麻薬犯罪組織の関与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:33 UTC 版)
メキシコ国内の治安が悪化し、政治腐敗や麻薬密輸集団の力が増し、麻薬密輸集団が国の大部分に影響を及ぼす中、麻薬犯罪組織が儲かるアボカド産業に目を付けて介入するようになっている。メキシコのミチョアカン州では、「テンプル騎士団」という麻薬密輸集団が、農業大臣からアボカド農家の収入情報を入手し、アボカド農家や包装、貿易会社、アボカド産業全般に「税金」を要求するようになり、払わなければ関係者やその家族を誘拐し、身代金を払わなければ殺害し、アボカド農園が焼き尽くされる事例も発生した。地域政府も麻薬密輸集団の活動は抑止できず、彼らは年間1億5,000ドルを入手した。農家は「税金」のためにアボカドの値上げを行わざるを得ず、麻薬密輸集団は、2006年から2015年にかけて、ミチョアカン州で8,258人を殺害し、住民が逃亡して地域は荒廃し、犯罪も増加し、治安は悪化した。 ミチョアカン州のタンシタロ(Tancítaro)では、麻薬密輸組織に対抗し、アボカド協会がCUSEPT(タンシタロ公共安全集団)を結成。メキシコでは武装行為は法律で禁じられているが、アメリカから密輸された武器で武装し(麻薬密輸組織の武器もアメリカからの密輸である)、検問所を作ってパトロールを実施し、フェリペ・カルデロン政権(2006 - 2012年)のころには国の協力も得られるようになり、国はミチョアカン州に4200人の軍隊と1000人の連邦警察を派遣してアボカド農家を保護。「テンプル騎士団」は衰退し、地域のアボカド産業への脅迫や殺害も減少した。このように、アボカド産業から麻薬密輸組織の影響を排除することに成功した地域もあるが、麻薬密輸集団は国内に多く存在するため、現在もアボカド産業が狙われている地域もあり、ミチョアカン州でも別の麻薬密輸組織の台頭がみられる。農家にとっては自衛にも多くの費用が掛かるため、自衛する農家もあれば麻薬密輸組織に「税金」を払うことを選ぶ農家もある。 アボカド産業では、生産農家や労働者が搾取され、貧困に苦しむ例が多いが、腐敗した政府と低賃金で労働者の搾取を行うプランテーションから麻薬密輸団が金を奪い、貧しい地域に学校や病院を建てるための資金を提供することもあり、こうした麻薬密輸集団を住民がある程度支持している地域もある。
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