2つの起動スイッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 08:11 UTC 版)
「ハモンドオルガン」の記事における「2つの起動スイッチ」の解説
B-3の場合で91枚のトーンホイールを回転させるために要するトルクは大きいため、始動時にはより回転力のあるモーターを同時に動かす必要がある。このためオルガン本体には、自動車のセルモーターに相当するStartモーターを回す"Start"スイッチ(電源スイッチとStartモーターの始動スイッチを兼ねる)と、トーンホイールを一定速度で回すシンクロナス・モーター用の"Run"スイッチがある。演奏の準備のためには、まずStartスイッチを10秒近く押し上げ、モーター音が安定したところでRunスイッチを押し上げる。その後Startスイッチは指を離すと中央で止まり、プリアンプの真空管が暖まれば演奏が可能となる。鍵盤を押しながらRunスイッチを切ると、トーンホイールが減速~停止する一方、プリアンプには電気が供給されているために発音を続けるので、音程のベンドダウンを行うことができる。完全に停止してしまうと、再び立ち上げ動作を行う必要があり、10秒以上演奏できなくなる。Startモーターを演奏中に回すことでベンドアップも可能である(Startモーターの回転数に依存するため、音程変化量は個体差がある)。1970年代にはロックバンドで頻用された裏技である。なお、前述のようにシンクロナス・モーターは電源周波数により回転速度を決定しているため、日本の関東地方など50Hz圏で正しい音程で使用するには、サイクルチェンジャーの組み込みが必要である。50Hz圏でそのまま使用すると、約短3度音程が低下する。一部の業者では50Hzを60Hzに変換するだけでなく、様々な電源周波数に切り替えることで好みの調に移調できるように製作したものがある。
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