ヘキサフルオロ-2-プロパノールとは? わかりやすく解説

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ヘキサフルオロ-2-プロパノール

(Hexafluoro-2-propanol から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/07 22:18 UTC 版)

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ヘキサフルオロ-2-プロパノール
略称  HFIP
識別情報
CAS登録番号 920-66-1 
PubChem 13529
ChemSpider 10606755 
ChEBI
RTECS番号 UB6450000
特性
化学式 C3H2F6O
モル質量 168.04 g mol−1
外観 無色透明液体
匂い 刺激臭
密度 1.596 g/mL
融点

-3.3 °C, 270 K, 26 °F

沸点

58.2 °C, 331 K, 137 °F

への溶解度 混和
蒸気圧 16 kPa at 20 °C
粘度 1.65 cP at 20 °C
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
主な危険性 腐食性 (C)
NFPA 704
0
3
0
Rフレーズ R20/22, R34, R41
Sフレーズ S26, S36/37/39, S45
引火点 100 °C (212 °F; 373 K)
関連する物質
関連する物質 ヘキサフルオロアセトン;
2-プロパノール, 2,2,2-トリフルオロエタノール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘキサフルオロ-2-プロパノールHexafluoro-2-propanol)は、化学式(CF3)2CHOHで表される有機化合物であり、アルコールの一種である。ヘキサフルオロイソプロパノールとも呼ばれ、しばしばHFIPと略される。溶媒及び合成中間体として主に利用されている。

化学的性質

高い揮発性を持つ無色透明液体であり、刺激臭がある。分子内で大きく分極しており強い水素結合部位を持つため、水素結合受容体であるアミドエーテルなどを溶解させることができる。 高い密度を持っているが、粘度屈折率は共に低く、紫外線は透過する。

合成法

ヘキサフルオロアセトンヒドリド還元、あるいは触媒的水素化反応によって生成する。[1]

(CF3)2CO + H2 → (CF3)2CHOH

利用

主に、分極したポリマーを溶解させるための溶媒、及び有機合成における溶媒として利用されている。.[2][3]ポリアミドポリアクリロニトリルポリアセタールポリエステルポリケトンのような通常の溶媒に溶けないようなポリマーを溶かすことが可能である。また、生化学の分野においても用いられ、ペプチドβシート構造を持つ単量体タンパク質を溶解させる。

また、自身が持つ酸性度(pKa = 9.3)のため、イオン対HPLC緩衝液としても用いられる。[4]

吸入麻酔薬であるセボフルラン前駆体であり代謝産物でもある。

安全性

腐食性をもつ揮発性液体であり、重篤な呼吸器障害、火傷を引き起こす恐れがある。

脚注

  1. ^ Günter Siegemund, Werner Schwertfeger, Andrew Feiring, Bruce Smart, Fred Behr, Herward Vogel, Blaine McKusick “Fluorine Compounds, Organic” in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, John Wiley & Sons, 2007. doi:10.1002/14356007.a11_349
  2. ^ Bégué, J.-P.; Bonnet-Delpon, D.; Crousse, B. (2004). “Fluorinated Alcohols: A New Medium for Selective and Clean Reaction”. Synlett (1): 18–29. doi:10.1055/s-2003-44973. 
  3. ^ Shuklov, Ivan A.; Dubrovina, Natalia V.; Börner, Armin (2007). “Fluorinated Alcohols as Solvents, Cosolvents and Additives in Homogeneous Catalysis”. Synthesis: 2925–2943. doi:10.1055/s-2007-983902. 
  4. ^ Apffel, A.; Chakel, J.A.; Fischer, S.; Lichtenwalter, K.; Hancock, W.S. (1997). “Analysis of oligonucleotides by HPLC-electrospray ionization mass spectrometry”. Anal. Chem. 69: 1320–1325. doi:10.1021/ac960916h. 

参考文献




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