Tetracapsuloides bryosalmonae
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 21:14 UTC 版)
「軟胞子虫」の記事における「Tetracapsuloides bryosalmonae」の解説
淡水産コケムシ類の体腔中を浮遊し内部に胞子を蓄える袋状の生物であり、ヨーロッパおよび北アメリカに分布している。蠕虫形の形態を取る時期もあると想像されているが、これまでのところ発見されていない。元々はサケ科魚類に感染して増殖性腎臓病 (PKD) を引き起こす病原体PKXとして知られており、粘液胞子虫との類縁性が言われてはいたものの、成熟した胞子を作らないことから保留されていた。さらに魚類から魚類への直接伝播が起こらないことを考え併せ、魚類は固有宿主ではなく偶然宿主なのだろうとも考えられていた。1999年になって、コケムシ類から見付かる胞子がサケ科魚類に感染することが感染実験と遺伝子配列比較によって証明され、Tetracapsula bryosalmonae と命名された。その後 Tetracapsula 属は Buddenbrockia 属のシノニムとして無効になったため、改めて設立された Tetracapsuloides 属に移されて現在の学名に至る。なお固有宿主は明らかになったものの、この生物にとって魚類への感染がどういう意味を持つのかは未解明のままである。生物地理学的な研究からは、この生物の分布拡大は人間の活動(ニジマスの養殖やサケの放流)とは関係ないことが示唆されており、したがって魚類への感染は意味を持っていないはずだと考えられる。
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