潜在アウトカム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 08:41 UTC 版)
「ルービン因果モデル」の記事における「潜在アウトカム」の解説
ジョーが新しい高血圧薬のFDAテストに参加していると仮定する。私たちが全知ならば、治療(新薬)とコントロール(治療なし または標準治療)の両方の下でのジョーのアウトカム(結果)が分かる。因果効果、すなわち治療効果は、これら2つの潜在アウトカム Potential outcomesの違いである。 件名 Y t ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)} Y c ( u ) {\displaystyle Y_{c}(u)} Y t ( u ) − Y c ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)-Y_{c}(u)} ジョー130 135 −5 Y t ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)} はジョーが新薬を服用した場合の血圧を示す。一般に、この表記法は、被験者 u における治療 t から生じる潜在アウトカムを表す。同様に、 Y c ( u ) {\displaystyle Y_{c}(u)} は、被験者 u に対するコントロールの効果を示す。この例だと、 Y c ( u ) {\displaystyle Y_{c}(u)} は新薬を服用しない場合のジョーの血圧を示す。 Y t ( u ) − Y c ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)-Y_{c}(u)} が新薬を服用した場合の因果効果を示す。 この表からは、ジョーにおける因果効果だけがわかる。他の被験者は、全員、新薬を服用すると血圧が上昇するかもしれない。他の被験者の因果効果に関係なく、ジョーの因果効果は、新薬を服用していなかった場合の血圧に比べて血圧が低いこと、となる。 被験者を増やしてみる。 被験者 Y t ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)} Y c ( u ) {\displaystyle Y_{c}(u)} Y t ( u ) − Y c ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)-Y_{c}(u)} ジョー130 135 −5 メアリー140 150 −10 サリー135 125 10 ボブ135 150 −15 因果効果は、すべての被験者で異なっているが、因果効果がマイナスであることから、新薬はジョー、メリー、ボブに「有効」であるといえる。彼らの血圧は、それぞれが新薬を服用しなかった場合よりも新薬を使用した方が低くなる。一方、サリーの場合、新薬は血圧の上昇を引き起こす。 潜在アウトカムが意味を成すためには、少なくとも事前(a priori)にそれが可能でなければならない。たとえば、ジョーがどうやっても新薬を入手できない場合は、 Y t ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)} は彼には不可能である。それは決して起こり得ない。そしてもし Y t ( u ) {\displaystyle Y_{t}(u)} が理論的にも観察することができないのならば、ジョーの血圧に対する新薬の因果効果は定義されない。
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