カレイ カレイの概要

カレイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/28 09:29 UTC 版)

カレイ
プレイス Pleuronectes platessa
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: カレイ目 Pleuronectiformes
: カレイ科 Pleuronectidae
学名
Pleuronectidae
Rafinesque1815[1]
英名
Righteye flounder
亜科
底砂に隠れるイシビラメ

概要

砂や泥の海底に生息し、海底に潜むのに適した平たい体をしており、目が体の右側の面に2つともある特徴的な形態をしている。北極海太平洋インド洋大西洋の沿岸の浅い海から水深1000mの深海までに生息する海水魚。汽水に生息する種もいる。

5亜科から7亜科に分類され、世界で100種ほどが知られる。日本近海で獲れるものでは、マガレイマコガレイババガレイ(ナメタガレイ)、ホシガレイ、メイタガレイ、アカガレイ、イシガレイオヒョウなど数十種が含まれる。

生態

体は平たく、両目は、ヌマガレイなどの一部の例外を除き、原則として体の右側の面に集まっている。逆にヒラメ類では、目は体の左側側面に集まる。しかし、個別の個体では偶発的に逆となる変異現象(reversal of sides)がある。両目のある側を上にして海底に横向きになり、砂や泥に潜るなどして潜む。体の目のある側は黒褐色から褐色。特有の斑点を持つものもある。この体色は体表にたくさん散らばっている色素細胞である黒色素胞(メラノフォア)の大きさを変えることにより、周囲の環境に合わせて変えることができ、保護色となる。両目のない側は白色。背ビレと尻ビレが長く、背ビレは頭部からはじまり尾ビレの根元まで、尻ビレは、頭部のそばにある小さな腹ビレから尾ビレの根元まで続く。

幼生は目が普通の魚と同様に左右に分かれて付いており、体も平たくない。成長とともに変態し、目がだんだんと右側に移動していき、体が平たくなり、また浮き袋がなくなり底生の成体となる。カレイは概して長寿命で、ヨーロッパ産の1種 プレイス (European plaice) で50年、オヒョウで40年などの記録がある。

主に肉食性で、小魚や海底の無脊椎動物を食べるが、似たような外見でフィッシュイーターであるヒラメとは異なり、捕食行動はやや大雑把である。そのため、ヒラメ釣りでは生き餌小魚や俊敏な動きのルアーを用いるのに対し、カレイ釣りではゴカイ・イソメ、アサリのほか、鈍重な動きのワームを用いる。冬の釣りの対象魚として知れられる。

名称

日本語の「かれい」は「唐」(からえい)または「涸れ鱏」の転訛とされる[2]。「鰈」の「」はに由来し薄いものの意[3]。王が魚を半分食べたところを水に放すと泳ぎだしたとの中国の故事から「王余魚[4]、王餘魚[5]」とも書くが、ヒラメをも含めた言い方である。このほか「鰕魿[4]、「嘉列乙」[6]、「嘉鰈」[6]、「[7]」、「[8]」、「[9]」などの漢字表記もある。

漢名は「鰈」であるが、ヒラメとの混称で「偏口魚」、「比目魚」などとも呼ばれる。

カレイはフランス語ではリマンド (limande)。英語では、カレイ、ヒラメシタビラメなどカレイ目の魚を "flatfish" と総称する。そのうち、カレイ、ヒラメは「flounder」と呼び、体の右側に目が寄っているカレイ科などの魚を、「righteye flounder」、ヒラメ科、ダルマガレイ科などの目が左側に寄っているものを「lefteye flounder」と呼ぶ。カレイ科のうち、オヒョウ類を特に「halibut」と呼ぶが、その区別はあいまいである。また、ウシノシタ科などに用いられる「sole」を名の一部に持つカレイ科の魚も少なくない。


  1. ^ "Pleuronectidae Rafinesque, 1815". World Register of Marine Species. 2023年9月26日閲覧
  2. ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.51 1988年 永岡書店
  3. ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.51-52 1988年 永岡書店
  4. ^ a b フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.52 1988年 永岡書店
  5. ^ 澁澤敬三、『日本魚名集覽 第二部』、p255、1944年、東京、生活社
  6. ^ a b 澁澤敬三、『日本魚名集覽 第二部』、p277、1944年、東京、生活社
  7. ^ 澁澤敬三、『日本魚名集覽 第二部』、p278、1944年、東京、生活社
  8. ^ 澁澤敬三、『日本魚名集覽 第二部』、p284、1944年、東京、生活社
  9. ^ 澁澤敬三、『日本魚名集覽 第二部』、p291、1944年、東京、生活社
  10. ^ Microstomus kitt”. Fishbase. 2007年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月27日閲覧。
  11. ^ Microstomus kitt”. Encyclopaedia of Marine Life of Britain and Ireland. Habitas Online (2005年). 2007年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月28日閲覧。
  12. ^ 魚介類の名称表示等について(別表1)”. 水産庁. 2013年5月29日閲覧。
  13. ^ 日高の水産 まるごと情報館
  14. ^ 週刊水産新聞2007年02月26日付「マツカワ陸上養殖、1年で出荷」
  15. ^ a b c d e f ラジオ日経 2014年9月11日放送 マルホ皮膚科セミナー 千貫祐子 牛肉アレルギーの意外な実態 島根大学医学部 皮膚科 講師 2017年12月5日閲覧


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