SUTVA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 08:41 UTC 版)
ある被験者における [潜在アウトカムの] 観測は、他の被験者への治療の割り付けによって影響を受けないようにする必要がある —D. R. Cox,Planning of Experiments ドナルド・ルービンは、以下の 2 つを満たすものを Stable Unit Treatment Value Assumption(SUTVA)として定義した。なお、サトヴァと発音する。 解析の単位(個人、集団など)間で相互干渉がない - there is no interference between units 同じ処置なら内容は同じ(内容が違うなら別の処置として扱う)- there are no hidden versions of treatmen how unit i received treatment これまでの例で考えると、ジョーの血圧はメアリーが新薬を受け取るかどうかに依存するべきではない。しかし、もしそうならどうなるだろうか?ジョーとメアリーが同じ家に住んでいて、メアリーがいつも料理をしているとする。新薬を服用するとメアリーは塩辛い食べ物が食べたくなり、新薬を服用しない場合よりも多くの塩を使って調理する。高食塩食はジョーの血圧を上昇させる。したがって、ジョーのアウトカムは、ジョーが服薬とメアリーの服薬の両方に依存する。 SUTVA違反は、因果推論をより困難にする。より多くの治療を検討することにより、それに依存する観測値を説明できる。ジョーの服薬の有無だけでなく、メアリーの服薬の有無も加味して、以下の4パターンを考える。 ジョーの服薬メアリーの服薬ジョーの血圧なし あり 140 あり あり 130 なし なし 125 あり なし 120 因果効果は、2つの潜在アウトカムの違いとして定義される。この例では潜在アウトカムが2つより多く、複数の因果関係が考えられる。第一に、メアリーが服薬した場合における、ジョーの服薬とジョーの血圧との因果関係であり、 130 − 140 {\displaystyle 130-140} として計算される。第二に、メアリーが服薬しなかった場合における、ジョーの服薬とジョーの血圧との因果関係であり、 120 − 125 {\displaystyle 120-125} として計算される。第三に、ジョーが服薬しなかった場合における、メアリーの服薬とジョーの血圧との因果関係であり、 140 − 125 {\displaystyle 140-125} として計算される。ジョーの血圧に対する因果効果は、メアリーの服薬によるものの方がジョー服薬によるものよりも大きく、その方向は反対である。 このように、より多くの潜在アウトカムを検討することにより、SUTVAを保持させることができる。ただし、ジョー以外の被験者がメアリーの服薬に依存している場合は、さらなる潜在アウトカムを考慮する必要がある。従属ユニットの数が多いほど、考慮しなければならない潜在アウトカムが多くなり、計算が複雑になる(20 人の治療のそれぞれが 20 人全員のアウトカムに影響を与える事態を想像しよう)。コントロールと比較した単一の処置の因果効果を(簡単に)推定するためには、SUTVAの成立が必要である。
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