首尾の松とは? わかりやすく解説

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しゅび‐の‐まつ【首尾の松】

読み方:しゅびのまつ

江戸時代浅草蔵前隅田川のほとりにあった吉原通いの舟の目印になった


首尾の松

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/28 06:18 UTC 版)

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首尾の松(しゅびのまつ)は、隅田川西岸の、東京都台東区浅草蔵前に生育している

首尾の松(2017年6月撮影)

概要

浅草御蔵(「江戸切絵図」のうち「東都浅草図」)

柳橋舟宿から猪牙舟に乗って大川(隅田川)へ出て、山谷吉原遊廓方面)へ向かったところにある、川面に枝をつき出した松をこう呼んだ[1]

御蔵の四番堀と五番堀の間にあり、江戸の名所を記した案内記『江戸名所花暦』では

首尾の松 浅草御蔵の内。 椎木の向、御蔵の川はたの松。川面へさしかゝる松也。これもうれしの森の類にて、あとなくいひならはせし也。

とある[2]。名前の由来は、

  • 吉原帰りの客がこの松の生えている場所で舟を泊め、今宵の遊女との首尾を語り合ったことから[3]
  • これから吉原へ向かう人々がここで首尾を祈った[4]。または、「首尾を果たす松」としゃれて験を担ぎ、ここから舟で吉原へ向かった[5]
  • 松のある辺りに屋根舟を舫いつけ、何か用事をこしらえた船頭が陸に上がっている間に、客が一緒に乗った芸者などと「しっぽり首尾をする」ことから[1]
  • 舟で吉原から帰る際に、この松のある場所で明け方を迎えれば首尾もよいことから[1]

など、諸説ある。

  • 「十をばかり水をこぢると松に成り」 - 柳橋舟宿から猪牙舟に乗って大川(隅田川)へ出ると、左岸の御蔵に首尾の松が見えたことを詠んだ歌。「こぢる」はを押すこと[6]
  • 「名木は水の中から枝を出し」 - 松が河面へ枝を張り出していたことを詠んだ歌[6]

といった川柳も作られた。

松の変遷

初代の松は、安永年間に風で倒れ、2代目は安政年間に折れた[2]

3代目の松は明治の末に枯れ、4代目は戦災で失われた[2]

蔵前1丁目3番地の蔵前橋畔南側にある松は7代目(1999年3月時点)で、江戸時代に生えていた場所よりも約100メートル川上にある[2]

歌川広重の浮世絵

歌川広重画『名所江戸百景 浅草川首尾の松 御厩河岸』

歌川広重浮世絵名所江戸百景』にも描かれている。この絵の右に描かれているのが平戸新田藩松浦氏の屋敷で、その先にあるの木の森は「嬉の森(うれしのもり)」と呼ばれる[7]

「松浦邸の椎の木を、嬉の森といふは、吉原通ひの人、舟にて帰るに、此所にて暁なれば、帰るに首尾もよく、嬉しといふより名づけたるなり、向うの岸の松を、首尾の松といふも、これと同じ」(『墨水銷夏録』[1]

脚注

  1. ^ a b c d 「首尾の松」三谷一馬著 『江戸吉原図聚』 中公文庫、67頁。
  2. ^ a b c d 「首尾の松」台東区文化財調査報告書 第24集『蔵前に札差あり - 江戸の金貨からたどる文化史』、9頁。
  3. ^ 【首尾の松】エディキューブ編 『彩色 大江戸事典』双葉社、188頁。
  4. ^ 『名所江戸百景 浅草川首尾の松御厩河岸』正井泰夫監修 『江戸の地図帳』青春出版社、47頁。
  5. ^ 【首尾の松】『江戸の用語解説』江戸人文研究会編 廣済堂出版、205頁。
  6. ^ a b 三谷一馬著 『江戸吉原図聚』 中公文庫、39頁。
  7. ^ 三谷一馬著 『江戸吉原図聚』 中公文庫、39頁、67頁。

参考文献

関連項目

座標: 北緯35度42分4.6秒 東経139度47分32.4秒 / 北緯35.701278度 東経139.792333度 / 35.701278; 139.792333




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