ケフェウス座V354星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/29 21:49 UTC 版)
ケフェウス座V354星 V354 Cephei |
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星座 | ケフェウス座 | |
見かけの等級 (mv) | 10.90[1] (10.82 - 11.35[2]) |
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変光星型 | LC[2] | |
位置 元期:J2000.0 |
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赤経 (RA, α) | 22h 33m 34.643s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | +58° 53′ 47.05″[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -2.6 ± 2.0 ミリ秒/年[3] 赤緯: 0.0 ± 1.6 ミリ秒/年[3] |
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距離 | 8,970 光年[注 1] (2.75 キロパーセク[4][注 2]) |
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絶対等級 (MV) | -7.57[4] | |
ケフェウス座V354星の位置
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物理的性質 | ||
半径 | 690[5][注 3] - 1,520[4] R☉ | |
表面重力 | 0.03 G[4][注 4] | |
スペクトル分類 | M2.7 Iab[6] | |
光度 | 76,000[5] - 369,000[4] L☉ | |
表面温度 | 3,650 K[4] | |
色指数 (B-V) | 3.18[7] | |
色指数 (V-I) | 3.94[8] | |
他のカタログでの名称 | ||
GSC 03995-00449, IRAS 22317+5838, IRC +60361, RAFGL 2922, TYC 3995-449-1[1], Case 75[9] | ||
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ケフェウス座V354星(ケフェウスざV354せい)は、銀河系内に存在する赤色超巨星である。また、LC型の脈動変光星で、変光星総合カタログでは明るさが10.82等から11.35等まで変化するとされる[2]。太陽からの距離はおよそ9,000光年と見積もられ、直径は太陽の690倍から1,520倍程度と推測されており、大きい方の推定値を採用するならば、既知の恒星の中で特に大きく光度の高いものの一つとなる。もしこの恒星を太陽系の中心に置いたと仮定すれば、半径は3.2から7.1AUとなるので、大きい場合は木星軌道の外、小さい場合でも火星軌道よりは外にまで達する[10][11][12][注 5]。
同定
ケフェウス座V354星は、IRASや2MASSの観測によって、赤色超巨星で変光星であることがわかっているが、1981年に変光星総合カタログに収録される前は、ほとんど知られていなかった[13]。ヘンリー・ドレイパーカタログやボン掃天星表には含まれておらず、かろうじてディアボーン天文台のカタログにみられるが、そのカタログ名が使われたことはほとんどない[14][15]。
一方で、ケフェウス座V354星はしばしば、Case 75という名称で扱われる。これは、ワーナー&スウェイジー天文台の赤外線観測によってみつかった、異常に赤いM型星のカタログからきている[9]。また、近くにあるF型星BD+58°2450と同じ星とされたことがあるが、これは誤りである[8][4]。
距離
ケフェウス座V354星は遠く、年周視差の測定から距離を決めることはできない。ケフェウス座OB1アソシエーションの近くに位置しており、その一員ではないかとみられる[7][8]。そうだとすれば、このアソシエーションまでの距離およそ9,000光年と同程度の距離と考えられる[4]。
特徴
ケフェウス座V354星の光度や大きさについては、議論の余地がある。最初にこの星の半径が綿密に推定された際は、非常に明るい放射等級に基づいて半径が太陽の1,520倍と求められ、既知の恒星の中で最も巨大なものの一つとされた[4]。一方で、測光観測の結果に基づく推定では、光度はその1/5となり、その光度での典型的な半径を計算すると、太陽の690倍になる[5][注 3]。この差は、光度を推定する過程で生じたものとみられるが、その原因は説明できていない。
減光の推定においても差異が生じており、かたや2等級、かたや6等級という結果が出ている[16][4]。
脚注
注釈
- ^ 距離(光年)は、距離(パーセク)× 3.26 により計算。
- ^ 距離指数
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