Intel AVX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:57 UTC 版)
「ストリーミングSIMD拡張命令」の記事における「Intel AVX」の解説
MMX/SSE後継のSIMD拡張命令セットで、呼称がIntel Advanced Vector Extensionsとなった。Sandy Bridgeマイクロアーキテクチャで初めて搭載された。浮動小数点演算の演算幅がSSEの2倍の256ビットとなり、1命令で8つの単精度浮動小数点演算もしくは4つの倍精度浮動小数点演算を実行することができる。また、命令デコード性能向上のため、新しい命令フォーマット(VEXエンコーディング)が採用されている。3 or 4オペランドの非破壊型命令もサポートするため、レジスタ退避・復元処理の記述を省くことができる。この非破壊型の命令フォーマットに関しては従来の128ビット幅のSSE命令にも使うことができるため、AVXに対応したプロセッサでは新規に導入された256ビット命令を使わなくてもSIMD演算の性能が向上する可能性がある。 SSEが導入された際には専用の128ビットレジスタが新設されたが、AVXの256ビットレジスタは下位の128ビットを既存のSSEレジスタと共有している。そのためSSE命令とAVX命令の間でのデータ交換は容易である。ただし、256ビットのAVX命令と既存のSSE命令を混在させると、SSE命令を実行する際にAVXレジスタの上位128ビットを退避するというペナルティが発生するため、パフォーマンスが落ちる。これを避けるためには、256ビット命令の実行後にVZEROUPPER/VZEROALL命令を実行して明示的にAVXレジスタの上位128ビットをクリアするか、SSE命令をVEXエンコーディングを使ったものに置き換える必要がある。VEXエンコーディングの128ビット命令はAVXレジスタの上位128ビットを保持せずにゼロクリアするという挙動になっており、AVXレジスタの部分的な書き換えが発生しないためである。 Sandy Bridgeでは当初のSSEの実装のように既存の128ビットの演算器を使って2サイクルで実行するようなことはせず、素直に乗算器や加算器などの演算器が256ビット幅に拡張されている。これによって、実質的なピーク浮動小数点演算性能がNehalem世代の2倍となっている。 AMDはBulldozer世代向けに当初予定していたSSE5拡張命令をキャンセルし、AMD FXではAVXがサポートされることになった。ただし、256ビット命令に関しては128ビット幅の演算器を2つ使って実行しており、スループットは従来のSSE命令と変わらない。
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