TECH WORLD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 04:44 UTC 版)
TECH WORLD | |
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会期中のTECH WORLD
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情報 | |
用途 | パビリオン |
設計者 | イオ・ミン・ペイ[1] |
事業主体 | 玉山デジタルテック |
階数 | 地上4階[2] |
開館開所 | 2025年4月13日 |
所在地 | 〒554-0044 大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目 |
座標 | 北緯34度39分8.2秒 東経135度22分56.7秒 / 北緯34.652278度 東経135.382417度座標: 北緯34度39分8.2秒 東経135度22分56.7秒 / 北緯34.652278度 東経135.382417度 |
TECH WORLD(テックワールド)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において玉山デジタルテック株式会社が出展したパビリオンである。中華民国は博覧会国際事務局に加盟していないため国別パビリオンは開設されず、台湾貿易センターが全額出資する玉山デジタルテックの名義で、民間パビリオンとして出展する形態をとった[3][4]。
建築
国別パビリオンはいずれも大屋根リングの内側に配置されるが、TECH WORLDは民間パビリオンであるため、日本企業のパビリオンと同様にリングの外側に配置された。大屋根リングから見て右側はテーマウィークスタジオ、左側はガスパビリオンに隣接する[5]。建物は高くそびえる群山から着想を得た「心の山」をモチーフにしている[6]。
展示内容
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ASUSのChromebookを560台使用したマルチメディアパフォーマンス
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4Kディスプレイに映し出された玉山
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ナノスプレーでミャクミャクがプリントされたコチョウラン
入館すると、スマートブレスレットが貸し出される。館内は4階建で、1・2・4階に「ライフ」「ネイチャー」「フューチャー」のコンセプトに基づいた3つの展示ゾーンが配置されている[7]。
「ライフ」のゾーンでは、円柱形のスクリーンの周囲にASUS製の560台のChromebookが台湾固有の動植物を映し出す。タブレットに映るチョウをスワイプすると、円柱スクリーンに飛ばせる仕掛けもあった[8]。
「ネイチャー」のゾーンでは、周囲360度の高精細4Kディスプレイに台湾の大自然が映し出された。台湾は世界のランの出荷量の1/3を占める一大産地であり、花びらを傷めないナノスプレー技術でTECH WORLDのロゴやミャクミャクをプリントした胡蝶蘭も展示された。先進反射防止技術や画像色統合技術を搭載した8K解像度ディスプレイには、台湾のアーティストによる絵画作品が映し出され、人工知能により過去の作品と現代の台湾の都市を融合した映像も生成された[8]。
「フューチャー」のゾーンでは、Harvatek製の幅13メートル×高さ2.4mのミニLEDスクリーンで、半導体と人々の暮らしをテーマにしたインタラクティブ映像が展示された[8]。
スタッフの案内に沿って周遊する観覧方式で、所要時間は約30分[9]。順路の最後では、スマートブレスレットで記録した来場者の心拍数をもとに、最も印象に残ったテーマに基づきAIがおすすめの台湾の旅行先を提案した[10]。館内には神農生活の期間限定ショップが設けられ、台湾土産や滷肉飯などが販売された[9]。
8月8日のパビリオンデーには、パフォーマンス集団「舞鈴劇場」による、『山海天光』のライブパフォーマンスが上演された[11]。
名称とコンセプト
TECH WORLDの頭文字の「TW」は、台湾の国名コード(ISO 3166-1 alpha-2)と同一になる[10]。“共に良くなる”を意味する「共好(ゴンハオ)」をテーマにしており、館内には「ライフ」、「ネイチャー」、「フューチャー」をテーマにした3つのゾーンからなる[10]。半年間の会期中、延べ110万人以上が来館した[12]。
玉山デジタルテック
玉山デジタルテック株式会社(たまやまデジタルテック、英: Tamayama Digital Tech Co., LTD、繁: 玉山數位科技株式會社)は、台湾貿易センター(中華民國對外貿易發展協會)が100%出資して2021年10月に設立した企業で、本社を東京都千代田区に置く。社名は台湾最高峰の玉山から採られた[3]。
論争
事実上の台湾パビリオンの存在は、中華人民共和国からの反発を招いた。朱鳳蓮は、民主進歩党が世界を混乱させようとしていると主張し、「このような行為を繰り返しても、台湾が中国の一部であるという事実は変わらない」と述べた[13]。混乱を避けるため、日本の外務省は台湾に対し、このパビリオンが民間パビリオンであることを明記するよう要請した[14]。
脚注
- ^ Hayata, Takefumi (2025年4月16日). “大阪・関西万博に台湾が「一民間企業」として参加せざるをえない理由、中国大陸との関係に左右されてきた歴史”. 東洋経済オンライン. p. 2. 2025年10月19日閲覧。
- ^ TECH WORLD
- ^ a b Hayata, Takefumi (2025年4月16日). “大阪・関西万博に台湾が「一民間企業」として参加せざるをえない理由、中国大陸との関係に左右されてきた歴史”. 東洋経済オンライン. 2025年4月17日閲覧。
- ^ Affairs, Ministry of Foreign (2025年3月7日). “Taiwan's pavilion for World Expo 2025 unveiled in Taipei”. Ministry of Foreign Affairs, Republic of China (Taiwan). 2025年4月17日閲覧。
- ^ “大阪万博のテックワールド、踊る560台のタブレット 台湾の先端技術”. 日本経済新聞. 27 August 2025. 2025年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月19日閲覧.
- ^ 建築コンセプト:心の山
- ^ TECH WORLD
- ^ a b c “台湾のテクノロジーが集結! 大阪・関西万博「TECH WORLD館」体験レポート”. アステリア (2025年5月7日). 2025年10月19日閲覧。
- ^ a b “大阪・関西万博の台湾パビリオン『TECH WORLD館』 が凄い! 見どころ、買うべきお土産、注意点まとめ”. 美麗!台湾 (2025年4月17日). 2025年10月19日閲覧。
- ^ a b c “台湾の最新テクノロジーを発信する万博パビリオン「TECH WORLD」:“共好”の精神で、世界と共に歩む”. nippon.com (2025年5月18日). 2025年5月24日閲覧。
- ^ “TECH WORLDパビリオンデーが盛況 パビリオンの来場者数は66万人超え”. オフィスマガジン (2025年8月12日). 2025年10月19日閲覧。
- ^ 「2025大阪万博閉幕、110万人が体験した台湾館「TECH WORLD」閉幕 大阪万博で感動の「灯りの儀式」」『風傳媒』2025年10月15日。2025年10月19日閲覧。
- ^ “中国、「TW館」に不快感 大阪万博に台湾系団体参加で”. 日本経済新聞 (2025年4月16日). 2025年5月24日閲覧。
- ^ “Osaka Expo: Japan requests Taiwan pavilion be labeled as privately operated”. Kyodo News+. 2025年5月24日閲覧。
外部リンク
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