頭部の突起
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:11 UTC 版)
「ティラノサウルス上科」の記事における「頭部の突起」の解説
数多くのティラノサウルス上科を含め、数多の獣脚類には頭部に突起を持つものが発見されている。最も精密なものはグアンロンに観察されるもので、矢状面に沿って頭骨の前方から後方へ長大な鶏冠が存在し、鼻骨で支えられている。この鶏冠は内部の巨大な空洞で軽量化されている。ディロングではあまり発達していない突起が確認されており、低い平行な隆起が頭骨の両側面に沿って走り、鼻骨と涙骨に支えられている。これらの隆起は内側へ曲がって鼻孔の裏で合流し、Y字型の隆起を形成する。ティラノサウルス科の癒合した鼻骨は大抵の場合きめが粗い。モンゴルから出土したティラノサウルス科の可能性があるアリオラムスでは、鼻骨上に卓越した5つの骨質のコブが列をなしている。さらに小さい突起で同様の列がアパラチオサウルスの鼻骨にも存在し、ダスプレトサウルスやアルバートサウルスおよびタルボサウルスの複数の標本も同様である。アルバートサウルスとゴルゴサウルスおよびダスプレトサウルスでは両眼球の上前方に涙骨の卓越した角が存在する。涙骨の角はタルボサウルスおよびティラノサウルスには存在せず、代わりに両眼球の後方に後眼窩骨の卓越した三日月形の隆起が存在する。 頭骨の突起は種の識別や求愛のためのディスプレイに用いられた可能性がある。グアンロンの場合、デリケートで巨大な鶏冠は活発な捕食者と推測されているグアンロンの狩りに不利であるため、ハンディキャップ理論の例である可能性がある。脆い鶏冠にも関わらず全ての個体が健康で狩りを得意とする場合、より小さい鶏冠を持つ他の個体よりも大きな鶏冠を持つ個体の方が優れた形質を示していたと推測されている。雄のクジャクの尾羽やギガンテウスオオツノジカの枝角と同様にグアンロンは性選択を経て進化し、求愛行動におけるアドバンテージが狩りの能力の低下を上回ったことが示唆されている。
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