ATMキナーゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:20 UTC 版)
セリン/スレオニンキナーゼのPI3K様ファミリーのメンバーであるATMキナーゼは、ゲノムの安定性の維持に重要な役割を果たしている。ゲノムの安定性は、全ての生物の生存において重要な基礎をなしている。ATMはp53、MDM2、CHK2などの標的タンパク質をリン酸化することでその機能を発揮する。ATMの活性化は自己リン酸化によって促進される。不活性なATMは二量体として存在し、一方の単量体のキナーゼドメインは他方の単量体のSer1981を含む内部ドメインを結合しており、そのため細胞内の基質へアクセスすることはできない。DNA損傷に応答して、一方の単量体のキナーゼドメインは他方の単量体のSer1981をリン酸化し、その結果サブユニットが解離してATMが活性化される。活性化されたATMは細胞周期の停止などの一連のイベントを開始し、損傷DNAの修復のための時間を稼ぐことが可能となる。損傷DNAが未修復のままにおかれた場合、細胞死やゲノム不安定性、がんや他の疾患につながる可能性がある。
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