カキノキ属 生態系

カキノキ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 06:01 UTC 版)

生態系

カキノキ属の樹木は、ハワイのマウイ・ヌイの低地の乾燥した森林地帯[6]カスピ海のヒルカニアン混成林、Kathiarbar-Girの乾燥した落葉林、ルイジアード諸島の熱帯雨林、マダガスカルの低地林 、ニューギニアのマングローブ林、インドのナルマダ谷の乾燥した落葉広葉樹林、西ガーツ山脈南部にある熱帯雨林などの生態系において重要な樹木である。未熟の果実には、豊富なタンニンを含み、これによりほとんどの草食動物が食べられる事を防いでいるが、熟したときは、アダースダイカー(Cephalophus adersi)などの多くの動物によって食べられる。

病害虫

カキノキ属のは以下に示すようなチョウ目幼虫の食料となっている。

Diospyros hispidaカキ (Diospyros kaki)、マメガキ (Diospyros lotus)、Diospyros texanaボンベイコクタンDiospyros melanoxylon)などの多くのカキノキ属に感染するsac fungusPseudocercospora kaki は、褐斑病の原因菌であり、経済的な被害を及ぼす。

利用

D. leucomelasから分離したベツリン酸

カキノキ属には、食用の果実(カキ)またはその木材(黒檀)として商業的に重要な種が数種類ある。木材としては、本黒檀(Diospyros ebenumなど)、縞黒檀(striped ebony)、カラマンダー材(Calamander wood)(Diospyros celebicaDiospyros munなど)がある。

ボンベイコクタンの葉は、南アジアのビーディー英語版とよばれるタバコの包み紙に使用される。いくつかの種は医薬品の原料として使用され、Diospyros leucomelasは、汎用性の高い医療化合物であるベツリン酸が得られる。ハチは、花粉を媒介する昆虫として中心的な役割ではないが、プランテーションでは、カキノキ属の植物は、蜜の源となる植物であることもある。 マクルア(Diospyros mollis)はベトナムタンチャウ(Tân Châu / 新洲)にて、有名な黒色の絹織物(lãnh Mỹ A)の染料に使われる。

カキノキ属の木は、紋章としても多く使用されている。インドネシアでは、Diospyros celebicaは、中部スラウェシ州の、Diospyros macrophyllaは、西ヌサ・トゥンガラ州の木である。ヤエヤマコクタンDiospyros ferrea)は、沖縄県石垣市の花である。タイ王国では、カバイロクロガキ(Diospyros decandra)は、チャンタブリー県ナコーンパトム県の木である。インドガキ(Diospyros malabarica)は、アーントーン県の花である。

カキノキ属の植物の抽出物は、新しい抗ウイルス治療として提案されている[7]

ケガキ(Diospyros discolor)の葉には、イソアルボリノールメチルエーテル(シリンドリン) および脂肪酸エステルであるα- およびβ-アミリンが含まれている[8]。イソアルボリノールメチルエーテルとアミリン混合物は、大腸菌Escherichia coli)、緑膿菌Pseudomonas aeruginosa)、カンジダ菌(Candida albicans)、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus)、白癬菌Trichophyton mentagrophytes)に対する抗菌活性を示した[8]。抗炎症と鎮痛作用の特性は、アミリン混合物を分離することで示されている[8]


  1. ^ United States Department of Agriculture (1998年). “Germplasm Resources Information Network”. 2014年7月30日閲覧。
  2. ^ Jaeger, Edmund Carroll (1959). A source-book of biological names and terms. Springfield, Ill: Thomas. ISBN 0-398-06179-3 
  3. ^ Tice, John. H. "Essay on the Diospyros virginiana" Annual report / Missouri State Horticultural Society 1864.
  4. ^ Diospyros”. The Plant List. 2014年7月30日閲覧。
  5. ^ 北村四郎村田源『原色 日本植物図鑑 木本編 (I)』保育社、大阪市淀川区、1991年12月1日、改訂24版(日本語)。ISBN 4-586-30049-3
  6. ^ The Nature Conservancy – Hawaiʻi Operating Unit (March 2004) (PDF). Kānepuʻu Preserve Lānaʻi, Hawaiʻi Long-Range Management Plan Fiscal Years 2005–2010. Hawaii Department of Land & Natural Resources Natural Area Partnership Program. p. 3. http://www.state.hi.us/dlnr/dofaw/pubs/Kanepuu%20LRMP%20FY05-10.pdf 2009年4月9日閲覧。. 
  7. ^ Antiviral Agent and Antiviral Composition
  8. ^ a b c Ragasa, CY Puno, MR Sengson, JMA Shen, CC Rideout, JA Raga, DD (November 2009). “Bioactive triterpenes from Diospyros blancoi”. Natural Product Research 23 (13): 1252–1258. doi:10.1080/14786410902951054. PMID 19731144. 
  9. ^ マプラップ
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 「カキノキ科」『熱帯植物要覧』熱帯植物研究会、北野 至克(発行者)、(株)養賢堂、東京都文京区、1991年9月30日、3版。ISBN 4-924395-03-X
  11. ^ a b c d e f g カキノキ科カキノキ属
  12. ^ 奄美群島生物資源Webデータベース
  13. ^ ヤマガキ 独立行政法人森林総合研究所 九州支所
  14. ^ マクルア
  15. ^ Phillip Parker King (1791-1856) explorer or ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909) 植物学者
  16. ^ Phillip Parker King (1791-1856) explorer or ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909) 植物学者
  17. ^ Phillip Parker King (1791-1856) explorer or ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909) 植物学者
  18. ^ Phillip Parker King (1791-1856) explorer or ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909) 植物学者


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