Mk37 (魚雷)とは? わかりやすく解説

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Mk37 (魚雷)

(NT37 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/26 15:13 UTC 版)

Mk 37魚雷
Mk37魚雷、ドイツのヴィルヘルムスハーフェン海軍博物館の収蔵品。
種類 対潜魚雷
原開発国 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 1956年–
開発史
開発者 アメリカ海軍
開発期間 1946年–
製造業者 ノースロップ社ベンチュラ部門→ハネウェル社→レイセオン
製造期間 1950年代–
諸元 (Mk 37 Mod 0/3 主要諸元)
重量 645 kg(Mod 0/3)、766 kg(Mod 1/2)
全長 3.52 m(Mod 0/3)、4.09 m(Mod 1/2)
直径 483 mm(19インチ)

射程 約21.5 km(11.5海里
速度 24ノット(Mod 2/3)
弾頭 HBX-3高性能炸薬 150 kg

エンジン 銀亜鉛酸化物電池+直流電動機
深度 最大270 m(Mod 2/3)
誘導方式 探信/聴音音響ホーミング(一部モデルでは有線誘導を併用)
発射
プラットフォーム
潜水艦、水上艦
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Mk 37魚雷(マーク37ぎょらい、英語: Mark 37 torpedo)は、アメリカ合衆国で開発された魚雷である。第二次世界大戦直後に開発が始まり、潜水艦と水上艦の両方から運用できる対潜用の電池式魚雷として、1956年に就役した[1]。1960年代から1970年代にかけてのアメリカ海軍における標準的な対潜魚雷として運用され、少なくとも16か国の海軍に採用された[1][2]

来歴

第二次世界大戦終結直後、アメリカ海軍は汎用魚雷ファミリーの開発に着手した。Mk 37はその一つとして、もともと対潜戦(ASW)艦艇における潜水艦防御兵器・デコイとして開発されたが、デコイ機能は後に廃止された[1]。設計作業は1946年に始まり[2]、水上艦からの発射を可能とする対潜兵器としての開発も並行して進められ、1956年に就役した[1]

1960年代には、特定の条件下でMk 37魚雷が自己起爆する事例が報告された[1]。1993年後半に公開されたアメリカ海軍の文書によれば、投棄された魚雷が旋回してスキップジャック級原子力潜水艦スコーピオン」の喪失原因となった可能性が指摘されている[1]

ソ連の潜水艦の性能向上によりMk 37が急速に陳腐化したことを受けて、1968年にノースロップ社ベンチュラ部門とアメリカ海軍が改良プログラムを開始した[1]。これはMk 37の推進系を電池式から熱機関式に換装し、誘導・制御系も大幅に改善するものであった[1][2]。改良型はNT-37と命名され、1973年に開発が完了し、同年カナダから最初の発注を受けた[1]。1979年後半にはハネウェル社(後のアライアント・テクシステムズ社)がノースロップ社からNT-37の開発・製造責任を買い取った[1]

Mk 37は、Mk 67 SLMM(Submarine-Launched Mobile Mine: 潜水艦発射型自走機雷)の基礎としても使用された[1][2]

設計

Mk 37

Mk 37は直径483 mm(19インチ)の魚雷であり、ガイドを用いることで533 mm(21インチ)発射管から水圧発射またはスイムアウト発射が可能である[1]。外観は丸みを帯びた先端と矩形の安定翼を持つ太い円筒形で、スクリュープロペラが露出している[1]。内部には磁歪変換器(Mod 2/3はセラミック製)を用いた真空管式音響パネル、150 kgのHBX-3炸薬弾頭、攻撃論理回路が収められている[1]。論理回路には深度制限、サーチパターン、ホーミング方式(探信・聴音および両者の複合)などの各種オプションが設定できる[1]。推進は銀亜鉛酸化物電池36 kWおよび直流電動機による[1]

Mod 0は自由駛走型の対潜魚雷、Mod 3はMod 0の改良型である[1]。目標迎撃コースに向けて発射された後、事前設定された射程で弾頭を起動して攻撃論理回路に移行する[1]

Mod 1は水上艦発射の有線誘導対潜魚雷、Mod 2はMod 1の改良型である[1]。ソナーで探知した目標に向けてワイヤー誘導し、シーカーが目標を自律捕捉できる距離(215 m)まで誘導する方式をとる[1]

Mk 37は常に対潜専用の魚雷であり、その誘導システムは高速水上目標への対応に適しておらず、速力も高速艦艇を追跡するには不足していた[2]。誘導ワイヤーを通じて2度刻みのコース変更指令を受信することができ、状態信号(速力切替、起動、捕捉・喪失)をワイヤー越しに送信する[2]

