あさかぜ型護衛艦 あさかぜ型護衛艦の概要

あさかぜ型護衛艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/25 00:19 UTC 版)

あさかぜ型護衛艦
護衛艦「あさかぜ」
基本情報
種別 護衛艦(DD)
命名基準 風の名(○○かぜ)
運用者  海上自衛隊
就役期間 1954年-1969年
同型艦 2隻
次級 ありあけ型
要目 (貸与時)
基準排水量 1,600トン
満載排水量 2,500トン
全長 106 m
最大幅 11.0 m
深さ 6.0 m
吃水 3.9 m
ボイラー B&W式×4缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
出力 50,000馬力 (37 MW)
最大速力 37ノット (69 km/h)
乗員 270名
兵装
FCS
  • Mk.37 主方位盤
  • Mk.51 副方位盤
  • レーダー
  • SC-2[1]/3[2] 対空捜索用
  • SG 対水上捜索用[1]
  • ソナー AN/SQS-10
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    来歴

    1951年(昭和26年)、連合国軍最高司令官マシュー・リッジウェイ大将は、連合国軍占領下の日本に対してパトロール・フリゲート(PF)および上陸支援艇(LSSL)を貸与することを提案した。これを受けて1952年4月26日海上保安庁内において、これら軍艦の受け皿となるとともに将来の海軍の母体となるべく、海上警備隊が創設された。そして同年8月1日保安庁の発足とともに、海上警備隊は海上保安庁の航路啓開部を吸収して警備隊に改組され、陸上部隊である警察予備隊(のちの保安隊)とともに保安庁の隷下に入り、本格的な再編制への体制が整えられることになった[4]

    貸与艦艇のうち、PFは1953年中に18隻全艦が引き渡されて、くす型警備船として就役し、後の海上自衛隊護衛艦整備の出発点となった[3]。警備隊発足年度である昭和27年度予算では、これらの警備船の運用基盤を整備するための支援船(水船や重油船など)の建造が優先され、戦闘艦艇の建造は行われなかった。続く昭和28年度より警備船の国内建造が着手されたものの、同年度での建造は、1,600トンの甲型警備船(DD; はるかぜ型)2隻と1,000トンの乙型警備船(DE; あけぼのいかづち型)3隻に留められた[注 1][5]

    その後、1954年5月14日に日米艦艇貸与協定が調印され、リヴァモア級駆逐艦キャノン級護衛駆逐艦2隻ずつが貸与されることになった。このリヴァモア級を再就役させたのが本型である。なおキャノン級はあさひ型となった[3]

    設計

    船体

    護衛艦「はたかぜ」

    船型としては船首楼付き平甲板型を採用しており、船首楼は長さの35パーセント程度を占めていた。また中央部の乾舷を補うため、長さの25パーセント程度に渡ってブルワークが設けられていた[6]。また船首楼部には舷窓が設けられていた[2]

    工作方法としては、量産を考慮して溶接構造が大幅に使われていたものの、強度外板は従来と同様にリベット接合を主としていた。インアンドアウト方式の外板接合は建造時に工数がかかり、外板新替などの修理工事はとくに大変だったほか、船体が老朽化してリベットが緩んだ場合の漏水の処置にも苦労させられたとされている[6]

    なお本型は重厚な火力装備のために復原性が悪く、翌1955年の日本回航後、52番砲の撤去やビルジキールの深さ増大などの改善工事が行われた[1]

    機関

    主機にはオール・ギアード・タービン方式を採用しているが、蒸気タービンは、「あさかぜ」はゼネラル・エレクトリック式、「はたかぜ」はウェスティングハウス式と、型式が異なっていた。巡航タービンは直結式で、大日本帝国海軍で多用された手動クラッチと比して故障が少なく取扱も容易だったことから、後の国産護衛艦に影響を与えた[7]

    ボイラーとしてはバブコック・アンド・ウィルコックス式の水管ボイラー4基を搭載した[7]。蒸気性状は、圧力615 lbf/in2 (43.2 kgf/cm2)、温度825 °F (441 °C)とされた[8]。なお機関配置は缶・機・缶・機のシフト配置とされた[6]

    なお本型の最大速力は、今日に至るまで海上自衛隊の護衛艦としては最速である[注 2][2]


    注釈

    1. ^ a b 警備隊時代の甲型警備船(DD)は、海上自衛隊への改編に伴って甲型警備艦(DD)と改称され、昭和35年度の艦種分類改訂以降は護衛艦(DD)と称されるようになった[3]
    2. ^ 国産護衛艦に限れば、「あまつかぜ」の33ノットが最速である。

    出典

    1. ^ a b c d e f g h i j k l m 阿部 2000, pp. 34–35.
    2. ^ a b c d e f g 海人社 2012.
    3. ^ a b c 阿部 2000, pp. 167–173.
    4. ^ 香田 2015, pp. 12–23.
    5. ^ 香田 2015, pp. 24–35.
    6. ^ a b c 吉原 2000.
    7. ^ a b 小林 2000.
    8. ^ 阿部 1995.
    9. ^ a b 高須 2000.
    10. ^ 中名生 2004.


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