Ext関手
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 15:36 UTC 版)
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数学では、ホモロジー代数の Ext関手(Ext functors)は、Hom関手の導来関手であり、Tor関手と同様、ホモロジー代数学の中心概念である。ホモロジー代数学では、代数的トポロジーのアイデアが代数的構造の不変量を定義するのに使われている。群のコホモロジーやリー環、結合多元環はすべてExtの言葉で定義できる。Extという名称は、最初のExt群Ext1により加群の拡大が分類できることから来ている。 Ext関手は、最初代数幾何学で使われ、その後は数学の多くの分野で共通して使われている。名称の "Ext" は、関手とアーベル圏での拡大(Extension)との関係からきている。
定義と計算
R を環とし、ModR を R の上の加群の圏とする。B を ModR の対象とし、ModR の固定した対象 A に対し T(B) = HomR(A,B) とする。これは左完全関手であるので、右導来関手 RnT を持っている。Ext関手は、
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    . .5項補題により、真ん中の縦の矢印は同型である。A の B による拡大が、自明な拡大 と同値であれば、分裂(split)といわれる。 A の B による拡大 の同値類と、 の元との間には、全単射な対応がある。 拡大のベール和2つの拡大 が与えられると、ベール和(Baer sum)と呼ばれる からの引き戻し(pullback) が得られる。 関係式 を与えることと同じであるが、商 , をとると、拡大 が得られる。ここに第一の → は で、第二の → は であるので、E と E' の拡大のベール和と呼ばれる和が得られる。 拡大による同値類を同一視すると、ベール和は可換であり、自明な拡大を恒等元として持っている。拡大 0 → B → E → A → 0 は、射 g を -g に置き換えること反対の eg であり、真ん中の矢の逆にした拡大と同じである。 拡大の同値類を同一視した集合はアーベル群であり、関手 を実現している。 アーベル圏の中でのExtの構成ベール和の見方は、Ext1 
 Ab(A, B) の定義を、射影加群や入射加群といった観点なしでも、アーベル圏(圏が射影加群や入射加群をもたない加群であっても)上で Ext関手を定義することが可能となる。単純に、Ext1
 Ab(A, B) を B による A の拡大の同値類の集合とすると、ベール和の下のアーベル群が形成される。同様に、高次 Ext群 Extn
 Ab(A, B) も n-拡大の同値類として定義することができる。ここで n-拡大とは完全列であり、同値関係は、すべての m ∈ {1, 2, ..., n} に対し写像 Xm → X'm が存在して可換図式となるような、つまり鎖写像(chain map) ' が存在するような2本の完全列 の同一視から生成される。 上記の 2つの n-拡大のベール和は、X′′ 
 1 を A 上のX1 と X′
 1 の引き戻し(pullback)、'X′′
 n をXn と X′
 n の B の下の押し出し(pushout) として得られる。Weibel, §3.4 を参照。従って、拡大のベール和は、として定義される。 Ext関手の性質(追加)Ext関手は、計算に有益な便利な性質をいくつか持っている。 - 逆も成立する。すべての A に対して Ext1
 R(A, B) = 0 であれば、すべての A に対し Exti
 R(A, B) = 0 で、かつ B は入射的である。すべての B に対し Ext1
 R(A, B) = 0 であれば、すべての B に対し Exti
 R(A, B) = 0 でかつ A は射影的である。
 特別なExt上の環構造と加群構造Ext関手を理解するもう一つの非常に有用な方法は以下の通りである: Extn 
 R(A, B) = 0 の要素を、A の射影分解 P* に対し、写像 f: Pn → B の同値類と考えると、B で終わる長完全系列 Q* を得て、次数 -n の鎖写像 f*: P* → Q* へ、加群 Pm の射影性を使い写像 f を持ち上げる(lift)ことができる。そのような鎖写像のホモトピー類は、正確に上記の Ext関手の定義の同値類に対応することが分かる。たとえば環 R が体 k や、k-代数(algebra)の上の群環のような、十分に良い条件下では、Ext* 
 R(k, k) に環の構造を入れることができる。積は同値な非常に多くの解釈を持ち、この解釈は Ext*
 R(k, k) の元の様々な解釈に対応している。ひとつの解釈として、鎖写像のこれらのホモトピー類の項として解釈がある。従って、2つの元の積は、対応する表現の成分により表現される。すると、k の分解をひとつ選ぶだけで、すべての計算が HomR(P*,P*) の中でできるようになり、これがまさに ExtR(k,k) をコホモロジーとしてもつ微分次数付き環である。 Ext群もまた、完全系列のことばで解釈することができる。このことは、射影加群や入射加群の存在に依存しないという優位性を持っている。従って、上記の観点では、Extn 
 R(A, B) は、ある同値関係の下で、B で始まり、A で終わる長さ n + 2 の完全系列のクラスとなる。従って、これは ... → X1 → A → 0 と 0 → A → Yn → ... をで置き換えることにより、Extm 
 R(C, A) の元とつなぎ合わされる。ここの中の矢印は、函数 X1 → A と A → Yn の合成である。積は米田接合積と呼ばれる。これらの観点は、双方で意味を持つ場合は常に同値となる。 同様の解釈の下で、充分に良い条件下では、再び、Ext* 
 R(k, M) は Ext*
 R(k, k) 上の加群である。興味深い例を群 G の群環とすると、 は、M に係数を持つ群コホモロジー である。 p 個の元を持つ有限体 Fp に対し、 であり、群コホモロジーは選ばれた基礎となる環には依存しない。 A が k-代数とすると、 は、A-双加群に係数を持つホッホシルトコホモロジー である。 R が可換環 k 上のリー代数 の普遍包絡代数であれば、 は加群 M に係数を持つリー代数コホモロジー である。 脚注- ^ injectiveは、「単射的」「移入的」とも呼ばれる。
 参照項目参考文献- Gelfand, Sergei I.; Manin, Yuri Ivanovich (1999), Homological algebra, Berlin: Springer, ISBN 978-3-540-65378-3
- Weibel, Charles A. (1994), An introduction to homological algebra, Cambridge Studies in Advanced Mathematics, 38, Cambridge University Press, ISBN 978-0-521-55987-4, OCLC 36131259, MR 1269324
 
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