Buddenbrockia plumatellae イトクダムシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 21:14 UTC 版)
「軟胞子虫」の記事における「Buddenbrockia plumatellae イトクダムシ」の解説
長さ2 mmほどの蠕虫のような形態をとったり、扁平な1層の細胞からなる袋状の形態をとったりする生物で、どちらの形態からも極嚢を持った胞子が生じる。蠕虫形は世界中の淡水産コケムシから発見されていたものの、1910年の記載以来長らく所属不明とされてきた。繊毛等はなく、体表は1層の上皮に覆われ、内部には未分化な細胞が詰まった状態から、成長すると内部に体腔を生じる。内部は4つに区画され、それぞれの区画の中心には筋細胞があるので、全体としては体の前後方向に4本の筋肉が配置する。これはややらせん状になっており、虫体は曲がりくねるように移動する。この様な体制はやや線虫類に似ており、この事から、寄生性によって体制が退化的になった線虫類ではないかとの説もあった。しかし20世紀末から21世紀初頭にかけて行われた分子系統解析を含む一連の詳細な研究により、1996年にコケムシから見付かっていた軟胞子虫 Tetracapsula bryozoides と同一種であることが明らかになった。蠕虫形の時には縦走筋を持っていることから、ミクソゾア門が左右相称動物起源である証拠だと考えられた。本種は、世界でトルコ、ベルギー、イギリスで発見され、日本でも記録がある。日本で調べられた範囲では、ヒメテンコケムシではかなりの高率でこの虫の寄生が認められ、ハネコケムシでも見つかった例がある。イトクダムシという和名が提唱されている。ただし、日本で知られた産地(利根川水系)では、現在は見られず、おそらく開発の影響による環境の変化によるらしい。
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