準公共財
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/01 07:31 UTC 版)
準公共財(じゅんこうきょうざい)とは、非競合性と排除性のいずれか一方だけを持つ財をいう。クラブ財(くらぶざい)ともいう。
非排除性を持たない準公共財は、市場で取引されることが可能であるが、資源配分・所得分配あるいは各種の政策上の見地からその供給は公共部門により行われることが望ましいと考えられることがある。
この準公共財は以下のように分けられる。
- 排除するための費用はそれほど高くないが、その利用のための追加費用がほとんど零の財である。資源配分の観点から排除は行われず、固定費用は公的に負担される。混雑していない橋、公園などがその例である。
- 技術的に費用逓減下で生産されているが、その限界費用は正であり、かつ資源配分の観点からその価格が限界費用に等しく規制されている財である。このような財については赤字部分が公的に負担される。例として、公営交通機関や有料道路を挙げることができる。
なお、公共財と混同しやすいものに、マスグレイブの「価値欲求」に対応する概念がある。排除性があり、競合性もあるため、民間による適切な供給が可能であるが、政策上の観点から公共部門により供給される財である。その例として、義務教育、社会教育、伝染病予防接種、老人・幼児医療の無料化などを挙げることができる。
関連項目
排除性 | 非排除性 | |
競合性 | 私的財 食料・衣服・自動車・駐車場 |
コモンプール財 漁業資源・木材・石炭・水資源・無料公共交通機関 |
非競合性 | クラブ財 映画・有料公園・衛星放送・公共交通機関 |
公共財 無料放送・空気・国防・FOSS |
外部リンク
準公共財
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 14:29 UTC 版)
厳密には純粋公共財ではないが、非競合性あるいは非排除性のいずれかを有する広義の公共財を準公共財という。 非競合的かつ排除的な財は、「クラブ財」と呼ばれる。たとえば、有線放送のようなサービスは、放送用のケーブル網の敷設や番組制作などには費用がかかるが、これを100人の消費者に供給する代わりに150人の消費者に供給することによってもそれらの費用は余り増加しない。排除可能性は高いが、競合性が低い例となる。 非排除的かつ競合的な財は、「コモンプール財(共有資源)」と呼ばれる。たとえば、一般道路や橋などは、ある程度までであれば利用者全員は問題なく便益を受けられるが、利用者が増えるに従って混雑費用が高まり、競合性は高い。個々の限界便益に他者へ与える外部費用が含まれていないためである。しかし利用者全員に実際に課金するためのコストが高く、排除性は低い。そのため市場に任せると過剰消費がなされる傾向にある(共有地の悲劇)。
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