集団励起型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/09 04:46 UTC 版)
素励起の簡単な例として、まず調和振動子系の運動を考える。多数の質点が調和ポテンシャルによる力によって相互作用しているとき、個々の質点の運動は一般に非常に複雑であるが、基準座標を使うと、基準振動子と呼ばれる互いに独立な調和振動子の集合として書かれる。この基準振動を量子化したものがフォノンという準粒子であり、1個のフォノンに相当する基準振動の励起が素励起である。この種の素励起は、調和振動子の各質点の個別的自由度の運動とは対応せず、一般にフォノンの総数は、フォノンを励起する物質の構成粒子の数とは無関係である。また素励起の運動量は、各質点のもつ力学的運動量とは無関係に、基準振動の波動ベクトルを q {\displaystyle \mathbf {q} } とするとき、 p = ℏ q {\displaystyle \mathbf {p} =\hbar \mathbf {q} } で与えられ、そのエネルギーは基準振動の角振動数 ω {\displaystyle \omega } を使って ε = ℏ ω {\displaystyle \varepsilon =\hbar \omega } で定義される。フォノンと同様に物質を構成する原子、分子、イオンや電子の集団的な運動に対応する素励起には、スピン波とそれを量子化したマグノン、プラズマ振動とそれを量子化したプラズモン、超流動ヘリウム中のロトンなどがある。これらは全てボース統計に従う。
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