鼓室内の圧力調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/05 07:05 UTC 版)
鼓室(中耳の空洞)内の空気圧を、今いる場所の大気圧と等しくする役割がある。例えば、高速で走行する列車がトンネル内に入った時、航空機で昇降した時、高速エレベーターやロープウェイが昇降した時など、その場所の大気圧が急激に変化する場面に遭遇することがある。もし、大気圧が急激に上昇した場合は、外耳道の方が鼓室よりも圧力が高くなり、こうなると鼓膜が鼓室側に押し込まれる形となり、これに耳小骨が鼓膜を押し返そうと抵抗するので、内耳に音を振動として伝えている部分が振動しにくくなるため、音の聞こえが悪くなる。逆に、大気圧が急激に低下した場合は、外耳道の方が鼓室よりも圧力が低くなり、この場合は鼓膜が外耳道側に押し出される形となり、今度は耳小骨が鼓膜を引き戻そうと抵抗するので、やはり伝音が上手くゆかなくなり、音の聞こえが悪くなる。つまり、外耳道内と鼓室内の空気の圧力が等しくないと、ヒトは聴力が下がってしまうわけだが、この内外の空気圧を等しくするという圧力調整に、耳管が一役買っているのである。なお、外耳道と鼓室との間に、あまりにも大きな圧力差が生じると痛みが出たり、さらには鼓膜などの破損もあり得るが、耳管はそれを防いでいるとも言える。
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