ほうしゃ‐とうきゅう〔ハウシヤトウキフ〕【放射等級】
読み方:ほうしゃとうきゅう
⇒輻射等級
放射等級
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:33 UTC 版)
全波長における明るさを積算して定めた等級を放射等級(bolometric magnitude, mBol)または輻射等級と呼ぶ。V等級と放射等級との差は放射補正 (bolometric correction, B.C.) と呼ばれ、 B . C . = m B o l − m v = M B o l − M v {\displaystyle B.C.=m_{\rm {Bol}}-m_{\rm {v}}=M_{\rm {Bol}}-M_{\rm {v}}} … (8) と定義される。放射補正の値は、F3型の星で B.C. = 0 と定義され、これ以外のスペクトル型では常に負の値を取る。 10パーセクの距離から見たときの放射等級を放射絶対等級 (absolute bolometric magnitude, MBol) という。太陽の放射絶対等級は +4.74等という値が広く受け入れられている。星が単位時間に放出する放射エネルギーの総和を光度 (luminosity, L) と呼び、光度L、太陽光度L☉と、放射絶対等級MBolの間には、 M B o l = 4.74 − 2.5 log 10 ( L / L ⊙ ) {\displaystyle M_{\rm {Bol}}=4.74-2.5\log _{10}(L/L_{\rm {\odot }})} … (9) という関係が成り立つ。 2015年8月の第29回IAU総会の決議B2で、放射等級は以下のように新たに定義された。 MBol = 0 の放射線源の放射光度 L0 を正確に L0 = 3.0128 × 1028 W と定めることで、光度Lの天体の放射絶対等級は以下の式で求められる。 M B o l = − 2.5 log 10 ( L / L 0 ) = − 2.5 log 10 L + 71.197425... {\displaystyle M_{\rm {Bol}}=-2.5\log _{10}(L/L_{0})=-2.5\log _{10}L+71.197425...} 放射絶対等級のゼロ点は、太陽の放射絶対等級として広く受け入れられている MBol☉ = 4.74 のときに、同決議B3で定められた公称太陽光度 (nominal solar luminosity) L ⊙ N {\displaystyle {\mathcal {L}}{\rm {_{\odot }^{N}}}} = 3.828 × 1026 W とほぼ一致するように定められている。 mBol = 0 となる全放射流束f0を f0 = 2.518 021 002 ... × 10-8 W m-2と定めることで、全放射流束fの天体の見かけの放射等級は以下の式で求められる。 m B o l = − 2.5 log 10 ( f / f 0 ) = − 2.5 log 10 f − 18.997351... {\displaystyle m_{\rm {Bol}}=-2.5\log _{10}(f/f_{0})=-2.5\log _{10}f-18.997351...} この全放射流束f0は、10パーセクの距離にある MBol☉ = 0 の等方性放射線源からの全放射流束に相当する。これは、太陽の放射等級として広く受け入れられている mbol☉ = -26.832 のときに、同決議B3で定められた公称全太陽放射 (nominal total solar irradiance) S ⊙ N {\displaystyle {\mathcal {S}}{\rm {_{\odot }^{N}}}} = 1361 W m-2 とほぼ一致するように定められている。
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