C言語誕生時の環境と他言語との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 02:05 UTC 版)
「C言語」の記事における「C言語誕生時の環境と他言語との比較」の解説
C言語の開発当初に使われた入力端末はASR-37(英語版)であったことが知られている。ASR-37は1967年制定の旧ASCII ISO R646-7bitにもとづいており、「{」および「}」の入力を行うことができたが、当時は一般的に使われていた入力端末ではなかった。当時PDP-11の入力端末として広く使われていたのはASR-33であるが、これは1963年制定の旧ASCIIであるASA X3.4に準拠しており、「{」や「}」の入力を行うことはできなかった。 このことは、ブロック構造に「{」や「}」を用いるC言語(さらに元をたどればB言語)は、当時の一般的な環境では使用不可能であったことを示している。これは、C言語はその誕生当初にあっては一般に広く使われることを想定しておらず、ベル研究所内部で使われることを一義的に考えた言語であったという側面の表れである。 これに対し、PascalやBASIC等の当初から広く使われることを想定した言語では、ブロック構造に記号を用いずにbeginとendをトークンとして用いることや、コメント行を表す際に開始トークンとしてREMという文字列を用いることなど、記号入力に制約がある多くの入力端末に対応できるように配慮されていた。この頃の他の言語やOSで大文字と小文字の区別をしないものが多いのも、当時は大文字しか入力できない環境も少なくなかったことの表れである。 このような事情のため、C言語が普及するのは、ASCII対応端末が一般化した1980年代に入ってからである。 現在、ブロック構造の書式等で、{...}形式のC言語と、begin...end等を使用する他の言語との比較において優劣を論じられることがあるが、開発時の環境等をふまえずに現時点での利便性のみで論じるのは適切ではない場合があることに留意が必要である。
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