電池の問題

マーク46電池には、強い振動が加わると不時に通電・過熱する[注 1]不具合をもつ生産ロットがあることが1968年までに、海軍の魚雷を管轄する海軍武器コマンド隷下の研究所「海軍魚雷ステーション武器品質工学センター」では知られていた。Mk37魚雷の場合、このバッテリーは弾頭の内側にボルト留めされており、バッテリーが不時に通電加熱した場合、弾頭を自然爆発させて潜水艦を沈没させるに至るに十分な熱を発生させたという内容の秘密の警告文とともに、回収が勧告されていた[3]。Mk37魚雷およびマーク46電池の生産が進められていた1960年代、ソ連の原潜に対抗しうる魚雷を求めて、アメリカ潜水艦部隊は魚雷の生産を急ピッチで推進していたが、海軍の品質検査に合格する部品の製造に各メーカーは苦慮しており、なかでもこのバッテリーでは不具合が繰り返し発生していたため、生産計画が遅延しており、海軍武器コマンドは所定の品質検査を通過させていないバッテリーを魚雷に組み込んでいた[4]。武器品質工学センターはこの問題をバッテリーそのものの基本設計の欠陥であると指摘し、是正を勧告していたが、この勧告は聞き入れられることはなかった[5]

NT-37

NT-37はMk 37をベースとした両用魚雷であり、Mk 37と比較して格段に広い攻撃モードを持つ改良された誘導・制御系を特徴とする[1]

NT-37CはMk 37から以下の点が変更されている[1]

推進系は電池式から熱機関式に変更され、Mk 46 Mod 2用の90馬力オットー燃料式熱化学推進系を導入することで、Mk 37比で速力40パーセント増、射程150パーセント増、航続時間80パーセント増が達成された[1][2]。既存のMk 46燃料補給・エンジン整備設備との互換性も確保されている[1]。シーカーは水上艦に対する聴音性能が強化され、誘導系は攻撃モードの拡充のために改良された[1]。NT-37C Mod 3は自由駛走型、Mod 2は有線誘導型であり、新型ワイヤーコイルにより少なくとも12,900 mの誘導ワイヤーを繰り出せる[1]

NT-37DはNT-37Cに固体式音響システムおよび騒音低減層流ノーズ組立品を追加したものである[1][2]。新型ソナーにより高速水上目標に対する聴音探知距離、小型断面積の潜水艦目標に対する探信探知距離が大幅に向上し、多くの場合で目標捕捉距離が2倍となった[1]。騒音低減ノーズ組立品によりNT-37Dの全長は55.9 cm増加した[1]

NT-37Eはコンピューターベースの誘導・制御系をさらに追加したもので、アライアント(旧ハネウェル)H-737慣性センサーアセンブリとインテル80186組込マイクロプロセッサを採用し、ソフトウェアの改訂とPROM換装により戦術プログラムを完全に書き換えることができる[1][2]。本型は自己雑音低減ノーズ組立品を備え、探信探知距離を50〜90パーセント、聴音探知距離を100〜200パーセント向上させた[2]。標準的なアナログMk 37射撃管制インターフェースまたはRS-232/RS-422デジタル射撃管制との接続が可能であり、直線走行/斉射対艦、音響ミスインジケーター付き直線走行、対潜用探信スネーク・サークル、水上艦用受動スネーク・サークルの4種の走行モードを提供する[1]

NT-37F/シーハンター(Seahuntor)は1991年に最初に発注されたNT-37Eのさらなる改良型で、より高い感度設定に対応した再設計ノーズを特徴とする[1][2]。ソナー探索能力が向上し、信号処理に可変検出感度(高波浪状態への対応)とレンジゲーティング(デコイ回避)が追加されている[1]。シーハンターは対潜・対艦の両用魚雷であり、シーカー/弾頭セクションを本体に連結する大型の外付けクリップ以外は外観的にMk 37ファミリーに類似する[1]。弾頭は260 kgに強化されており、オットー燃料タンクは弾頭後方の機体中央付近に配置され、爆発時には炸薬弾頭を補強する[1]

比較表

項目 Mk 37(Mod 0/3) Mk 37(Mod 1/2) NT-37(Mod 2/3) シーハンター(Mod 2/3)
全長 3.52 m 4.09 m 4.50 m / 3.84 m 4.77 m / 4.11 m
直径 483 mm
重量 645 kg 766 kg 812 kg / 784 kg 840 kg / 822 kg
弾頭 HBX-3炸薬 150 kg HE 150 kg 150 kg
推進 銀亜鉛酸化物電池+直流電動機 オットー燃料式熱化学推進(Mk 46 Mod 2エンジン)
速力 24ノット(Mod 2/3) 33ノット 多速度
射程 約21.5 km(11.5海里 約25 km(13.5海里) 約28 km(15海里)
最大深度 270 m(Mod 2/3) n/a

[1][2]

製造

NT-37の開発はノースロップ社ベンチュラ部門が担い、1979年後半にハネウェル社(後のアライアント・テクシステムズ社)が開発・製造責任を引き継いだ[1]。その後アライアント社はレイセオンに売却された。現在の製造元はレイセオン・エレクトロニクス社(ムキルテオ)である[1]

脚注

注釈

  1. ソンタグ[2000:238-239]にこれが発覚した際のテストの様子が記述されている。強い振動をバッテリーに加えるテストを行ったところ、バッテリーが爆発炎上したのである。

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 Hooton 2001, pp. 457–459.
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Friedman 2006, p. 747.
  3. ソンタグ[2000:234-236]
  4. ソンタグ[2000:240-241]
  5. ソンタグ[2000:241-242]

参考文献

関連項目

外部リンク




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