STAP幹細胞にはTCR遺伝子再構成が認められなかった問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 23:52 UTC 版)
「刺激惹起性多能性獲得細胞」の記事における「STAP幹細胞にはTCR遺伝子再構成が認められなかった問題」の解説
2014年1月30日発表のアーティクル論文では分取できたリンパ球系のSTAP細胞にTCR遺伝子再構成が認められ、培養条件を変えることによりそのSTAP細胞からSTAP幹細胞を樹立できたと報告し、『体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見』したとしていた。しかし、プロトコル・エクスチェンジの中で、8クローンのSTAP幹細胞を調査したところ、いずれにおいてもTCR遺伝子再構成が認められなかったことが公表されたことにより、STAP幹細胞が分化した体細胞に由来したと主張する証拠が無いことが判明した。 若山照彦はこのことについて、「STAP細胞が出来た重要な証拠の1つである特定の遺伝子の変化について、論文発表前、研究チーム内では『変化がある』と報告され、信じていたが、先週、理化学研究所が発表した文書の中では、変化はなかったと変わっていた」とし「STAP細胞の存在に確信がなくなった」と述べた。3月10日、若山はこの矛盾を始めとして、STAP細胞が3胚葉組織への分化能を持つことを示す画像が博士論文と酷似していた事実を受けて、論文の撤回を呼び掛けた。 2014年6月10日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの自己点検検証委員会(CDB 自己点検検証委員会)は、小保方晴子、丹羽仁史、笹井芳樹が、2014年1月30日のアーティクル論文発表の1年前の2013年1月時点で、STAP幹細胞にTCR遺伝子再構成がなくなっていたという結果を共有していたが、STAP幹細胞にTCR遺伝子再構成がないことを記載せずネイチャーに発表していたことを報告した。
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