幻想小曲集作品12 (シューマン)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 幻想小曲集作品12 (シューマン)の意味・解説 

幻想小曲集作品12 (シューマン)

(Fantasiestücke, Op. 12 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/08 14:56 UTC 版)

幻想小曲集(げんそうしょうきょくしゅう、Fantasiestücke作品12は、ロベルト・シューマン1837年に作曲した、8曲からなるピアノ曲集。タイトルの通り、一つ一つの曲は幻想的な情緒に満ちており、それぞれに文学的な標題が付けられている[1]

なお、シューマンの作品で「幻想小曲集」と銘打たれているものは他にも作品73クラリネットとピアノ)、作品88ピアノ三重奏)、作品111(ピアノ独奏)がある。

曲の構成

発想標語はもともとドイツ語だが、括弧内に日本語イタリア語の訳を付記する。

第1曲 夕べにDes Abends変ニ長調

Sehr innig zu spielen (非常に心を込めて弾く; Con molto sentimento)
3連符の伴奏の上に、もう1つ大きな単位の、アクセントの違う3連符の旋律が歌われる。つまり2拍子でありながら伴奏は2拍子、旋律は3拍子を感じさせ、それが複雑に絡み合うことで、独特の幻想味を醸し出している。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第2曲 飛翔Aufschwungロンド形式 ヘ短調

Sehr rasch(極めて速く; Molto vivo)
曲集の中では、最も有名なものである。ABACAのロンド形式。力強い冒頭が印象的な主部では、内声部で情熱的な旋律が歌われる。Bでは変ニ長調に転じ、軽やかに高音部で歌われる。Cでは変ロ長調になり、幾分落ち着いたものとなる。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第3曲 なぜにWarum?) 変ニ長調

Langsam und zart(ゆっくりそして優しく; Lento e teneramente)
標題の通り、問いかけるような主題が2声で進行する。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第4曲 気まぐれGrillen

Mit Humor(ユーモアをもって; Con umore)
スケルツォの形をとる。変ニ長調であるが、変ロ短調(しかも属和音)で開始され、すぐに変ト長調となり、変イ長調を経て、16小節目でやっと変ニ長調が示されるなど、主部だけで十分に気まぐれ的な要素を含んでいる。中間部は変ト長調のコラールとなるが、やはり気まぐれなものである。ドイツ語タイトルは「グリルでの焼肉」つまり「バーベキュー」の意である。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第5曲 夜にIn der Nacht) ヘ短調

Mit Leidenschaft(情熱をもって; Appassionato)
波打つようなアルペッジョの伴奏に、断片的な旋律が顔を見せる。シューマンはこの曲集の中では最も気に入っており、クララにも最も演奏会に適した曲として薦めている。また、シューマンは自ら演奏する時には、ヘーローとレアンドロスの物語をイメージしているとクララ宛の書簡に記している[2]

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第6曲 寓話Fabelハ長調

Langsam(ゆっくり; Lento)
フェルマータを含む遅い部分と、スタッカートの速い部分が交替する。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第7曲 夢のもつれTraumes Wirrenヘ長調

Äußerst lebhaft(極めて速く; Vivacissimo)
音はきわめて速く、軽やかに鍵盤上を駆け巡る。それは一時の夢を見ているようである。その弾きにくさからしばしば「指のもつれ」と揶揄される。中間部は変ニ長調のコラールとなり、下属調の変ト長調で主題再現、半音下のヘ長調に戻る。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

第8曲 歌の終わりEnde vom Lied) ヘ長調

Mit gutem Humor (適度なユーモアをもって; Con buon umore)
クライスレリアーナ』でも見られるように、シューマンは曲集の最後でたびたびユーモアを用いた。オクターブが折り重なって音楽ができあがっていく様を、シューマン自身は「結婚式と葬式の鐘が入り混じって聞こえてくる」と表現した。コーダは瞑想的なコラールとなり、静かに鐘の余韻が響いて終わる。

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Schumann - Fantasiestücke, op.12”. Pianopedia. Eric Brisson (2001–2007). 2007年7月9日閲覧。
  2. ^ 藤本一子「作品篇」 『シューマン (作曲家・人と作品シリーズ)』音楽之友社東京都新宿区、2008年2月6日、p. 159頁。ISBN 978-4276221796 

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「幻想小曲集作品12 (シューマン)」の関連用語

幻想小曲集作品12 (シューマン)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



幻想小曲集作品12 (シューマン)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの幻想小曲集作品12 (シューマン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS