靫負とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 労働 > 役職 > 靫負 > 靫負の意味・解説 

ゆぎえ〔ゆぎへ〕【×負】

読み方:ゆぎえ

⇒ゆげい


ゆぎ‐おい〔‐おひ〕【×靫負】

読み方:ゆぎおい

⇒ゆげい


ゆげい〔ゆげひ〕【×負】

読み方:ゆげい

《「ゆきおい」の音変化古くは「ゆけい」》

大化前代、靫を負って宮廷諸門警護あたった者。

衛門府(えもんふ)の異称また、その職員。ゆぎえ。ゆぎおい


靫負

読み方:ユギエ(yugie)

ユゲイの訛


靫負

読み方:ユゲイ(yugei)

古代官職衛門府別称


靫負

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/09 09:01 UTC 版)

靫負(ゆげい)とは、律令制以前の大王の親衛軍をさす。

概要

原義は「矢を入れる靫(ゆき、ゆぎ)を負うもの」であり、靫を持って朝廷の警護の任に当たった武官を指す言葉である。舎人同様、上に天皇や宮号を称するものであり(白髪部靫負・勾靫負など)、国造の子弟を主として編成されたもののようである。舎人が東国出身者が多かったのに対し、靫負はどちらかというと西国が中心である。舎人が天皇の警護を主としたのと異なり、靫負は宮城の門を守護することが主任務とされていたが、宮号を称する靫負が少ないことから、舎人の勢力に押され、儀仗的な存在になったことが推定される[1]

靫負は大伴氏に率いられており、名代靫負部の資養を受けていた。『記紀』には大伴氏の遠祖、天忍日命天津久米命(あまつくめのみこと)(天槵津大来目)が「天の石靫」(天磐靫、あめのいわゆぎ)などの武器を装備して天孫の先に立ったという神話が語られている[2][3]。『日本書紀』巻第二十五によると、乙巳の変の後、孝徳天皇の即位式の際に、大伴長徳は金の靫を帯びて天皇が登った壇(たかみくら)の右に立っている[4]。『万葉集』には

大伴(おほとも)の 名に負ふ靫(ゆき)帯びて 万代(よろづよ)に 頼みし心 いづくか寄せむ — 大伴家持、万葉集巻第三[5]

という、当時内舎人であった大伴宿禰家持安積親王の薨ずる時に詠んだ挽歌が収録されており、大伴氏と靫負の特別な関係を伺わせている。

律令制では、衛門府のことを「靫負司(ゆげいのつかさ)」と呼ぶこともあり、衛門佐を「靫負尉」とも呼称している。検非違使庁も衛門府の官人の兼任からなるところから、「靫負庁」とも呼ばれている[6]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 別冊歴史読本 1992, 「古代国家と古代軍制」から「大化前代の軍制」.
  2. ^ 古事記 1983, 上巻、天孫邇邇芸命段.
  3. ^ 日本書紀 1994, 神代下第九段第四書.
  4. ^ 日本書紀 1995, 孝徳天皇即位前紀(皇極天皇4年)6月14日条.
  5. ^ 万葉集 1982, 巻第三、480番.
  6. ^ 角川日本史辞典 1966.

参考文献

  • 高橋崇「古代王朝血の争乱」『別冊歴史読本』特別増刊、新人物往来社、1992年、 267-268頁。
  • 辰巳和弘「王権をめぐる戦い」『中公文庫』日本の古代 6、1996年、 「3. 武器・武具に古代の戦闘をさぐる」から「古墳時代の武器とその性格」。
  • 高柳光寿竹内理三 編 『角川日本史辞典』(第二版)角川書店、1966年、972頁。 
  • 永原慶二監修 『岩波日本史辞典』岩波書店、1999年、1161頁。 
  • 『古事記』〈完訳日本の古典〉 1巻、小学館、1983年。 
  • 『日本書紀』〈岩波文庫〉 一、岩波書店、1994年。 
  • 『日本書紀』〈岩波文庫〉 四、岩波書店、1995年。 
  • 宇治谷孟 訳 『日本書紀 : 全現代語訳』〈講談社学術文庫〉 上・下、講談社、1988年。 
  • 『萬葉集』〈完訳日本の古典 2〉 (一)、小学館、1982年。 



靫負と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「靫負」の関連用語

1
靫部 デジタル大辞泉
100% |||||



4
摺り衣 デジタル大辞泉
100% |||||

5
靫負の命婦 デジタル大辞泉
100% |||||


7
平田 デジタル大辞泉
96% |||||

8
検非違使庁 デジタル大辞泉
96% |||||

9
一員 デジタル大辞泉
74% |||||


靫負のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



靫負のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの靫負 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS