が税金)が支給される。
秋になると、生産過剰となった年には愛知県東三河地方(渥美半島など)や群馬県(嬬恋村など)で、生産調整によって廃棄されるキャベツの映像が報道される。そのキャベツは、畑の肥料としてトラクターで土と一緒に耕起することが多い。
一方で、中華人民共和国からの輸入が、2010年(平成22年)時点で3 - 6%程度行われている。
消費量と収穫量の減少問題
世界的に、中国や発展途上国を中心に、一人あたりの年間野菜消費量は先進諸国を越えて増加しており、特に中国はアブラナ属のキャベツなどの消費が拡大している[78]。しかし、中国以外の地域のキャベツ消費量は減少傾向にある[78]。アメリカのキャベツ年間消費量は、1920年は一人あたり10キログラムあったが、2002年には3.7キログラムへ減少している[79]。ドイツのザウアークラウト消費量も減少しており、1990年代の10年間でドイツ国民一人あたりの年間消費量は、1.7キログラムから1.2キログラムまで減少した[80]。こうしたキャベツ消費量が減少する現象は、都市環境が大きなところほど顕著であるといわれている[80]。フランスでは、ケールの人気に押されて、1890年代からブルターニュ地方で栽培されていた甘いちりめんキャベツが姿を消しつつある[80]。
近年の地球温暖化問題も、キャベツにとって大きな脅威となっている。キャベツは気温30度を超えると収穫量は減少し、35度以上になると種から育てたキャベツの苗は枯れてしまう[81]。
注釈
出典
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